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住宅・不動産テック事業成長 虎の巻【フィールドセールス編】

みなさんこんにちは。
リブ・コンサルティングの篠原です。

今まで住宅・不動産業界におけるマーケティング、インサイドセールスについてお伝えしてきました。
今回は「フィールドセールス」についてお伝えいたします。
より属人性が高まる領域ですが、気張って参りましょう。

いつもの業界特化という前提確認※読み飛ばし可


このnoteを読んでいただいている多くの方は、BtoBのサービスやプロダクトを展開される企業の方かと思います。
その中でもある程度業界や規模を切らずにセールス活動を行う場合、幅広い業態に通じるように、自社のサービス紹介のプロダクト紹介を中心とした内容になるケースがほとんどです。
ただ、特定の領域を重点的に掘り下げていく場合においては、同様の手法ではなかなか顧客の熱感を高めていくことはできません。
例えば、「エンプラ向けに開拓していた企業がSMBに攻める」、「都市部から地方に攻めていく」などで多くお悩みを抱えているのではないかと思います。
住宅・不動産業界を攻めるのであれば、まずはその業界特性を把握し、ターゲットインサイトに合わせたセールスの戦略を取ることが前提です。

フィールドセールスの住宅・不動産業界攻略手法


この業界に向けたセールスは僕自身めちゃくちゃやってまして。
色々なサービス・プロダクトの事業グロースに関わらせていただく中で、自分自身直接営業してみたり、セールスの育成・フィードバックをしていたりと、結構研究してきた自負があるので、いつにも増してお伝えしたいことは沢山あります。
その中でも、今回は読んですぐに取り入れることができそうな内容を2つに絞ってお伝えできればと思います。
①    「仲間」であることを示して懐に入る
②    “超”具体的に成果イメージを共有する

①「仲間」であることを示して懐に入る

我々は日ごろ多くの住宅・不動産テック企業の会社様と情報交換をさせて頂いておりますが、その中で一番多いセールスは下記のような流れです(いわゆる失敗あるある)。

1)「会社紹介(弊社は、創業●年で、こんな会社です、こんなメンバーで創業して、こんな会社から投資を受けています 等)」

2)「導入実績(〇年〇月にローンチして、今全国〇十社に導入されています等)」

3)「解決したい課題(こんなことに日頃課題を感じている会社が○%なので、特にここの業務を解決したいと思ってこのサービスを展開しています等)」

4)「サービス紹介」

オーソドックスで素晴らしい流れなのですが、
サービス紹介に入る前に、1つ気を付けないといけないことがあります。

以前の記事でも繰り返しお伝えしている内容になりますが、住宅・不動産会社は、「業界理解がない会社・ヒト・サービスには聞く耳を持たない」傾向があるということです。
その中でも特に大事なのが「ヒト(=営業担当者)」です。
「この営業は、業界の商慣習がきちんとわかっている人だ」という認識を持たれていないまま商談を進めてしまうと、「サービスはわかったよ。あとは社内で検討するね」と言われる確率が非常に高くなります(基本そのまま中長期化)。

基本的に商談相手のRM・KMはその道で何十年の猛者たちであり、自分たちがやってきたことにプライドがあります。かつ、自分たちが所属している業界が独特の商習慣を持っているという意識が強いため、基本的に我々が全ての業界にあてはまるようなことを話していても、聞き手側は心の中で「どうせウチの業界には当てはまらないでしょ。」と思われていることがほとんどです。

なので、まずは「我々は業界を深く理解しています。そのうえで皆さんの抱えている課題にも実務ベースでの理解があります。」ということを伝え、仲間であることを伝えていくことが重要です。

中には「不動産テック」というモノ自体を「何だか気取っている」と、毛嫌いしている方がいるのも事実です。(勿論、常に最新の情報をインプットしている勉強熱心な方も沢山おられます)

ここですぐに取り入れられることは意図的に業界ならではの用語・略語を使うこと。
住宅であれば、棟数(≒売上)・営設工(営業/設計/工務)・規格(住宅)・モデル(ハウス)・現調(現場調査) 等
売買仲介であれば、本数(契約本数≒売上)・買い・売り・専任(媒介)・直物・先物 等

こういった業界の人しか使わない「ならでは用語」を意図的に盛り込むことで分かってる感を醸成できます。多分ネットで調べればたくさん出てきます。

そして絶対にテック系用語を使わないこと。その時点で結構聞く耳をどこかに放り投げられます。

これがまずははじめの第一歩です。

② “超”具体的に成果イメージを共有する

次にサービス紹介に入っていきますが、SaaS等の無形商材の場合は、特に「実際に利用している業務シーン」のイメージや、「利用したことによって具体的に成果が出ているイメージ」を共有出来ることが大事です。
UI/UXを動画で見せたり、場合によってはデモ画面を使ってその場でシミュレーションをしたりして、説明される会社も多いと思います。
ここで大事なことが2つあります。
1つ目は、「相手のリテラシーに合わせること」です。
つい、何件も商談をしていると、通り一辺倒の説明になってしまうのですが、具体的にどんなシーンで利用するのか、例えば不動産営業の中でもどのようなタイミングでどんな順番で何をするとどのような成果が出るのかを業務内容に沿って時系列で詳細に説明していかないと、イメージがつかないので前のめりに検討してもらえません。

2つ目は、「体験してもらうこと」です。
洋服を買いに行ったり、車を買いに行ったりした場合、試着や試乗をされますよね?
それと同様に、テックサービスも顧客に実際に操作してもらい、「感動体験」を共有することが大事です。ガラケーを使って満足している人にはやはりスマホの便利さを体験してもらわないと利用してもらうことはできません。
初回商談でデモ画面の「説明」で終わっているケースも多いと思いますが、可能であれば、ぜひお客様側にもデモ画面を触ってみてもらうと良いと思います。
特に最近はオンライン商談も多いでしょうから、この辺りを丁寧にやらないと、導入後のイメージに対する臨場感が出ません。
「受注後のオンボーディングで実施している」という会社もあるかもしれませんが、できれば初回商談の内に実施しておく方が良いと考えます。
「これは便利だ!」という印象を残せれば、決裁者であれば、その場で即決してくれる可能性もあるでしょうし、担当者であっても、社内で真剣に上申してくれるので稟議が通る可能性も高まります。

おわりに


いかがでしたでしょうか。
レガシーな産業に対してテックサービスの導入営業となると、
「これまでのやり方を変えたくない」「これまで特にそんなシステムが無くても問題無かった」というバイアスが、より強く働く点が特徴です。
これまでのやり方によって、何百年と残ってきた産業だからです。

アナログを動かすのは最終的にはぶっちゃけ力技です。
(よっぽどPMFしている場合や導入コストの低いメディア系は別ですが)
想像以上に力強いセールスが必要となりますので、テック業界全体としてセールス力を高めていければと思います。

ありがとうございました。

株式会社リブ・コンサルティング
住宅・不動産インダストリーグループ
マネージャー
篠原健太

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