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【2023年9月 更新】執筆実績まとめ

▼Web編集「まんぷくベジ」https://www.manpuku-veggie.com/ ▼ インタビュー記事▼ブックライティング▼特集記事▼スポット紹介 ▼漫画評・映画評・書評▼プレスリリース 【Twitter】 【Instagram】 https://www.instagram.com/yukikoamano/

    • 「生活と追憶」文学フリマ東京38 第一展示場w-11

      1作目のエッセイと共に、新作『生活と追憶』を販売します。 2023年11月から2024年2月まで フランスのディジョンという街で暮らしていました。 華やかではないけれど、まばゆい瞬間があった90日間。インスタにのせるにはひかえめすぎる、 忘れたくはない日々を書き留めました。 お手にとっていただけたら嬉しいです! 本作に載せているエッセイを1編、noteでも公開しています。こちらもぜひ。

      • 「静寂」

        フランスの地方都市での生活に馴染んでくると、日本との圧倒的な違いに気がついた。フランスには「エンタメ」が少ないということ。いや、日本があらゆるエンタメコンテンツに溢れかえっているだけかもしれない。特に東京にいれば、無理なくおもしろがれる物事に簡単に出合えてしまう。 秋アニメには何をやるのかなとか、フリーレン展に行けなかったなとか、日曜日にやっているワンピース最新話をリアタイするとか。ぜんぶアニメの例えになってしまったけど、とにかくサブカル、エンタメ系の情報に関して日本は尽き

        • ごちそうとビズ

          本がぎっしりとつまった本棚やローズクォーツの照明、そしてふたりの息子たちからのプレゼントに囲まれたこの空間を、わたしは毎回初めて招かれたかのように黙ってぐるりと見回す。ただよう空気までもオレンジ色にいろづいているように見える。わたしたちはこうして彼の母親の家によく訪れ、一緒に食事をする。 彼女の料理はどれも本当においしい。わたしのお気に入りは、ネギやチコリがハムで巻かれたグラタンと、ニンジンとチリパウダーだけのシンプルなスープ。新鮮な組み合わせにシンプルな味つけをした料理は

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        【2023年9月 更新】執筆実績まとめ

        マガジン

        • 生活
          9本
        • 2023年フランス紀行
          3本
        • 手紙採集
          1本

        記事

          おのれのよろこびを声高にさけべ

          フランスに限ったことではないと思うけど、こっちで生活していると、スピーカーで音楽を流しながら歩いていたり、自転車に乗っていたりする人を街中でときどき見かける。そういう人とすれ違うと、たいてい恋人はその人のことを白い目で見やり、ため息をつきながら「親の教育がなってない」などと、わたしにだけ聞こえるようにボソボソと言う。 教育の問題なのだろうか?とわたしは思う。スマホのようなコンパクトなスピーカーならまだしも、新生児サイズのスピーカーを持ち歩いている人もいる。片方の手がふさがっ

          おのれのよろこびを声高にさけべ

          noteを1年続けて気づいた「書くこと」が教えてくれたこと

          努力や継続が極端に苦手である。しかし、書く、と決めると「あぁ書かなきゃ」「これも書きたいな」という出来事が次々と出てくる。かなり面倒くさい。 それなのに毎回、書くことを選んでいた。物ぐさのわたしが、せっせと書いている。noteにアップする。アクセス数をしつこくチェックし、がっかりする。1年が過ぎようとしている。 さまざまなことが起きるのが現実だ。時に、つらいことやかなしいこと、できれば自分の人生に起きてほしくない出来事も起きる。でも、これらの出来事に対して「起きたとしても

          noteを1年続けて気づいた「書くこと」が教えてくれたこと

          眠れない夜と淡い夢|ブルゴーニュで借りぐらし

          汗をすごくかいたと言って、恋人が夜中に目を覚ました。やがてまた、深い眠りに戻っていった。わたしの睡眠は不本意にも中断されてしまった。 窓からわずかに漏れる月明りに照らされている背中が、穏やかな寝息に合わせてうごく。わたしは山あいの村でたったひとり、取り残されているような気分になった。いや違う、ここはフランスだ。わたしはいま、フランスのブルゴーニュ地方で恋人と暮らしている。 あぁ、今すぐ日本の家族に会いたい...。

          有料
          300

          眠れない夜と淡い夢|ブルゴーニュで借りぐらし

          ずっと、フランスで暮らしたかった

          学生時代はパリへ留学。2023年春には、パリとリヨン、アヌシーに2週間弱の滞在。 それでもずっと、フランスで暮らしたいという思いが消えなかった。 もちろん日本に比べたら、治安も悪いし、不便なことも多いし、ここに住む人を冷たいと感じることもしばしば。そういうところを十二分に承知した上で、「この国で生活を営んでみたい」と思ったのだ。 * フランスで暮らし始めて2週間が経った。計画的になにか行動していたわけではないのにもかかわらず、トントンと事が運んでしまった。経緯はまた別

