心に残る歌詞をいくつか

「青春は長い坂を登るようです
誰にもたどりつける先はわからない」
                (「青春の坂道」、中司愛子・松本隆)

 ひとりで生きてゆくことに不安や困難を感じるようになる年ごろ。一緒に同じ道を歩んでくれる異性を求める思いをみずみずしく歌っています。


「春の木漏れ日の中で 君のやさしさに
うもれていたぼくは 弱虫だったんだよね」
                  (「ぼくたちの失敗」、森田童子)

 思うようにならなかった恋の終わりが抒情的象徴的に歌われています。人間という存在そのものの悲しみさえ感じさせる歌です。


「若かったあの頃 何も恐くなかった
ただ貴方のやさしさが 恐かった」
                      (「神田川」、喜多條忠)

 愛されることを望みながらも、愛されてあることに戸惑いや不安を感じてしまう繊細な心情が歌われています。


「小さなカバンに詰めた 花嫁衣裳は
ふるさとの丘に咲いてた 野菊の花束」
                        (「花嫁」、北山修)

 故郷を遠く離れて新しい人生を歩み始めようとする一人の女性。物質的には恵まれない門出ではあっても、自分の真情の確かさをよりどころとして悔いなくまっすぐに生きていこうとする姿が浮かんできます。


「あと何度自分自身卒業すれば
本当の自分にたどりつけるだろう」
                       (「卒業」、尾崎豊、)

 今の生き方から脱却できたとしても、その次の生き方が本当に納得できるもになるとは確信できない不安が湧いてきます。自分のあり方、生き方について根源的に問いかけている歌です。


「こなごなに砕かれた 鏡の上にも
新しい景色が 映される」
                   (「いつも何度でも」、木村弓)

 失意や悲しみの中にあってもできることはいろいろとある、絶望することはないのだということを詩の言葉で気づかせてくれます。

 
 人生のさまざまなかたちを歌った歌詞の中から私の心に残っているものをご紹介しました。なお、歌詞の一部は原文と異なる表記をしております。


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