抗議の表現を圧殺、不条理の極み

 官公庁の掲示板などにステンシルの技法でイスラエルによるパレスチナガザ地区攻撃を非難するメッセージを描いた方が器物損壊、建造物損壊の容疑で逮捕、拘禁されました。イスラエルはこの数カ月、ミサイルや戦車などで子どもや女性を含む無辜の人びとを多数殺傷し、難民キャンプも含む多数の住宅を破壊してきました。この巨大な暴力に抗議するささやかな非暴力の営みが犯罪とされたのです。
 巨大な戦争犯罪の責任者たちは裁かれない一方で、その戦争犯罪を告発する表現は弾圧される。人間社会の暗部を露出させたような現実を、人間社会が生み出した国家権力から私たち誰もが自由にはなれないという暗澹たる現実を私たちは見せつけられたように思います。

壁に「FREEGAZA」って描いたら逮捕されるの?  

 惨禍をかろうじて生きのびているガザ地区の子どもたちの声に耳を傾けたいと思います。
「子どもたちの引き裂かれた遺体をたくさん見ました。砲弾や救急車の音のない夜がほしいです」(7歳の少女リナ)
How I survive: a 7-year-old’s life in Gaza ガーディアン

「煙がいっぱいで目が開けられなかった。背中に石が落ちてきた」(9歳の少女エラフ) 
Gaza’s war through a child’s eye | Witness Documentary  アルジャジーラ

 公共空間におけるアート表現はヒップホップ文化のひとつのジャンルであり、グラフィティ、あるいはグラフィティ・アートと呼ばれています。ストリート・アートと呼ばれることもあります。キース・ヘリング、ジャン・ミシェル・バスキア、バンクシーなどがグラフィティ・アーティストとして知られています。グラフィティのには社会問題や政治的課題についてのメッセージを含んだ作品も多く見られます。

キース・ヘリング展(兵庫県立美術館、6月23日まで)


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