李琴峰

作家、翻訳家。芥川賞、芸術選奨新人賞受賞。新刊『言霊の幸う国で』6月下旬刊→http:…

李琴峰

作家、翻訳家。芥川賞、芸術選奨新人賞受賞。新刊『言霊の幸う国で』6月下旬刊→http://amzn.to/4eaqNUw。芸術選奨新人賞『ポラリスが降り注ぐ夜』→http://amzn.to/3hdIPIU。公式サイト→http://likotomi.com

マガジン

  • 【漢詩和訳】シリーズ

    李琴峰が好きな漢詩を現代日本語の散文に訳し、短い文章を添えるシリーズです。

記事一覧

固定された記事

【支援者募集】滝本太郎によるデマ・名誉毀損・セクハラを告発します

一、滝本太郎によるデマ拡散・名誉毀損などの不法行為  作家の李琴峰です。  先日、滝本太郎が私について、Twitter(X)でこんなでたらめな投稿をしました。  私はSNS…

李琴峰
1日前
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Omegamanの馬鹿げた誤読に反論する

 Omegamanとかいうおっさんの顔のアイコンのアカウントがありますね。あまりにも馬鹿げたことを言っているので反論させていただきます。  この匿名アカウントによれば、…

李琴峰
1日前
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いまだに李琴峰は反日だと騒いでいる人たちとか

 最近新聞に出たりしているから、また3年前に私が芥川賞を受賞した時「忘れてしまいたい日本語は『美しいニッポン』」発言を引き合いに出して、「李琴峰は反日だ」「こん…

李琴峰
8日前
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プライド・クルーズ大阪2024 スピーチ原稿

 2024年5月25日、「プライドセンター大阪」主催のイベント「プライド・クルーズ大阪2024」に、私・李琴峰はスペシャルゲストとして参加し、スピーチをしました。  以下…

李琴峰
11日前
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【5/11更新】毎日新聞5/8付、入管法改正関連記事に抗議しました

2024年5月8日付で、毎日新聞は「永住者、税金など未納は1割 厳格化めぐり国が初公表」という記事を配信しました。 この記事のタイトルと内容は、日本に住む永住者に対する…

李琴峰
3週間前
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【記事まとめ】思索のノート:虹の筆で彩って

 2023年4月~2024年3月の1年間、長野県をベースにした地方紙「信濃毎日新聞」において、月に1回のペースで「思索のノート:虹の筆で彩って」というコラムを執筆してきまし…

李琴峰
3か月前
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李琴峰の2023年振り返り

 2023年も終わりを迎えようとしていますね。皆さんは元気に生きていらっしゃいますか?  2023年は色々なことが大きく動いた1年だったと思います。悲しいこともあれば、…

李琴峰
5か月前
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李琴峰新刊『肉を脱ぐ』試し読み

 ※この記事は、2023年11月1日に刊行された李琴峰の新刊『肉を脱ぐ』(筑摩書房)の試し読みです。  ■Amazonページ:https://www.amazon.co.jp/dp/4480805141  湯船…

李琴峰
5か月前
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他者を書くということ:クィアの観点から

※この記事は、米アイオワ大学国際創作プログラム(International Writing Program)参加中に、アイオワ公共図書館で開催されるパネル・ディスカッションのために書いた発…

李琴峰
7か月前
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声明:トランスジェンダー・ジャパン関係者が性加害告発を受けた件について

2023年11月2日 李 琴峰  過日、「東京トランスマーチ」の主催団体である「トランスジェンダー・ジャパン」(以下、TGJP)の関係者が性加害の告発を受けたことを、「一…

李琴峰
7か月前
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誹謗中傷裁判カンパのお願い

ryuchellさんの訃報を知った時に書いたnote記事でも触れていますが、私、李琴峰は今、複数の誹謗中傷者を相手に、民事訴訟や刑事告訴など法的措置を取っています。 これら…

