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一口馬主について

今回は季節的にもよさそうなので、一口馬主について書いていきます。
最初にことわりを入れておきますが、書き進める中でいくつか有名なクラブを紹介(全てのクラブは量的にも説明できません)しますが、入会を勧めるものでも優劣をつけるためでもありません。あくまで事実を記載しているだけですので、一口馬主を検討中の方は、ご自身で入会するクラブを選んでいただければと思います。
ちなみに、李杏自身は過去に2つのクラブ、現在は1つのクラブで出資しています。

一口馬主って?

一口馬主自体、年々人気は増していましたが、ウマ娘ブームもありここ2,3年はかなり盛り上がりを見せているように感じます。そもそも一口馬主って何なのかについて記載します。
きっかけはどうであれ、競馬に興味を持った方は「馬主になりたい」と考える方も多いのではないでしょうか。ただ、中央競馬の馬主になるには条件があります(地方はまた異なります)

<中央競馬の馬主になるための要件>JRAのHP

1.日本中央競馬会競馬施行規程第7条第1号~第13号に定める事項のいずれにも該当しないこと。

2.今後も継続的に得られる見込みのある所得金額(収入金額ではありません)が、過去2か年いずれも1,700万円以上あること。
注釈: 所得金額には、一時的な所得および競馬に関する所得(地方競馬賞金等)は含みません。

3.継続的に保有する資産の額が7,500万円以上あること。
注釈: 資産に含まれるのは、ご本人名義の不動産、預貯金、有価証券(投資信託、債券等を含む)です。なお、保険証券、ゴルフ会員権、海外に所在する不動産、書画骨董等は資産に含みませんのでご注意ください。また、負債がある場合は資産額からその分を差し引いて評価します。

1は規程なので省略しますが、とりあえず2,3です。
継続的な所得が1700万円以上、資産7500万円以上持っていることがスタートラインになります。
日本の平均年収は2022年で458万円、2人以上の世帯の平均貯蓄額1563万円です。経営者や特殊な職業ならまだしも、一般人にはまず実現できるものではありません。

それでも「自分の馬を持ちたい」と思う人は大勢います。それを叶えてくれるのが一口馬主です。
馬主には個人馬主のほかに法人馬主もあります(詳細は上のJRAホームページもご確認ください)。法人馬主基準を満たした会社が馬を購入し、その馬に対して会員に出資させることで、共同出資のような感覚を味わえるようになります。

また、夢を壊すようで申し訳ありませんが、一口馬主は競走用馬ファンドと言われ、金融商品として扱われます。つまり、株式や債券と全く変わらないわけです。冷静に考えてもらえれば理解できると思います。株は会社に出資して、業績が上がれば株価が上がり配当ももらえますが、逆もあります。競走馬も活躍して賞金を稼げば配当があります、もちろん逆もしかりです。なので、配当金の額次第では確定申告が必要になることも頭に入れておいてください。

一口馬主にかかる費用

当然ですが、一口馬主はタダでなれるものではありません。初期費用、維持費用が掛かってきます。現在、一口馬主クラブは複数あり、クラブによって費用負担も異なりますが、基本的にどこでもかかる費用を紹介します。

入会金
そのクラブで出資するには、まずクラブに入会する必要があります。この時にかかる費用が入会金です。基本的に退会&再入会をしない限りは1度の負担で済みます。複数のクラブに入会する場合は、それぞれのクラブで発生します。相場としては、無料のクラブもありますが、数万円発生するのが一般的です。

会費
入会金を払って入会したあと、クラブに対してまったく費用がかからないということはありません。当然、クラブを運営するために様々な費用が掛かっていますから、会費が徴収されます。会費は毎月徴収されるランニングコストなので、退会するまで請求され続けることにご注意ください。クラブによりますが、数百円~数千円が一般的です。

出資金
入会後、時期が来たら(クラブによっては出資が確定してから入会)出資馬を決めて出資することになります。ただし、人気のクラブは会員数も多く、人気馬に出資希望者が集中して抽選になることも多々あるのでご注意ください。とにかく出資が確定したら、その出資馬に対する出資口数分、費用を払う必要があります。株式を購入する時と同じです。馬によって1口あたりの金額も違いますし、口数によっても異なります。口数の多いクラブでは1口数千円からの出資もありますが基本的には数万円~数十万円、中には数百万円かかる場合もあります。一度きりのコストではありますが、金額の幅が大きいのでクラブを選ぶ際の一つの基準としてもいいと思います。

