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『ゴリラの森、言葉の海 (新潮文庫)』山極 寿一、小川 洋子

霊長類学者と小説家がゴリラと言葉の森を逍遥する対談集。

類人猿がいかに人に近くサルと違うかに目から鱗。

声を出して笑える、威嚇ではない形で顔を見つめ合える、勝者を作らない仲裁をする、対等性を大事にする。そんな違いは動物園では分からない。

類人猿も人も経験を積むことで親になるが、その経験が性的な関心を抑制し、そこから生じたインセスト・タブーが互酬性、更には複数の家族による地域共同体の形成の元となったとの説も興味深い。

言葉の功罪も論じられるが、「森の音」など身体で感じても言葉で表現できないことが多いとの議論も新鮮。

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