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30代会社員。休職した経験から心理療法などに色々と独学で取り組んだ感想などをちょこちょ…

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30代会社員。休職した経験から心理療法などに色々と独学で取り組んだ感想などをちょこちょこまとめたいと思っています。X(旧twitter)もやっていますので、お時間があれば覗いてみて下さい。

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ACTのススメ~生きるためのコンパスを探して~

こんにちは、すぱ郎です。  私は数年前から自分の心理的な恒常性を保つために、これまでに様々な心理療法に取り組んできました。  その中の一つが、第3世代認知行動療法と呼ばれる「アクセプタンス&コミットメントセラピー(以下ACT)」です。「認知行動療法」や「マインドフルネス」は割と一般に広まっていますが、ACTはまださほど認知されていないように感じます(数年前にメンタリストDAIGOさんが書籍を紹介されて話題になったりはしたようです)。  私がACTを知ったきっかけは、休職中に

    • 自分と向き合う時間は決して無駄ではない:休職中にに勉強した心理療法の変遷をまとめたスライドを発見して思った事

       こんにちは、すぱ郎です。  最近リワークに通っていた頃の資料を少しずつ読み返して出展元を読み返したりしているのですが、下のようなスライド画像を作っていたのを思い出し、目にしてから当時の自分の信条の変化などを色々と思い出しましたので、回顧録的に当時の事を思い出しながら記事を投稿してみる事にしました。今回は方法論や考え方などセルフケアの手法についてやそれぞれのアプローチの内容には特に触れまない一人語りの内容になりますので、ご了承ください。  人によってたどる経過は様々ですが

      • 行動や思考を見直すためのモノサシ:ACTにおける「有効性」の方向について

         こんにちは、すぱ郎です。    今回もACTについてですが、重要な考え方に「有効性(workability)」というものがあります。  少し前に投稿した記事で、困難な場面に直面した際に人は「価値に進む」か「価値から逸れる」かの二択を考えることが重要と述べました。  上記の記事にあるように「価値」はACTの中核的な概念である一方で、この「有効性」も極めて重要な考え方になります。  では具体的に何を考えるかと言うと、「今自分のしている事ややろうと思っている事が、長期的に見た

        • そのコーピングが「体験の回避」になっていないか?:ACTの観点から気を付けたいと思った事

          こんにちは、すぱ郎です。  コーピングとは、上記のサイトで紹介されているようにストレス場面における対処行動をさします。  今回、ACTに関する書籍を読み直して「コーピングは体験の回避につながるものも含んでしまうのではないか?」とふと感じたと同時に、長年感じていたモヤモヤが氷解する瞬間があったので、今回の記事を書いてみる事にしました。「体験の回避」については下記記事にて触れていますので、興味のある方はご参照ください。  メンタルヘルスに問題をきたした結果休職した人が復職を

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        ACTのススメ~生きるためのコンパスを探して~

        • 自分と向き合う時間は決して無駄ではない:休職中にに勉強した心理療法の変遷をまとめたスライドを発見して思った事

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          「ロゴセラピー」はあまり万人にお勧めできる心理療法ではないと感じる理由を3つ考えてみた

           こんにちは、すぱ郎です。 X(旧Twitter)にてロゴセラピーについて少し触れた投稿をしました。  今回、この辺りを少し細かく言語化したいと思い記事を書いてみようと思いました。本題に入る前にロゴセラピーについても概説したいと思いますので、興味のある方は一読ください。  まずロゴセラピーとは何かについて。過去の記事でも少し触れているものはあるのですが、改めて簡単に紹介したいと思います。  ロゴセラピーは精神科医であると同時に心理学者でもあるV.E.フランクル氏の考案し