維持出資金
出資金を払い、出資が確定(ついに一口馬主に!)したら、会費とは別に、出資馬ごとに維持出資金が毎月発生します。維持種資金というのは育成費や厩舎預託料、怪我した際の治療費など諸費用のことです。定額で積み立て、引退時に残金を清算する場合もあれば、実費精算で毎月請求額が変動する場合もあります。そのため、馬や口数によって金額は異なります。1口当たり数百円~数万円が一般的です。

保険出資金
競走馬の保険にかかる費用です。募集価格に対して保険料率(3~4%程度)をかけた金額が年に1回請求されます。2歳時が最も高く、3歳、4歳と徐々に金額が減っていく傾向にあります。募集価格と口数に依存するのでこちらも数百円~数万円のレンジがあります。

このように様々な費用がかかることもあり、一般的に一口馬主で収支がプラスになっている人は全体の1割程度と言われています。18頭弱の馬が一斉に走って1頭しか勝ち上がれないのですから当然と言えば当然です。一口馬主は、収支を優先するのであれば避けるべき「投資」であり、何かそれとは別の目的や動機がないと続けることが難しいと思います。

一口馬主の魅力

ここまで、比較的現実的な話をしてきました。それでも一口馬主に興味がある、初めて見たいという方に対して、ここでは体験談を含めた魅力をお伝えできればと思います。

①愛馬の成長を楽しめる
一口馬主の醍醐味の一つとして、愛馬の成長を楽しめることがあります。クラブによりますが、出資確定後から自分の愛馬に関する情報(クラブの所属馬は全て見れるクラブも多いと思います)が定期的に流れてきます。今どんな運動をしているのか、食欲はどうなのか、調教師や助手はどのように感じているのかなど、表にはあまり出てこない情報はもちろんのこと、写真や動画も一緒に更新されることもあります。更新頻度は馬の状況やクラブによりますが、子供の成長を見守るような感覚になります。

②夢を見ることができる
大半の人の一口馬主を始めるきっかけは、やはり「出資馬でG1を勝ちたい」ではないでしょうか。確率論としてはかなり厳しいですが、やはりそれを夢見てしまう…ロマンですね。1着になった際、抽選にはなりますが、口どり式に参加することもできます(未勝利、G1関わらず)。
実際G1どころか、重賞、OPクラスまで上がれる馬に出会うことすら大変です。ただ、一口馬主を始めない限り、その夢が叶う可能性は0ですので、始めることで夢を見ることはできると思います。
そしてなにより、一口馬主を始めるとG1ではなく、未勝利、1勝クラスを勝つことがどれだけ難しいかわかるとともに、下級のレースでも勝利の喜びを感じることができると思います。

③優しい目で競馬を見ることができるようになる
競馬をただのエンターテイメント、ギャンブルとしか見ていないと、レースで負けた際、馬や騎手、その他関係者に罵声を浴びせることも少なくないと思います。お金が掛かっている以上ある程度仕方がない部分はあるものの、SNSが普及したこともあり、最近は悪質な誹謗中傷が増えているのも事実です。
一口馬主を始めると、愛馬に「勝ってほしい」という思いは当然ありますが、何よりまず「無事に走り終えて帰ってきてほしい」という思いが強くなります。馬券だと1着でしか喜べなくても、一口馬主だと掲示板に載ったり、一つ上の順位になるだけで喜べるようになります。レース後、騎手や調教師のコメントも確認するできるので、負けたとしてもなぜ負けたのかわかりますし、場合によっては騎手の謝罪から始まるコメントもあります。
見る側ではなく、生産・レースに送り出す側を経験することで、良い意味で競馬を見る目が変わると思います。

④仲間ができる
残念ながら、私は一口馬主を通じて仲間ができたことがないので一般論(よく紹介されるメリット)になりますが、クラブによっては、年に数回会員のためのオフラインイベントが開催されます。参加することで、思わぬつながりが持てるかもしれません。

⑤牧場見学などの特典
こちらも私は利用したことがありませんが、クラブによっては牧場や競馬関係施設への入場が許される特典があります。中にはツアーを開催しているクラブもあります。状況次第では名馬や愛馬にも会えますので、都合がつく方はぜひフル活用してください。

