僕は、やっぱりサルだった!
土曜日、学校から帰ってすぐ
「お母さん、ハンカチどこ?」
「え?ハンカチって珍しいねぇ~いつも持って行けって言っても知らんぷりなのに」
「いいから早く!!」
「はい」と手渡してきたハンカチはガーゼみたいなやつだった。
「違う!!もっとツルツルしたやつ」
「何に使うの?」
もう、面倒くさい。
自分で探し始めた。
あった!!ウルトラマンのが丁度いい。
「あ、2枚いるな!」
慌てて行こうとする僕の襟首を掴んだお母さんは
「ちょっと、ご飯は?」
僕にはご飯よりも成し遂げなければならない男として大事なことがあるんだ。
お母さんの手を振り払った。
「行くぞ、コロ!!」
遠くから「ご飯はもうないからねぇーーー」と聞こえた。
公園にたどり着いた僕は鉄棒へ向かった。
眉間の傷はまだ痛い・・・
でも、怖くはなかった。
「コロ、見とけよ!」
ワン!
え?コロがワンと吠えた。
今まで大人しくて吠えることがなかったコロ。
「応援してくれてるの?」
コロが僕を見上げてる。
「わかった!」
とりあえず僕は逆上がりをした。
「うん、行ける」
次は前回りの回転だ。
ハンカチを鉄棒に巻いた。
カナちゃんがスカートでやってるように僕はハンカチ握り勇気を振り絞って何回もお腹を浮かせて鉄棒に打ち付け
フッ!!
回った、もう一回
二回転できた。
もう一回!!
コロ見てるか?
僕は回転してるぞ。
僕は、三回転もしてしまった。
周りを見たら誰もいない・・
こんな時にカナちゃんもいない。
あ、みんなご飯を食べてる時間か・・
「コロは見てたよな」
クゥン
「お、やっぱりサルやなぁ~」
二番目のお兄ちゃんが学校の帰り道で僕を見つけていた。
「さすが!!」となんだかバカにした口調だ。
でも、僕はサルで十分満足だ。
つづく
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