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何やってるのか分からない人をやっている人/「書を捨てよ 町へ出て本を読め」/レーベルは「独書思想史」「美術思想史」「現代思想史」「映画評論史」「趣味と歩く」「見えてる世界は現実か」「AIと僕らの未来予想図」になっています

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『ポピュリズムとは何か』から見える日本の危機感

水島治郎著『ポピュリズとは何か』から見える現代のポピュリズム的動向について少し考えてみたい.近年、ポピュリズムの概念が普遍的な理解として広まっている.しかしポピュリズムの認識はいずれも「悪」や「扇動」「独裁」といったデメリットの部分の認識が強いと感じる. 最近急激に支持層を増やしていった「れいわ新選組」や「NHK党」は正にポピュリズム政党に当てはまる.さらに遡っていくと元大阪市長の橋下徹氏が創設した「大阪維新の会」もポピュリズム政党である. ポピュリズムに対する人々の視線

    • 『大河への道』

      千葉県北東部に位置する香取市は『大日本沿海輿地全図』を作った事で知られる伊能忠敬の地. しかし日本で最初の地図を作ったと思われていた伊能忠敬は本当は地図を完成させていなかった.文政4年(1821年)に完成された『大日本沿海輿地全図』に対し、伊能忠敬は文政元年(1818年)にすでに死んでいた. しかし、伊能忠敬の死が公表されたのは『大日本沿海輿地全図』が発表された文政4年と同じ.何故、伊能忠敬の死を4年も隠したのか.その真相に迫った映画だった. 驚くのが、伊能忠敬の最初の

      • 『Avvaival』の世界観が描く時間から解放された人々

        『Dune』を手がけたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による作品である『Avvaival』. ヘプタポッドと呼ばれる未確認生物が地球に到来するSF映画なのだが、SF映画にしては珍しく戦闘シーンがない.(一方的な攻撃はあるが) そのため未確認生物ヘプタポッドと人間の内容に注視しながら見続けることができる. 主人公はエイミー・アダムス演じる「ルイーズ・バンクス」という言語学者と物理学者のジェレミー・レナー演じる「イアン・ドネリー」という物理学者になっている. この映画の最大のポイ

        • 『FUKUSHIMA 50』

          『FUKUSHIMA 50』は東日本大震災時の福島第一原発の事故を描いた映画である. 2011年3月11日午後2時46分、日本の観測史上最大の東日本大震災が発生し、想定外の大津波に襲われる.太平洋側に面する福島県双葉町に設立された福島第一原発発電所が被害を受け、制御不能になった原発内部の暴走を食い止める為に奮闘した地元の作業員たちを描いている. この映画が見せる自然災害の恐怖と人の雑踏、危機対策の未熟さは人間の現実への回帰を思い出させてくる. 人間は山を切り開き、多くの

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          人は感動と共に成長する

          人生に於いて人は幾度も感動を覚える.しかし機会の感動は数少なく,理由の説明できない感動の共有は人生で数回しかない. 感動の最終回を迎えたドラマ,大好きなアーティストのコンサート,今まで超えることのできなかった壁を超えた瞬間や一致団結し何かを成し遂げた時. これらの感動は人間のセレンディピティに関係し0の状態からは生まれない人間の成長によって発生する感度である. 今日,僕は感動のあまり涙を流しそうになった. この涙の意味を僕は他人に説明することはできない.しかし感動を共有

          人は感動と共に成長する

          赤信号で渡らない日本人は素晴らしいのか

          「日本人は赤信号でも渡らない」 これは日本人に普遍的な価値観として認知されている考え方だと思う.外国人が日本に来て驚くことの一つが赤信号で誰一人渡らない事と言うほど異質な考え方なのだ. この考え方に異を唱えた人物がいる.それがサッカー日本代表監督を務めたフィリップ・トルシエだ. 彼ら「誰も赤信号を渡らないことにショックを受けた」と述べている. 日本人からすればイカれた奴程度の話なのだろうが、実際この話は的を得ているのではないだろうか. 我々にとって赤信号の意味とはな

          赤信号で渡らない日本人は素晴らしいのか

          2004年『I, Robot』は2035年の世界を作れるのか

          ロボットと人間の混沌とした社会を描いたアレックス・プロヤス氏による『I, Robot』. 冒頭からロボットが道を歩き、荷物を運び、人を助けるために薬を運ぶ人型のロボットに強い印象を受ける. 印象的なのは人型のロボットや未来の自転車、未来の車があるのに対し大体の街中は煉瓦造りで古いノスタルジックな建物が並んでいること.ロボットを作っている会社のオフィスが未来的なのに対しノスタルジックな社会が人々の中心になっているところに二極化した社会の印象を受ける. そして映画の最大の特

          2004年『I, Robot』は2035年の世界を作れるのか

          AI専用SNS「Chirper」は人類の最高の暇つぶし

          先日、新たなSNSとして「Chirper」と呼ばれるサービスがリリースされた.このSNSの最大の特徴が「人間は関与できない」という点だ. SNS内で会話するのは「AI」を基にしたアバターであって人間が中心にいない. このサービスに対する人々の反応は「誹謗中傷の世界から逃れる第二の世界」「争いのない美しい世界」などがある. 実際に僕も「世界遺産研究家」という名前でchirperを作成してみたが面白い. 感覚としてはMatrixに出てくる管理者と同じような境遇を感じる.僕

          AI専用SNS「Chirper」は人類の最高の暇つぶし

          『遠距離現在 Universal Remote』の幸福な社会とは何なのか.