          「ロゴセラピー」はあまり万人にお勧めできる心理療法ではないと感じる理由を3つ考えてみた

          困難な状況において、まず考えておきたい選択肢は2つ

          こんにちは、すぱ郎です。    以前リワークに通っていた時期に作成していた資料を読み返す機会が最近増えていますが、その一つに興味深いものがあったので、ちょっと紹介しようと思います。    WHOが発行している「ストレスを感じたらやるべきこと:イラストガイド」という資料があります。  その名の通りストレスマネジメントの支援を目的とした資料です。内容は多岐にわたっており、ACTの要素を含んだ内容も記載されています。  その中の一つに「価値に沿って行動する」という項目があります。

          困難な状況において、まず考えておきたい選択肢は2つ

          「育児にしんどさを感じる自分」をちゃんと認める事は立派なセルフケア(セルフコンパッション)である:ケア・ギビング疲労について考える

           こんにちは、すぱ郎です。  私は現在共働きで子供もいる生活を送っています。日々てんてこまいですが、時に楽しく時にへこたれながらも何とかやっています。  しかし、初めて休職した時期は子供と一緒にいる時間がどうしても苦しくなってしまう時がありました。  子どもが可愛くない訳では全くなく、笑顔を見ると幸せな気持ちになる一方で、とにかく一人で子供を見ていると極端に疲れる。気が休まらない。心に余裕が無くなる。一番ひどい時には、子供を抱っこしながら訳も分からず涙が止まらなくなる事

          「育児にしんどさを感じる自分」をちゃんと認める事は立派なセルフケア(セルフコンパッション)である:ケア・ギビング疲労について考える

          【後編】自己分析は「言い訳づくり」のために行うべきではない?:ACTにおける「体験の回避」と「変容のアジェンダ」「創造的絶望」の考え方について

           こんにちは、すぱ郎です。 今回の記事は前回の記事の続きになりますので、前回の記事をまだ読まれていない場合はそちらから読んで頂ければと思います。  前回は心理療法の1種であるACTにおける「体験の回避」に関する自身の経験を交えた紹介をさせて頂きました。今回はその「体験の回避」を助長するような影響を及ぼすと言われる「変容のアジェンダ」という言葉を紹介します。 ※注 休職直後で何よりも休養が必要な時期の方などは、前回や今回の記事はあまり参考にされない方が良いと考えます。あくま

          【後編】自己分析は「言い訳づくり」のために行うべきではない?:ACTにおける「体験の回避」と「変容のアジェンダ」「創造的絶望」の考え方について

          【前編】自己分析は「言い訳づくり」のために行うべきではない?:ACTにおける「体験の回避」と「変容のアジェンダ」「創造的絶望」の考え方について

           こんにちは、すぱ郎です。  リワーク時代に作っていたスライドを読み直していて、少しドキッとした内容のものを見つけたので、自戒も込めて紹介してみようと思います。書いてみると予想以上に長くなったので、今回を前編にして、2回に分けて投稿したいと思います。  心の病気になって休職したりした経験のある方は、多かれ少なかれ休職を契機に 「どうしてこうなってしまったんだろう」 「何が原因でこうなったんだろう」 といった事を自分なりに掘り下げて考えた経験があるのではないかと思います

          【前編】自己分析は「言い訳づくり」のために行うべきではない?:ACTにおける「体験の回避」と「変容のアジェンダ」「創造的絶望」の考え方について

          心のセルフケアとしての「援助希求」のススメ

           こんにちは、すぱ郎です。 以前「心のセルフケアを4つに類型化してみた」という記事を投稿しました。  この時の記事では特に触れていませんでしたが、「援助希求」という言葉を割と最近知って、この言葉もセルフケアの枠内に組み込むべきだなぁと感じたので、簡単にまとめたいと思い今回の記事を書いてみました。  援助希求について解説したサイトが無いかと思い少し調べましたが、あまり一般向けにまとまって紹介されているものが無かったので、有名な「夜と霧」の著者でありロゴセラピーを開発したV・E

