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システム思考とシステムアウェアネスの違いとは?

はじめに

先日、洋書「Regenerative Leadership」を読んで受け取ったものについて記事を書きました。

今回はそこでは書ききれなかったことについて書きます。

私がもともとこの本を読もうと思ったのはこちらの著者と日本人の対談動画を観たことがきっかけでした。

その中で著者は、機械的アプローチから生命的アプローチへのシフトは3つのレベルがあると説明していたのです。

(1)機械的な見方→システム思考的な観方へのシフト
(2)システム思考→システムアウェアネスへのシフト
(3)システムアウェアネス→エコシステミックアウェアネスへのシフト
(エコシステミックアウェアネスとは、この書籍でも重要なテーマなのですが今回は省きます)

この話がとても興味深く、理解を深めたいと思う中でまずはシステム思考とシステムアウェアネスの違いについて調べることにしました。(注:ここでいうシステムアウェアネスはあくまでこの書籍において使われている意味におけるそれを指します)

システムアウェアネスとは何か?

まず、私にとって初めて知る概念であるシステムアウェアネスとは何かについて直接触れている本の内容を引用します。

システム全体で常に変動しているダイナミクス、知識の見えざる暗黙のフロー、フィードバック、関係性のエネルギーを考慮します。これは組織の人々が会議、会話、人間関係に持ち込む手荷物と呼んでもいいかもしれません。

chapter3

私たちが他人に耳を傾けたり注意を払ったりする方法、私たちがフィルタリングする判断や文化的偏見、そしてこれらの要因が私たちのシステムへの参加方法にどのように寄与するかを体現しています。

chapter3

私たちが人間として本来持っている能力

chapter5

生きている組織内のシステムのネットワークや、家族や友人、地域社会、より広い生命の生態系など、より広いステークホルダーの生態系全体を感知する能力

chapter5

正直、これだけでは情報が少ないと感じたので原著の和訳を進めている一般社団法人Ecological Memes 共同代表・発起人の小林泰紘さんが著者と対談した記事、及び監修した記事から該当する箇所を抜粋しました。

自分自身や組織内の目に見えない秩序の力と隠れたつながりを認識すること

こちらの記事から引用

自分たちを取り巻くシステム(相互のつながり合いや全体性)に自覚的であること

こちらの記事から引用

家族や友人、あるいは組織内外のプレイヤーや自然環境など、システムにおける多様な関係性やみえないつながりに意識を向け、局所ではなく全体性を捉える力

こちらの記事から引用

システム思考とは何か?

私がシステム思考について初めて存在を知ったのは就活生の時でしたが、実際に学んだのは2020年になってからでした。友人に紹介してもらったこちらの本を読み、ビビビときたのです。

この著者である枝廣淳子氏と小田理一郎氏が海外で生まれた「システム思考」を日本に持ち込んだそうです。
洋書「Regenerative Leadership」の中では、システム思考について以下のように書かれています。

システムシンキングは、ビジネスや生活全般が相互に関連していることを認識し、システム全体を部分の総和よりも大きいと見なします。機械論的思考が孤立した部分の理解を助けるのに対し、システム思考は複雑さ、変化、関係性の理解を促進します。

chapter1の該当箇所をDeepL翻訳したもの

システム全体における部分の相互関係を理解し、すべてのシステムが他のシステムの中に入れ子になっていることを理解する思考法。

chapter3の該当箇所をDeepL翻訳したもの

これはMITのリーダーシップ専門家であるオットー・シャーマーの言う「オープン・マインド」に関連しています。私たちは、物事を違った角度からみるために心を開き、システムレベルでの相互関係、パターン、ダイナミクスをみます。

chapter3の該当箇所をDeepL翻訳したもの

システムシンキングでは、システムの外側から内側をみるようにシステムをみます。

chapter3の該当箇所をDeepL翻訳したもの

違いは何か?

以上、それぞれの該当箇所を抜き出してみましたが、書かれている内容だけを比べてみると両者を分けているのは目に見えない領域をより解像度高く(ある種、細分化して)取り扱う点、その領域の中でも個々人の内面及びその関係性・力学にもフォーカスしている点にあるように思えました。

ここで、ふと私が以前から本を通じてシステム思考を知ったこともあり、その本及びその源流ではどのように語られているか気になり調べてみました。

調べたもの
・システムシンキングの和訳本の翻訳を多数手がけている日本における第一人者ともいえるチェンジエージェント社のコラム
・システムシンキングにまつわる和訳本の目次
『世界はシステムで動く ― いま起きていることの本質をつかむ考え方』
『システム思考―複雑な問題の解決技法』

その結果、分かったことはシステム思考においても個々人の内面は範疇にあるということ。メンタルモデルというカテゴリーとして組み込まれていることが確認できました。

となると、今回明らかにしたい違いでいうと、現時点では、程度の差のことをさしているだけに思えて、私にとって決定的だと思えるポイントを見出すことができません。

どうしたものかと思っていると、ふと「RegenerativeLeadership」著者の講演動画で和訳されたものがあることを思い出しました。そこでシステムアウェアネスについて触れていた箇所から引用します。

これはより身体レベルのことで共感的にシステムとつながっていくレベル

講演動画から引用

システムに対してひらいた状態でいることができるようになる

講演動画から引用

誰しもが人間として自然に持ち合わせている能力であり自分たちが活動しているシステムと調和する能力のこと

講演動画から引用

合理的・分析的ではなく直感的、感覚的、身体的な方法でシステムを感じ取っていく

講演動画から引用

頭だけではなく、心や身体でシステムを捉えていくシフトが必要

講演動画から引用

ふむふむ!この追加情報と合わせて鑑みると、システム思考は定量情報や言語化した情報を扱うものであるのに対して、システムアウェアネスは私たちが5感で感知している情報、略して感情報を言語に還元せずにそのまま扱おうとすることに重心が置かれているものだと思えてきました。

さいごに

うん、ここまで見出せると一旦行き着くところまで行けた気がする、と満足した私なのでした(笑)

もし、書籍に興味が湧いた方はこちらchapter1の概要を載せていますのでよければご覧ください。


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