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『語りえぬものを語る (講談社学術文庫)』野矢 茂樹

講談社PR誌への連載に詳しい註を付けて、反復重層的に議論が展開された哲学書。

ウィトゲンシュタインの「語りえぬものについては、沈黙せねばならない」に反駁し、論理空間にはあるが行為空間の外にあるもの(猫又は掃除機の「クリーニャー」等)は語りにくいだけだし、論理空間の外にあるが勉強すれば使えるかもしれないものは「今の」自分には語りえないだけだとする。

概念主義への反論の中で、動物・赤ん坊と違って大人が言語を持つと言っても、人間も動物で非概念的知覚を持つとした点は、近年の認知心理学の考えにも符合するように思う。

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