          心のセルフケアとしての「援助希求」のススメ

          認知行動療法(CBT)を無料で独習するには

          こんにちは、すぱ郎です。  何だか怪しい見出しの記事になりましたが、変な誘導とかはありませんので…。  今回は、私が休職中にリワークに通って作成していたレポートの中で、参考にしていた資料が沢山ある事に気付き、そのうち無料で学べるサイトが2つほどあったので、「書籍を買ってまで勉強はしたくないけど、少し認知行動療法(以下CBT)に興味がある」人に向けて紹介してみようと思い記事を書いてみました。既にCBTを学んで取り組まれている方にはあまり参考にはならないかもしれませんが、2番目

          認知行動療法(CBT)を無料で独習するには

          セルフケア・ゾーンを意識する習慣を身に付ける

          こんにちは、すぱ郎です。  今回はリワークに参加している間に作ったレポート資料を読み返して、これは大事だなと思った事を簡単にnoteにまとめてみる事にしました。 今回は「セルフケア・ゾーンを意識する」がテーマです。 ヘッダーの画像が自分が作成した図です。「安心ゾーン」「セルフケア・ゾーン」「魔法が起こるゾーン」の3つが描かれています。  復職を目指している人にとってみると、「安心ゾーン」は休職中の状態、「セルフケア・ゾーン」は安全な範囲で段階的に復職を実践している段階

          セルフケア・ゾーンを意識する習慣を身に付ける

          「両価性」をセルフケアに活かすには

          はじめに こんにちは、すぱ郎です。  タイトルにある「両価性(アンビバレンス)」という言葉はあまり耳慣れない言葉かもしれません。心理学の用語ですが、私がこの言葉を知ったのも偶然でした(ACT経由ですらなかったと記憶しています)。何となく気になる言葉で心に引っかかり、そこから興味をもって両価性について少し勉強してみると、意外と奥が深く、色々と気付くことが多くありました。ただ「両価性とは何か」みたいな話をするととても時間がかかってしまいます。一方でタイトルにあるように心のセルフケ

          「両価性」をセルフケアに活かすには

          心のセルフケアを4つに類型化してみた

          はじめにこんにちは、すぱ郎です。  当noteでは自分の経験や学習を基に、「心のセルフケア」に役立ちそうな事柄を一つの大きなテーマとして取り扱っています。  先日X(旧twitter)にて、何気なく下記のpostをしました。  この時はあまり深く考えずに投稿したのですが、後々読み返してみると割と自分が普段意識して実践している事を上手くまとめている内容だなと思いました。他の方の参考になればとも思い、noteにて少し詳しく内容を整理してまとめてみる事にしました。  といった形で

          心のセルフケアを4つに類型化してみた

          リワークは「実存的不安」を乗り越える場所ではない、と思った方が気が楽になるかもしれないという話

           こんにちは、すぱ郎です。  プロフィールにも書いていますが私はここ数年の間に心の調子を崩して休職していました。今は割と普通に働いていますが、また同じことを繰り返さないように無理のない範囲で心理療法や休職に関して自助努力を継続しています。そんな中で、先日偶然目にした『「働くわたし」を失うとき(著:野田実希)』という本が気になって手に取りました。  とても面白い内容ですが内容が専門的(学術的)で読み進めるには時間のかかる分厚い内容だと感じたので、少しずつ読み進めています。その本

          リワークは「実存的不安」を乗り越える場所ではない、と思った方が気が楽になるかもしれないという話

          依存でも自立でもない心のセルフケアとしての「つながり」のススメ

           はじめに 世の中に数ある社会的な支援の中で、「ソーシャルサポート」という言葉があります。  休職してリワークに通っていた時期に「レジリエンス(wikipediaに飛びます)」について学んでいた時に知った言葉です。レジリエンスについてはまた機会があればまとめてみたいと思っていますが今回は割愛します。ソーシャルサポートをもう少し実際的な言葉に言い換えると、「何かあった時に頼れる個人的、社会的なつながり」といった意味になるかと思います。リワークに通っていた頃に、一度自分の持ちう

          依存でも自立でもない心のセルフケアとしての「つながり」のススメ