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書籍『コーポレート・レベルズ: Make Work More Fun』に関するトークイベントに行ってみた


はじめに

手放す経営ラボが主催するこちらのトークライブ行ってきました。

今年の2月28日に『コーポレート・レベルズ: Make Work More Fun』という書籍の日本語訳が出版されました。

こちらの本は、「世界にはもっと楽しい職場があるはずだ」という問いを持ったヨースト・ミナーとピム・デ・モーアという2人のオランダ人が、世界中の先進的な100以上の組織への訪問をもとに、見出された8つのトレンドについて、具体的な事例と合わせて紹介されている本だそうです。(まだ読んでいない・・・)

このトークライブは、この書籍を翻訳・出版された山田 裕嗣さんをゲストにお招きし、山田さん自身の経験も織り交ぜながら書籍のエッセンスを紹介してくれる、というものでした。

山田さんの引き出しの多さがすごすぎて、時間があっという間に過ぎていったこと、山田さんの軽やかな声の響きが耳心地がよく、ずっと聞いていられるなぁと感じたことが印象的でしたね。

他に、印象的だったことを書いていきます。

印象的だったこと・気づき・学び

あなたにとって楽しい会社とは?

最初の方でこのような問いがあり、周りの人とダイアログをするパートがありました。言語化するのに時間が多少かかりましたが、この時私に浮かんだのは、「何かを達成していく、挑戦的な要素の楽しさと、リラックス・脱力が伴う楽しさの大きく2つの質があるのでは?」というところから、この2つのどちらもがあるのが楽しい会社じゃないか、と話しました。

そして今書きながら思うのは、この2つの質は、以前別の記事でも書いた気がする、2つの幸せ(成る幸せと在る幸せ)とも符号しているように思えます。

達成する、成るだけでは卑屈になりうるし、脱力・在るだけでは退屈になっりうる。だからこそ、どちらもが重要という話を教わり、そうだなぁ、コミュニティ運営でも大事な要素だよなぁと思ったことを覚えています。

8つのトレンド、その中で前提になっていたもの

書籍の中で紹介されている8つのトレンドとは、以下となります。

「利益」から「パーパス」

「ピラミッド」から「チームのネットワーク」

「指示型リーダーシップ」から「支援型リーダーシップ」

「予測と計画」から「実験と適応」

「ルールと管理」から「自由と信頼へ」

「中央集権型」から「分散型」

「秘密主義」から「徹底した透明性」

「ジョブディスクリプション」から「才能と熟達」

山田さんが言われていたのは、8つあるけれども、1つ目のトレンドのパーパスが揃っていることと、7つ目の情報の透明性が高いこと、という2つが前提になっていた、言い換えると土台となって他のトレンドがあったというニュアンスのことを言われていたことが興味深かったです。

また、情報の透明性については、組織の規模が大きくなるほど、小さい単位ごとの透明性の高さこそが大事で、大きい場合は物理的にすべての情報をキャッチアップするのが無理なので、編集が必要となってくる、と言われていました。

パーパスは誰のためのもの?

山田さんの盟友であり、今回のイベントを主催した手放す経営ラボの取締役でもある武井浩三さんがパーパスの明文化がなぜ必要か、という話をしていたことがあります。その時に話していたのは、その組織に新しく加わった人のためのものということでした。もともとそこにいる人はわざわざパーパスとして明文化しなくても、さまざまな体験を通じて実感している一方で、新しい人はそれが分からないので、明文化されていることがヒントになる、そういったニュアンスだったと記憶しています。(間違っていたらすみません)その時、なるほど!と納得したことを覚えています。

今回、パーパスについて関連した話が展開されていたのですが、その話を聴いている時にふっと、パーパスを明文化すること、クレドを明文化することなどは、その組織で行われている営みへの理解を効率化させるためのテクノロジーなのかもしれない、という捉え方が浮かんだのです。

とはいえ、言葉だけの理解で完結させるのではなく、言葉という足場を活用して、体験という流れと行ったり来たりすることで腑に落としていけてこそ、意味があるので、「言語化すれば、頭で分かってもらえればそれでいい」というわけではないのはお分かりいただけるかと思います。

テクノロジーという捉え方には至っていなかったなと思ったので興味深い気づきでした。

表現で気になったこと

これは、上記の8つのトレンドが並んでいる資料をみた時に思ったことです。ある種、重箱の隅をつつくような話かもしれませんが、すべてのトレンドが「◯◯から△△へ」と「から」という助詞が使われています。

私はこの表現ですと、「◯◯よりも△△の方を重視していこう」という意味にとれてしまいかねないと思いました。言い換えると、2つが分離したものとして捉えているとも言えます。

その何が問題かというと、前者の方を重視しなくていい、捨ててもいいと感じさせてしまうことです。(まぁ、実際のところ、そうしたとしてもそれが必要なプロセスだと思うのですが)

例えば1つ目は『「利益」から「パーパス」へ』ですが、これを『「利益」だけではなく、「パーパス」も』と書き換えたら、どういう印象を持つでしょうか。or  ではなく and に感じませんか?

発達について表現するよく知られている言葉に「含んで超える」というものがあります。含んでいるというのは、例えば、利益をあげる・重視するというのは当たり前にした上で、その要素も当然含んだ上で、超えるというのは利益だけの世界観ではなく、パーパスもある世界観を生きる、といったことを指していると捉えています。

言い換えれば、いつでも前者だけの選択肢を選べる力がある、という感じ。

利益、ピラミッド、指示型リーダーシップ、予測と計画、ルールと管理、中央集権型、秘密主義、ジョブディスクリプション。

これら新しいトレンドの前に位置づけられている要素を発揮できる力をちゃんと持っている組織であること。厳密にいえば、それができる人がいるということ。

それがあってこそ、新しいトレンドで表現されている組織が成せるのではないか。

どのように表現されているかで見る人の認識に大きく影響を与えると感じるからこそ、この表現が気になったなぁ〜、という話でした。

このあたり、山田さんはどう捉えているか質問すればよかったかなぁ〜と思いました。今度聴いてみよう。

さいごに

経営・組織についてのイベントに参加するのはとても久しぶりだったので、このテーマを掲げた会ならではの空気感があって面白かったですね。

今回は、対談相手だった乾真人さんが制作リーダーをしている、デジタルツールを活用して、働く人の個性を解き放ち、組織を生命体のようにしなやかな形態にデザインするプログラム「DXO」の最新版にまつわる情報はほとんど聴けなかったので、そちらの話もまたどこかで聴きたいなぁ♪


おまけ

今回紹介した書籍『コーポレート・レベルズ: Make Work More Fun』の訳者がきが全文公開されていました。気になった方はぜひ!

山田さんがコーポレート・レベルズの活動に触発されて始めた日本国内の組織を訪ねてまわるシリーズ。なんと50近くもの事例が紹介されています。(コーポレート・レベルズの2人の協力を得て、海外の事例もあります)

こちらもぜひご覧ください!


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