⑥競馬の知識が増える
出資馬の状況を理解しようとすることで、自然と競馬に関する知識が増えていきます。調教タイムが更新された時、そのタイムが良いのか悪いのか、愛馬が出走する前なら気になって調べる人が多いと思います。そのほかにも、怪我したときにどんな怪我でどれくらいかかるのか、調教師はどのように考えているのか、馬とはどういう生き物なのかなど、賭けているだけではあまり気にならないような部分を積極的に知りたいと思うようになるはずです。出資する一方で、ギャンブルとしても楽しむのであれば、その知識は必ず予想に活きてくると思います。

⑦分配金がある
最後はやはりお金です。途中、収支がプラスになっているのは1割程度の人と書きましたが、逆に言うと10%の人は利益が出ているということです。金融商品として考えるとかなりヒドイ確率なので、株や債券などを勧めたくなりますが、一口馬主を始める方のほとんどは利益度外視でロマンを追い求める方だと思います。レースに勝って臨時収入が入ってくるのは、少額とはいえ、やはり人として素直にうれしいです。
愛馬の勝利祝いとして、賞金で食べるいいご飯、いいお酒は格別です。

いくつかクラブを紹介

冒頭にも記載しましたが改めて。
ここで紹介するのは、強豪・有名と言われている、思われているクラブです。入会を勧めるものではありませんし、記載していないクラブの中にもしっかり体制の整っているクラブはたくさんあります。
この記事自体、クラブの評価が目的ではなく、一口馬主の説明をすることが目的であるため、クラブについては例としていくつか紹介しているだけであること、ご理解ください。

サンデーサラブレッドクラブ

HPにアクセスしたら、勝負服を見て、あのクラブか…と思う方も多いと思います。黒字に赤のクロス、腕は黒と黄色の縞模様の勝負服です。
サンデーサラブレッドクラブの特徴は、各馬の募集口数が40口であることだと思います。非常に少数であるため、1口当たり100万円を超えることも少なくありません。その分勝利した際の分配金は大きいので、ハイリスク、ハイリターンのクラブと言っていいと思います。高松宮記念をマッドクールが制したことで、史上初めてJRA G1 26レース全てを制したことでも話題になりました。以下、代表馬です。

2006 ブエナビスタ 総賞金:13億8643万円
2008 オルフェーヴル 総賞金:13億4408万円
2016 クロノジェネシス 総賞金:11億171万円
2016 グランアレグリア 総賞金:10億7381万円
2020 リバティアイランド 総賞金:7億4444万円
※2024/4/29時点

シルクホースクラブ

水色に赤い丸が6つ並んでいる勝負服が印象的なクラブです。
各馬の募集口数は500口となっており、サンデーサラブレッドクラブに比べると1口当たりの金額は手が出しやすいかもしれません。価格帯としては3万~50万円。50万円というのは昨年の募集で更新された最高額でアロンズロッドのことを差します。知っている人には不要な説明ですが、アーモンドアイとエピファネイアの仔ですね。以下、代表馬です。

2019 イクイノックス 総賞金:17億5655万円
2015 アーモンドアイ 総賞金:15億1956万円
2015 インディチャンプ 総賞金:6億1504万円
2015 ブラストワンピース 総賞金:5億8942万円
2017 サリオス 総賞金:4億5763万円
※2024/4/29時点

キャロットクラブ

白地に緑の縞模様、腕に1本赤いラインが入っている勝負服のクラブです。
各馬の募集口数は400口となっており、サンデーサラブレッドクラブに比べると1口の金額は1/10ですが、シルクホースクラブに比べると、選ぶ馬次第では、1口の値段が少し高くなるかもしれません。とはいえ、さほど差はなく、比較的手を出しやすい価格帯になっていると思います。母親に出資していた場合、その子供に出資を希望すると抽選が優遇される母親出資者優先制度があります。以下、代表馬です。

2014 リスグラシュー 総賞金:8億8738万円
2018 エフフォーリア 総賞金:7億7663万円
2010 エピファネイア 総賞金:6億8779万円
2020 タスティエーラ 総賞金:5億7005万円
2019 ナミュール 総賞金:4億3655万円
※2024/4/29時点

以上、大きなクラブを3つ紹介しました。
くり返しになりますが、ほかにもクラブはたくさんありますので、ぜひ、ご自身に合うクラブを見つけてください。

りあん

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