見出し画像

『トヨタの社員は机で仕事をしない』が全ての活動の基盤的考え方になること

最近では中小企業になるほど社員同士の役職格差はなくなりチームプレーの意識が尊重されている.社長は肩書だけで実際には社長も社員も同じように意見を出し合っていたりする.大切なのはチームプレーではなく、どれほど大きな結果を残すことができるか.だと思う.

この本では上司の部下に対する教育の考え方やプロジェクト以前の普遍的な意識の養い方などを提示している.

ここでは上司と部下として名前が存在しているが上司は部下を部下としてではなく、一人の大切な会社の一員として耳を傾け改善の手助けを求めていたりする.部下は自分より下の人間であるという理解は無意識的なバイアスだと思う.実際に僕も部下と聞くと自分よりも下の人間と意識してしまう.しかし自分の世界観を信じて突き進み扇動する先に待っているのは地獄かもしれない.

その地獄を回避するためには部下も上司も関係なく結果を残すために知恵を出し合うことだ.トヨタ式ではイシューの先の仮説に対して5回以上の「なぜ?」を求めるそうだが、これは中々真似することができない技術である.

人は困った時に適当な言い訳をつけて諦めようとする.仮説も同じで、仮説が本当に正しいかを「なぜ?」という自問自答を行わず検証に移そうとする人がいるが到底はうまくいかない.もし上手くいったとしても仮説に脆弱性があったり、それ以上の結果が望めなかったりすることがある.そこで重要になるのが「なぜ?」を問いかけることで、これにより仮説の正確性を高めることができる.

他にもトヨタには「八万人職場コミュニケーション総点検活動」というのがある.ここで疑問に持った人は鋭い.そうトヨタの社員数は約7万人であり、掲げている数字よりも1万人少ないのだ.この1万人は一体誰なのかというと期間従業員や派遣社員である.

社会の中には派遣社員や契約社員に対して余所者の視線を向ける人がいるがトヨタでは間違っているという.さらにこういった実際の社員ではない方が貴重な意見を提示してくれる可能性があると重宝までしている.

これは素人目線がより根本的な問題点や改善策を思いつきやすいと考えているからだ.一方向に特化した専門家が居ても常にその分野にはまり込むと道を間違っていても気づくことができなかったり、今までの経験や知識によって問題点が隠れてしまったりする.

その点素人は専門家の気づかなかった点に鋭く突いたり俯瞰して見ることができる.これがプロジェクトを進めていく上では重要な考え方になる.プロジェクトメンバーだけがプロジェクトを進めるよりも度々他部署や素人に質問をすることで思いもよらない回答やアドバイスを期待することができるかもしれない.

こういった部分に事業で成功する思考が隠れたりするものだ.

僕がこの本を全ての行動の基盤になると推薦するのはトヨタ式の持つ人の使い方の上手さがそのまま結果として現れているからだ.

情報を得ようとする時、我々はインターネットの情報を得ようと考える.しかし実際の現場とは一定のギャップがあるのがインターネット情報の欠点だ.丹羽宇一郎氏が話の中で一次情報の重要性をハッキリと述べていた.

どんなに多くの人に素地された権威ある新聞でも、そこに書かれている記事が信用できるものとは限らないのです.記者がどういうプロセスを経て情報を取ってきたのか、読者には分かりません.

丹羽宇一郎『死ぬほど読書』より抜粋

要は我々がインターネットから得る情報は少なくとも一人は間に入って届く二次情報なのだ.丹羽氏はこの二次情報を信じ込んでしまい会社に大きな損害をもたらした苦い過去があるそう.二次情報は一次情報を超えることは絶対にない.

百聞は一見にしかずと言うが、正に重要なのは自分の目で確認することだ.だからこそ机の上で書類作りに奮闘するのではなく、実際に現場に行き、情報を手に入れ現場のことをよく知ることを重要とするトヨタ式の考え方は成功につながる可能性が高い.

今の時代だからこそトヨタ式は重要な基盤になり、知っていることによるアドバンテージの大きさは圧倒的であり、問題に直面した時に強い.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?