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ヒストリー㉙その先へー・2016年9月

韓国とスクラム組んで


 自殺をめぐって、日本ととてもよく似た状況の国があります。
お隣の韓国です。
そして、事態はより深刻です。

「日韓の自死遺児たちの交流会をやれませんか」。
ライフリンクで2008年からインターンをしている韓国人留学生、朴恵善(パク・ヘソン)さんが清水康之代表に提案したのは、2016年3月のことでした。

「韓国は10年前の日本のように自殺がタブー視されたままです。日本の自殺対策は、自死遺児たちが声をあげたことで前に進みました。韓国の遺児たちにもぜひそのことを伝えたい」と自らの思いを伝えました。

清水代表は「ぜひやろう」と即答します。
こうして「日韓自死遺児交流会」が実現しました。2016年9月30日のことです。
10月2日までの2泊3日の日程で、日本から8人、韓国から3人の自死遺児が参加し、韓国いのちの電話、NPO法人グリーフサポートリンク(全国自死遺族総合支援センター)、ライフリンクのスタッフらが加わって総勢32人の交流会になりました。
費用はクラウドファンディングで62万円を集めました。

国立オリンピック記念青少年総合センターを会場に、日本と韓国の現状をそれぞれ共有しました。
韓国は日本と同様に同様に自殺で亡くなる人の数が1998年に急増しました。
2013年のOECD調査で、韓国の自殺死亡率(人口10万人あたりの自殺者数)は28.7人とOECD諸国の中で最も深刻でした。
日本の18.7人の1.53倍、OECD平均の12.0人の2.4倍にあたります。

参加者たちは、率直に意見を交換し、懇親会では心の奥底から語り合いました。
「交流会ではたくさん泣いてしまいましたが、心はとても明るくなりました」。韓国の自死遺児の一人はこんなメッセージを残しています。

自殺への社会の偏見をなくすことこそが急務であることを日韓の参加者たちは改めて確認しました。日韓自死遺児交流会は2018年に韓国で2回目を開催し、2020年には日本で3回目を開催することになります。
                                
=続く 次回は、㉚2017年3月編「いのち支える映画会」です。

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