はじめに
2月から仲間たちと読み始めている大著『万物の黎明』
この書籍の意図は著者が以下のように書いています。
言い換えれば、これまでの歴史とされている内容においては、先住民は軽んじられてきたとのこと。
そんな先住民たちを正しく理解するために、さまざまな先住民が紹介されています。
いずれも興味深いのですが、今回はその中の1つ、第3章で紹介されている事例について紹介したいと思います。
季節によって生活の統治の形が変わる民族
ナンビクワラ族とは。一般的な評価。
今回紹介するのは、文化人類学者として著名なクロード・レヴィ=ストロースが調査したナンビクワラ族についてです。著者の彼への評価はこちら。
そんなレヴィ=ストロースは、1944年にナンビクワラ族の政治に関する論文を発表したそうです。
ナンビクワラ族の当時の一般的な評価は、『きわめて初歩的な物質的文化から、ぬきんでて素朴な人間集団であると評価されていた。そのため、旧石器時代への手がかりのごとくかれらを扱う傾向も強かった』だったそうです。
レヴィ=ストロースは彼らに何をみたか?
一方、レヴィ=ストロースの捉え方は違いました。
彼がナンビクワラに洞察した「政治生活の基本的諸機能」について以下のような記述がありました。
1年のうちの異なる時期に、まったく異なる形態をとる二つの社会的・倫理的システムとは?
大きく雨季と乾季におけるそれらが異なると書かれていました。
レヴィ=ストロースのコメント
ここでいう自己意識的な政治的アクターというのは、聴き慣れない言葉かと思います。本では、「じぶんの社会のとりうる方向性を意識的に考え、ほかならぬこの道を選ぶべきであるのはなにゆえかを公然と議論する、このような能力」「この能力を有している霊長類は人間だけとのこと。その意味で、人間は政治的な動物である、とのこと」といった話と紐づけて紹介されていました。なんとなく言わんとすることは掴めるのではないでしょうか。
さいごに
3章に書かれている内容だけでは、具体的にどうしていたのか?を理解するには足りないので、引き続き読書を進めたり、場合によっては実際の調査書を読むことで理解を深めたいという意欲が高まってきています。また、現代のナンビクワラ族の方々がどのように過ごされているかも調べていませんので、以下はその上で勝手な私見を書いていると思ってください。
私たちの多くにとって、生活だけではなく組織の統治にしても、1年を通して形態が別ものに変わることは決して身近ではないどころか、少し前であれば想像すること自体が難しいレベルかもしれません。
言い換えれば、私たちは生活や働くことにまつわるシステムが極めて静的で変わらないものだと無意識に思うようになっていると言えます。
一方で、そこに対して21世紀になってから、少しずつ「流動性」が「生活」にも「働く」にもどんどん取り戻されてきているように思います。
これだけが要因とは思いませんが、IT社会という前提の上で、今回紹介したような先住民が実践してきた生活の統治・協働の、アップグレード版がどんどん生まれていくような予感がしています。
その1つの参照例が日本でベストセラーになった書籍「ティール組織」で紹介されている組織だと思います。(書籍で紹介されていない実践家の方もまだまだ世界中にいる、増えていると思いますが)
引き続き、学び取り入れられるものは実験していきたいと思います。
おまけ
書籍『万物の黎明』に関連して書いた記事はこちら。
ティール組織について書いた記事はこちら。