李琴峰
9か月前
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ryuchellさんの訃報に関連して

Facebookで友人がryuchellさんについて「ゆっくりお休みください」とつぶやくのを見て、芸能活動を一時休止するのかなと思いました。確かに、ryuchellさんに対するSNSでの…

李琴峰
10か月前
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李琴峰の2022年振り返り

 先日、33歳の誕生日を迎えました。  年末に誕生日がある人にとって、歳を取ることと1年を送ることがほぼリンクしており、誕生日になると、また1年が終わってしまったの…

李琴峰
1年前
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【中文】李琴峰出道5周年紀念限量版《流光》NFT小說專案

★★★本專案販售期間已過,感謝支持★★★2022年5月,正是李琴峰作家出道5週年的月份。李琴峰出道作《獨舞》首次登上日本的文學雜誌,是2017年5月,正好是5年前的事。 出…

李琴峰
2年前
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【日本語】李琴峰作家デビュー5周年記念NFT小説「流光」プロジェクト

★★★本プロジェクトは終了しました★★★ 2022年5月に、李琴峰は作家デビュー5周年を迎えます。 李琴峰の初の小説『独り舞』(原題「独舞」)が文芸誌で掲載されたのは20…

李琴峰
2年前
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李琴峰新刊『生を祝う』試し読み

 ※この記事は、2021年12月7日に刊行された李琴峰の新刊『生を祝う』(朝日新聞出版)の試し読みです。  日本で「合意出生制度」が確立されたのはちょうど私が生まれた…

李琴峰
2年前
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固定された記事

【支援者募集】滝本太郎によるデマ・名誉毀損・セクハラを告発します

一、滝本太郎によるデマ拡散・名誉毀損などの不法行為  作家の李琴峰です。  先日、滝本太郎が私について、Twitter(X)でこんなでたらめな投稿をしました。  私はSNSの毒を遠ざけ、創作のための時間と精神的余裕を得るために、ふだんはTwitterをほとんど見ないようにしています。  したがって、友人から連絡が来るまで、私は自分がこんなことを書かれたのを知りませんでした。  当たり前だが、滝本太郎のこの投稿は完全なるデマであり、何ひとつ確かな根拠がなく、事実に基づか

Omegamanの馬鹿げた誤読に反論する

 Omegamanとかいうおっさんの顔のアイコンのアカウントがありますね。あまりにも馬鹿げたことを言っているので反論させていただきます。  この匿名アカウントによれば、私は自分で「トランスジェンダーであることを示唆している」しているとのことですが……  根拠にしているのはこちらのハフポストの記事です。  このOmegamanとかいう匿名アカウントによる読解は、誤読を通り越して曲解の域に至っているとしか言いようがありません。 「規範的なジェンダーからの逸脱者」と書くと

いまだに李琴峰は反日だと騒いでいる人たちとか

 最近新聞に出たりしているから、また3年前に私が芥川賞を受賞した時「忘れてしまいたい日本語は『美しいニッポン』」発言を引き合いに出して、「李琴峰は反日だ」「こんなやつに芥川賞を与えるなんて芥川賞も地に落ちたな」とか騒いでいる連中がいるらしい。  こんなのとか。  こんなのとか。  こんなのとか。  こんな脅迫も届いた。  そういえば2021年7月に、鈴木傾城という右翼ライターが「李琴峰の芥川賞受賞は、反日左翼による日台離反工作かもしれない」というとんでもない陰謀論を

プライド・クルーズ大阪2024 スピーチ原稿

 2024年5月25日、「プライドセンター大阪」主催のイベント「プライド・クルーズ大阪2024」に、私・李琴峰はスペシャルゲストとして参加し、スピーチをしました。  以下、スピーチ原稿をここに掲載します。3分間くらいの短いスピーチです。  この原稿は、日本のクィア・コミュニティに広く伝えたいことでもあります。ぜひご一読ください。 --  皆さんこんにちは。小説家の李琴峰です。  スピーチをしてほしいと言われましたが、プライド・クルーズは初めてでどんな話をすればいいのか分

