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【映画#118】「吉原炎上」『おかえり横道世之介』より

こんにちは、三太です。

GWが終わりました。
次の祝日は7月15日(月)の海の日までないようです。
これから定期考査を二回はさみ、怒涛の1学期後半が控えています。
GWでリフレッシュした分、また頑張っていこうと思っている今日この頃です。

では、今日は『おかえり横道世之介』に出てきた「吉原炎上」を見ていきます。
『おかえり横道世之介』に出てくる映画7作のうちの1作目です。


基本情報

監督:五社英雄
出演者:久乃〈若汐・紫〉(名取裕子)
    九重(二宮さよ子)
    吉里(藤真利子)
    小花(西川峰子)
    古島信輔(根津甚八)
上映時間:2時間12分
公開:1987年

あらすじ

遊郭・吉原にある中梅楼に売られてきた女性、久乃
その久乃が若汐、紫と名前を変えながら、吉原の中で一番の売れっ子、御職(おしょく)に成り上がっていく物語です。

久乃ははじめ遊女になることをとても嫌がります。
しかし先輩の御職である九重に遊女としての手ほどきを受けたり、徐々に話せる仲間が増えたりして、遊女としての振る舞い方を身に付けていきます。
けれども、彼女には遊女としての幸せを得るとともに、失っていくものもあったのでした。

設定

・吉原
・遊郭の伝統
・人間模様

感想

久乃が吉原の嘘の世界やそこにある狂気を自分のものにしていく過程が恐ろしかったです。
身体を通して吉原になじみ、最後には心の底まで吉原の女になっていました。
祈りの儀式や中梅楼などの建物のつくりなど、吉原のリアルがわかる映画でもあるように感じました。
そこにいるのは遊女だけではなく、その遊女を連れてくる人や中梅楼を切り盛りする人など、多くの人で遊郭の世界が成り立っていたことも分かります。

明治40年から43年までの時代が描かれるのですが、その当時の夏の暑さの感じが、役者たちのかく汗からとてもよく伝わってきました
今ではクーラーがあるので、建物の中で、あのように首元からじわっと汗をかくようなことは少ないと思います。
そんなディティールもリアルでした。

首もとの汗にじませて遊郭へ

その他

・特にありませんでした。

『おかえり横道世之介』内の「吉原炎上」登場シーン

「さっき走っていったの見えたから、座れたのかと思いましたよ」
「取れないよー。・・・あの吉原炎上に横取りされたんだもん」
「吉原炎上?」
「知らない?吉原の花魁たちの映画。ほら、五社英雄監督で、鬼龍院花子とか、陽暉楼とか・・・」
「それは知ってますけど・・・」
「その映画に眉を剃り落とした花魁が出てくるじゃん。知らない?」
「ああ、あだ名ですか」

『おかえり横道世之介』(p.12)

「吉原炎上」が出てくるのは、物語の序盤、世之介がパチンコに通っているシーンです。
ここで浅香ちゃんという、知り合いの真面目な男と会話をしています。
会話の中で「吉原炎上」と言われているのは、『おかえり横道世之介』の序盤で重要な役回りをする浜本という登場人物のことです。
映画を見ていると少しは浜本のイメージは湧きやすくなりました。(もちろん文章からだけでもある程度イメージはできますが)
おそらくここで言われている「眉を剃り落とした花魁」は小花のことではないかと思います。
小花は強烈な最後を迎えるので、印象的でした。

ちなみにこの文章を詳しく調べていてわかったのですが、「鬼龍院花子」とは映画「鬼龍院花子の生涯」、陽暉楼はそのまま映画「陽暉楼」のようです。
どちらも五社英雄監督です。
はじめここを引用した時はそういう登場人物が「吉原炎上」に出てくるのかと思っていました。(ただ映画を見ても出てこないので、なんだかこの部分はしっくりこないなとは思っていたのですが…)
チェックし切れていなかったので、2作品を追加して早急に見たいと思います。

吉田修一作品とのつながり

・春・夏・秋・冬と章が区切られていくのは『ひなた』と同じです。
 ちなみに『横道世之介』と『おかえり横道世之介』は「四月・五月・・・三月」と章が区切られます。
春夏秋冬が描かれるという点ではそれも似ているなと思いました。

以上で、「吉原炎上」については終わります。
吉原の遊郭におけるリアルに少し触れられた気がしました。
 
それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

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