          ずっと、フランスで暮らしたかった

          書いていく決意は生活を愛する勇気だった

          初めて自作のエッセイを作り、初めて出店した文学フリマで販売した。体験や感情、考えを届ける言葉そのものにお金を支払ってくれることの尊さや有難さは、ブースに立ち、販売したからこそ深く理解できた。おいしいケーキやすてきな洋服とはわけが違うのだ。 文フリやSNSを通して、わたしを知ってくださり、はじめての本を購入してくださり、本当にありがとうございました! オンラインショップの準備ができました。タイトルが長いとうわさの1冊目のエッセイ『世界の大きさを、彩りを、自分で決めないことに

          書いていく決意は生活を愛する勇気だった

          やさしいバリケード

          11月11日に開催された「文学フリマ東京37」で、自費出版のエッセイを販売した。書き終えられた達成感や、本として形になる喜びは、今まで感じたことのないものだ。自分なりに文章と向き合ってきてよかったと心の底から思う。 それから、ブログなどのオンライン上のプラットフォームに自分の文章を残すことと、本にすることは、まるで異なる行為だということを知った。 noteの横書きの文章を縦書きに直し、紙の素材や文字のフォントを選び、表紙のデザインを考える。紙の本を作るということは、文章を

          文学フリマ東京37に出店します

          2023年の5月、「文学フリマ東京36」に訪れた。熱狂する大人たちが、とてもまぶしく見えた。こういう大人になりたいと思った。 それからわたしは、文学フリマから約5か月間の大小の出来事を言葉にした。それらを束ね、ZINEにすることは、自分には及ばない大きなことだと思い、遥か遠くを眺めている心地がしていた。しかし現実は逆だった。ぴたりと張り付き、わたしそのものと同化していた気持ちを、丁寧にめくり取るような作業だった。(うまくいったかはわからないし、うまくいくということがどういう

          文学フリマ東京37に出店します

          世界と虚無を行ったり来たりしたい

          旅が日常になって、新しい習慣ができた。ありふれているけれど、銭湯や日帰り温泉に行くようになった。 ハマったわけは、スマホを手放すことができるから。誰も、わたしの邪魔をすることができないから。スマホでさえも、わたしの時間を奪えない。スマホを持ち込んでしまう自宅のお風呂(嫌な習慣だ)とはわけが違う。 強制的にスマホから切り離される環境で、ようやくわたしは孤独に成れた。 ひとりきりの時間、べつに特別なことをしているわけではないんだけれど、強いてあげるなら、我が肉体を儀式のよう

          世界と虚無を行ったり来たりしたい

          天草 アルバムをめくるように

          ついに天草へ訪れることが叶った。 「天草」という土地に興味を持ったのは、今からおよそ10年も前。大学の講義で、隠れキリシタンについて学んだことがきっかけだった。たしか、隠れキリシタンの歴史そのものの講義というより、日本に影響を及ぼした異文化について時代別に学ぶものだった。隠れキリシタンのパートは、2,3週取り上げられただけで終わった。 その後、多くの作品でキリスト教を題材にしていた小説家・遠藤周作を研究する講義を履修した。扱った作品の中でも『沈黙』は、私に鮮烈な印象を与え

          天草 アルバムをめくるように

          Instagramは一番長く続けているSNSだから連携できるようになってうれしい~!ストーリーで素を出しがち。

          Instagramは一番長く続けているSNSだから連携できるようになってうれしい~!ストーリーで素を出しがち。

          宍道湖のかたすみでアヌシーを愛した

          目の前の旅に夢中だ。それでも、4月に訪れたフランスを頻繁に思い出す。観光らしいことは大してできなかった13日間の最終日、わたしはアヌシーにいた。アヌシーはスイスとの国境にある街だ。 (書くといって放置状態だった旅行記。お次はパリについて書くといいつつ、最終日のアヌシーについて書き散らす...) パリから始めた旅路はリヨンへ、そして最後にアヌシーへと向かった。移動するたびに澄んでいく空気に共鳴するように、からだも緩む。 アヌシーの湖は、川のきよらかさや海の豊かさとも違うも

          宍道湖のかたすみでアヌシーを愛した

          分かち合えないことは、ふしあわせなことなのだろうか

          次なる旅暮らしの拠点に向かう島根県 JR木次線の車両内。一両編成のこの電車は、山間や広々とした田んぼを通り過ぎた。綺麗。 「今日の花火、キレイかなぁ?」 ふと耳にした家族連れの会話をきっかけに、近くで開催されるらしい花火大会に行くことにした。花火大会なんて随分久しぶりだ。いや、わたしだけじゃない。日本のあちこちで中止が続いたコロナ禍を経て、みんなが数年ぶりに体験するお祭りなはずだ。 風情を感じる町屋の商店街に、屋台が並んでいた。からあげとやきそばとかき氷と大判やきとか。

          分かち合えないことは、ふしあわせなことなのだろうか