【5/11更新】毎日新聞5/8付、入管法改正関連記事に抗議しました

2024年5月8日付で、毎日新聞は「永住者、税金など未納は1割 厳格化めぐり国が初公表」という記事を配信しました。 この記事のタイトルと内容は、日本に住む永住者に対する偏見を煽るものであり、誤報である可能性もありますので、毎日新聞社の問い合わせフォームでお問い合わせ・抗議をさせていただきました。 毎日新聞社に送付したお問い合わせの文面を以下となります。 何とぞご一読いただき、ご賛同いただける場合は拡散にご協力ください。 -- 貴社所属の三上健太郎記者が、5月8日付で、以

【記事まとめ】思索のノート:虹の筆で彩って

 2023年4月~2024年3月の1年間、長野県をベースにした地方紙「信濃毎日新聞」において、月に1回のペースで「思索のノート:虹の筆で彩って」というコラムを執筆してきました。  このコラムはタイトルからも分かるように、すべてクィア/LGBTQ+の観点から書いています。日本に住む一人のクィア女性(レズビアン)から見た世界の景色、クィアの文化と歴史、差別の現状とそれに対する批判、時事問題と論考など、毎回違うテーマを取り上げています。  日本の新聞において、このようにはっきり

李琴峰の2023年振り返り

 2023年も終わりを迎えようとしていますね。皆さんは元気に生きていらっしゃいますか?  2023年は色々なことが大きく動いた1年だったと思います。悲しいこともあれば、嬉しいこともあります。絶望に浸るような理不尽なことも起きたが、曇り空の向こうから一筋の光明が見えるような希望を抱いた瞬間もありました。  社会的には、LGBT理解増進法が改悪に次ぐ改悪の末、与党の賛成多数で通りました。この法律は当事者不在どころか、議論の最中には差別主義者が国会に招かれて堂々と差別発言をまき

李琴峰新刊『肉を脱ぐ』試し読み

 ※この記事は、2023年11月1日に刊行された李琴峰の新刊『肉を脱ぐ』(筑摩書房)の試し読みです。  ■Amazonページ:https://www.amazon.co.jp/dp/4480805141  湯船に浸かると、髪の毛先、乳房の先端、そして全身の毛穴から粉末くらいの小さな粒子がぽこぽこと浮かび上がり、お湯の中で広がっていく。かじかんで寒暖の区別がつかなくなりかけていた手足は、次第に温かいという知覚を取り戻していく。  鼻の下ぎりぎりまで顔をお湯の中に浸け、冷え

他者を書くということ:クィアの観点から

※この記事は、米アイオワ大学国際創作プログラム(International Writing Program)参加中に、アイオワ公共図書館で開催されるパネル・ディスカッションのために書いた発表原稿です。パネルのテーマは「他者を書くこと(Writing the Not-Self)」。記事は英訳を前提に書きました。 --  一人のクィアの創作者として、私は常に「他者を書くこととはどういうことか」と自問自答せざるを得ない。  日本でクィアの経験を書くのは容易ではない。日本はいま

声明:トランスジェンダー・ジャパン関係者が性加害告発を受けた件について

2023年11月2日 李 琴峰  過日、「東京トランスマーチ」の主催団体である「トランスジェンダー・ジャパン」(以下、TGJP)の関係者が性加害の告発を受けたことを、「一般社団法人ふぇみ・ゼミ&カフェ」をはじめとした団体の声明で知りました。  私はクィア・コミュニティの一人として、普段からトランス差別を含むあらゆる差別に反対・抵抗する立場を明らかにしており、自らの創作・言論活動でも差別解消に努めてまいりました。TGJPは限られた人数と資金で、手弁当で運営されている団体