          18世紀後半から19世紀初頭にかけて起こったイギリスの産業革命.我々の生活をより豊かにするべく普遍的な幸せを追い求めてきた.時代は21世紀に入ったが、変わらず人間は嫉妬と欲望にまみれ必要以上の豊さを手に入れようとする. そんな時代には社会から忘れられた人々が存在する.それがこの遠距離現在の世界観だと感じる. 今、僕らが期待している未来は表の世界.ドラえもんの世界観は正に人間の追い求めていく究極系だ.科学技術と文化により作られる価値は素晴らしい美しさを持っている.しかし同時

          『遠距離現在 Universal Remote』の幸福な社会とは何なのか.

          『戦場のメリークリスマス』の素晴らしさを考えてみたい

          少し前に『20240424』というテーマで戦場のメリークリスマスに触れることができたが、この映画の素晴らしさをもう少し感じてみたいと思う. 坂本龍一演じる「ヨノイ大尉」とデヴィット・ボウイ演じる「ジャック・セリアズ」による戦時中のジャワ島を舞台とした映画は今は亡き小島渚監督によって手がけられた.今は亡きと書いたが大島渚監督だけでなく坂本龍一もデヴィット・ボウイもこの世にはもういない.映画のストーリーは歴史の1ページだったが、映画自体も歴史の1ページになってしまった. この

          『戦場のメリークリスマス』の素晴らしさを考えてみたい

          『幸せへのまわり道』が作り出す世界観は現実世界で決して触れられない

          マリエル・ヘラー監督の『幸せへのまわり道』という映画.僕が見てきた映画の中でも特に何も解明されず日常のストーリーとして終わった作品.現実のテレビ番組にストーリーを加えた映画でトム・ハンクス演じる「フレッド・ロジャース」とマシュー・リース演じる「ロイド・ボーベル」の関係に注目がいく作品. 主人公は父親を憎むロイド・ボーベルで、父親との関係がフレッド・ロジャースの影響によって徐々に良くなるのが大まかなストーリーである. このフレッド・ロジャースという人間は社会からは聖人的な印

          『幸せへのまわり道』が作り出す世界観は現実世界で決して触れられない

          ウイイレが凄い話

          先日『自在化身体論』に関するnoteを書き、「自動化」と「自在化」に注目してみた.その上で「自在化」における例として提示されていた「ウイニング11(ウイイレ)」(現在はe-フットボールに改名している)の凄さについても追求してみたいと思う. まず、ウイイレでは11人のサッカー選手を時と場合に応じて制御と操作をするサッカーゲームである. 簡単に言えば11人を1人で巧みに操り管理者側は常に1=1の視点を保ちながら1=11の試合を可能にしている.これは驚くべきことで、人々は常に入

          ウイイレが凄い話

          『自在化身体論』は「自動化」と「自在化」 

          稲見昌彦教授らによる『自在化身体論』.稲見教授と言えば透明なマテリアル「光学迷彩」の研究で有名だが、この本の中では人間の拡張可能性について興味深い話をしている. この本の中で取り上げられている「自動化」と「自在化」と言う考え方.最近注目を集めている完全自動運転やルンバといった掃除機は「自動化」に当てはまる.そして自在化と言うのは人間の身体性の限界を超越したアプローチを取ることだと思う. 例えば両手を使っていて手が離せない時に水が飲みたいという欲求は現実的には不可能だ.なぜ

          『自在化身体論』は「自動化」と「自在化」 

          『マトリックス レザレクションズ』が作り出すのは今のSNSの鏡的世界なのか

          ラナ・ウォシャウスキー、リナ・ウォシャウスキー監督による『マトリックス レザレクションズ』.レザレクションズが「復活」の意味を持つように前3部作シリーズを踏襲している. 監督であるラナ姉妹は性転換手術によって「姉妹」になっている.この時期は前作のレボリューションズからレザレクションズの期間にかけてであり、映画に監督の性転換(ジェンダー)への意向が入っているに違いない. そんな監督の意図を汲み取りながらレザレクションズと現代社会のSNS社会を照らし合わせたい. まず、この

          『マトリックス レザレクションズ』が作り出すのは今のSNSの鏡的世界なのか

          『芸術的創造は脳のどこから生まれるのか?』は知性があって生まれるセレンディピティ

          大黒達也氏による著書『芸術的創造は脳のどこから生まれるのか』は人間の脳メカニズムに基づいた創造性プロセスを分かりやすく紹介している.この芸術的創造は芸術のみならず仕事におけるアイデアや新しい発見を助長する際にも有効な手立てである. そして創造性において最重要なのが「知性」である.この知性を基に創造的とは何かを考えてみたい. 記憶は2種類の大きな枠組みで捉えることができる.「潜在記憶」と「健在記憶」だ. まず潜在記憶は人間のエピソードに基づいて記憶されることで無意識的な行

          『芸術的創造は脳のどこから生まれるのか?』は知性があって生まれるセレンディピティ

          『トヨタの社員は机で仕事をしない』が全ての活動の基盤的考え方になること

          最近では中小企業になるほど社員同士の役職格差はなくなりチームプレーの意識が尊重されている.社長は肩書だけで実際には社長も社員も同じように意見を出し合っていたりする.大切なのはチームプレーではなく、どれほど大きな結果を残すことができるか.だと思う. この本では上司の部下に対する教育の考え方やプロジェクト以前の普遍的な意識の養い方などを提示している. ここでは上司と部下として名前が存在しているが上司は部下を部下としてではなく、一人の大切な会社の一員として耳を傾け改善の手助けを

          『トヨタの社員は机で仕事をしない』が全ての活動の基盤的考え方になること