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【カフェ】ユウリちゃんのドーナッツ Friday is Dounuts day!

「あやさん、次の新しいお菓子なにがいいですかね? なにか食べたいものありますか?」
「うーん、そうだなあ。 あ!ベニエ食べたい。まんまるくって、ふわっとしてて、お砂糖まぶしてあるやつおいしいよねえ。フライ(揚げ物)デーだから、金曜だけ限定ベニエとか?わはは。」
っと、昼下がりの厨房で話したのが昨年の11月。

ベニエはフランスのパン屋さんでは本当によく見かける定番お菓子だ。周りに砂糖がついてるだけのナチュールや、中にフランボワーズジャムやクリームがはいっている揚げ菓子で、素朴だけど揚げたては本当においしい。

そんな私のつぶやきのようなリクエスト、いや思いっきりの思いつきにも、勤勉なユウリちゃんは、きちんと応えようと、私が不在の1月にせっせとベニエの試作をしてくれたのだった。
こうして生まれたのが、金曜日限定のドーナッツ。
ベニエといってもわかんない人も多いから、ドーナッツって名前にしようかねということでDounut Dayとなっただけで、本当はBeignet Dayなのだ。

ベニエはパン屋さんのお菓子だから、生地はイーストを使って発酵させる。ホットケーキミックスをかちゃかちゃっとまぜて揚げるドーナッツとはちょっと違う。

つまり、時間と手間がかかるのだ。
そのうえ、この生地はこするようにねって伸びをよくするのが大事なんです!っとまるで蕎麦打ち名人のようなことをいうユウリちゃんだった。

こちらが、Dounuts Dayの手順表である。

ユウリちゃん手書きの手順表。ドーナッツ2回戦。ドーナッツ作りは戦いなのだ。

手順が多いので、5分刻みで細かくやることが決まっている。 そのなかでも、特に「仕込み」っとさりげなく書いているところが、実はかなりの力仕事なのだ。両手で、ムンズとドーナッツ生地をつかんでは、まるで川で洗濯をするようにエイっエイっっとこねていく。 その合間に時々、見ているこちらがビックするするほど、ブーンと生地を引き上げる。
「こうやって生地の粘度を確かめているんです。」だそうだ。
それを何度も繰り返して、やっと良い具合に練れた生地を、同じ大きさに切り分けてくるくると丸め、オーブン上のあたたかいところで発酵させる。 
その後、すぐさま第2回戦の生地を、ムンズ、エイっエイっ、ブーンの要領で練って丸めるのだ。

ムンズっと掴む
エイっエイっ
ブーン

丸められてお昼寝した生地は、お昼すぎには、わたしたちもうこれ以上は膨らめないですっと言わんばばかりに、ぷっくりまーるくなっている。

丸くまるめたら、このままおやすみして膨らむのを待つ

これを、低めの油で、3個づつ、焦らず気長に揚げていくのである。

油で揚げるだけなら簡単かもしれないが、きれいなきつね色に上がった生地は間髪入れず砂糖の砂場で、砂糖をまぶさないといけない。ちょっとでも温度が下がると、砂糖はつかない。なので、油であげつつ、砂糖をまぶしつつ、温度を一定に保ちつつ、っと同時に一人何役もこなさないといけない。
私もできれば手伝いたいのだが、揚げるのはもちろんのこと、砂糖まぶしにも、テクニックがあるようで、失敗が怖くて今のところは見守り応援隊に徹している。

お砂糖をまぶして少し冷えたら、半分のドーナッツにはクリームを詰める。

うちはお持ち帰りがほとんどだから、カスタードベースのクリームだ。
前日に800gの牛乳で作っておいたカスタードクリームに(ここは私の担当)泡立てた生クリームを合わせてクリームディプロマットをつくる。
これがクリームのベースとなる。
そこに、パイナップルの自家製ピュレ、コーヒー、自家製いちごジャム、溶かしたチョコレートなどなどを混ぜれば、いろいろなフレーバーのクリームが出来上がる。
もちろんクリームディプロマットだけでも十分美味しい。と思う。
それこそ、フレーバーは無限大だけど、お店に出す前には、試作を繰り返して、クリームの硬さやフレーバーの強さなんかをチェックしなくちゃいけない。 
そのせいで、土曜日はときとして、5〜6種類のドーナッツの試作品を食べ比べるという、うれしくもカロリーが怖すぎる1日となる。

こうしてさまざまなステップを経て出来上がったドーナッツは、やっと13時半にカウンターに並ぶことになる。

こんなに手間暇かけたドーナッツたち、なんと初日は5分で完売!
14時近くに、小さな女の子を連れてご来店いただいたお父さんは、ドーナツが買えなくて
「パパがすぐに来ないからなくなちゃった!ドーナッツ食べたかったよー。」っと娘さんに泣かれてしまい、こちらが恐縮して謝る事態に。

その後も、おかげさまでいろんな方に楽しんでいただいて、数時間で完売の金曜日が続いている。

そばで見ていると、ユウリちゃんがあんまり大変だから、もうやめよっかっとも思ったけれど、
「出来立ては本当に美味しいわね!」「家族みんなで食べたくて買いにきたんです。」「コーヒークリーム絶対食べたかったのに今回は売り切れだったから、また絶対お願いします。」 という声を聞くと、やっぱり続けなくちゃっとも思ってしまう。

なにより、レタープレスチームが、すてきなポスター作ってくれたしね。
もちろん、古い木活字でデザインしてくれました。

文字はもちろんヴィンテージの木活字を使ってデザインしています。
FRI(Y)DAY IS DOUNUTS DAY!

さて、次はなんのフレーバーにしましょうか? 










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