誹謗中傷裁判カンパのお願い

ryuchellさんの訃報を知った時に書いたnote記事でも触れていますが、私、李琴峰は今、複数の誹謗中傷者を相手に、民事訴訟や刑事告訴など法的措置を取っています。 これらの法的措置へのカンパを募るために、この記事を執筆しています。 発端は言わずもがな、2021年7月の芥川賞受賞でした。受賞以降、私は夥しい数の誹謗中傷を浴びてきました。私への人身攻撃、差別発言、低レベルの侮辱と悪口、そしてデマと誤情報が、SNSを中心に広まりました。 これらの誹謗中傷はかなり長いあいだ続き

ryuchellさんの訃報に関連して

Facebookで友人がryuchellさんについて「ゆっくりお休みください」とつぶやくのを見て、芸能活動を一時休止するのかなと思いました。確かに、ryuchellさんに対するSNSでの誹謗中傷がかなりひどいものだったので、寂しいけれど心身の健康のために少し休んだ方がいいかもしれない、と私は気楽に考えました。 次の瞬間、ryuchellさんの逝去を報じるニュースが目に入りました。私はひどく動揺し、しばらく言葉を失いました。記事によると、「現場の状況から判断して自殺だった」

李琴峰の2022年振り返り

 先日、33歳の誕生日を迎えました。  年末に誕生日がある人にとって、歳を取ることと1年を送ることがほぼリンクしており、誕生日になると、また1年が終わってしまったのか、という感慨にどうしても耽ってしまいます。  2022年は色々なことが起きましたね。ロシアによるウクライナ侵略戦争、神道政治連盟のLGBT差別冊子配布事件、安倍元首相銃殺事件、そしてその後の統一教会をめぐる一連の騒ぎ。Twitter買収によるオンライン環境の悪化、防衛費の増額と増税、台湾と中国の緊張関係など、世

【中文】李琴峰出道5周年紀念限量版《流光》NFT小說專案

★★★本專案販售期間已過,感謝支持★★★2022年5月,正是李琴峰作家出道5週年的月份。李琴峰出道作《獨舞》首次登上日本的文學雜誌,是2017年5月,正好是5年前的事。 出道之後一路走來,自覺寫了不少東西,但回頭一看,發現竟也才過了5年而已。不管如何,出道5週年畢竟是作家生涯的一個重要里程碑,在此,李琴峰隆重推出首批「NFT小說」,作為出道5週年的紀念! 本次企劃首波販售所獲得的淨利10%金額,將會用於捐款,回饋社會。 ■販售期間:5/20(五)台灣時間20點~ ■販售網

【日本語】李琴峰作家デビュー5周年記念NFT小説「流光」プロジェクト

★★★本プロジェクトは終了しました★★★ 2022年5月に、李琴峰は作家デビュー5周年を迎えます。 李琴峰の初の小説『独り舞』(原題「独舞」)が文芸誌で掲載されたのは2017年5月で、ちょうど5年間経ちます。 色々書いてきたつもりですが、振り返ってみると5年しか経っていないか、という気持ちもありますが、ともかく作家デビュー後に迎えた初めての節目に、記念として「NFT小説プロジェクト」をやってみることにしました。 なお、本プロジェクトの一次販売による純利益の10%に相当する金額

李琴峰新刊『生を祝う』試し読み

 ※この記事は、2021年12月7日に刊行された李琴峰の新刊『生を祝う』(朝日新聞出版)の試し読みです。  日本で「合意出生制度」が確立されたのはちょうど私が生まれた年、今から二十八年前のことだった。  五十数年前、「失われた三十年」の末に日本が迎えたのは、世界を席巻する流行り病の災いだった。収束まで五年もかかり、世界人口の三分の一が失われたと言われるその災禍が、もともと不況だった日本経済を一気にどん底へ叩き落した。多くの国民が職を失い、国全体が食糧不足に陥り、街に出ると