男子高校生に栄養療法やってみた③
【1話から読む】
バーベキューから2か月後の
深夜のカフェにて
私は彼の母と一緒に、
我が家にホームステイしないかという提案を
していました
食生活がめちゃくちゃで
お母さんのご飯も食べないし
言うことも聞かないし
なかなか勉強もはかどらないから
私の家で栄養も勉強も面倒見ようという
作戦です
なかなか首を縦に振らない彼
もう駄目かと思ったそのとき・・・
「まぁ・・・はい。」とな!
2時間!2時間かかった!
いや、なんなら2か月かかってる。
いや待って、「まぁ・・・はい。」は「イエス」ととっていいんか!?
いいらしい!
とりあえずは第一関門クリアです。
*
この2か月、実は何度か彼に
栄養の指導をしていました
彼の体調と食べているものを詳しく聞き、
私は問題はインスタントラーメンと
常飲しているペットボトルの甘いサイダーだと
狙いを定め、
どちらかをやめるように言ったのです
彼は、甘い飲み物をやめると言いました
私は彼の決断に心から敬意を抱き、
えらい!
変わりたい気持ちは、必ず人を動かすんだ!
と、満足した気持ちでいました
もちろん、そうは問屋が卸さない
彼はすぐに甘い飲み物を
また飲み始めました
そして私と話すのを
嫌がるようになりました
当たり前です。
ジャンキー体調不良の
高校生です
「マイルドドラッグ」と言われる砂糖を
やめられるわけがない
果たしてこれは、彼の、意志の問題でしょうか
彼は、困っているのです
彼だって、できるならちゃんとしたいと願っている
もう高校生なのだから自業自得と
切り捨てていい問題でしょうか
脳が快楽を覚える砂糖の量を
企業は知っています
それが安価で手に入ります
学校でもどこでも、砂糖の悪影響など
教えてくれません
彼が行った病院では
血液検査はしてくれても
食事指導はしてくれません
母親のご飯を食べないようになる
ストレスはどこから来たのか
彼にとってそこまで苦ではなかった勉強が
大学受験のための高校生活
高校受験のための中学校生活
幼少期からそのための習い事の数々の中で
学ぶことの本来の楽しさはいつまであったのか
親に 教師に 大人に 社会に
忖度することを覚え
自分が何がしたいか
何が欲しいのか
どうなりたいのかなんて
聞かれてもわからないのです
そんな社会構造
教育構造
経済構造の中で
甘い飲み物を辞められなくて
だらしがなくなってしまったことを
彼だけの「自己責任」と
大人が言ってしまうことは
それこそが責任逃れではないのでしょうか
*
我が家にホームステイすることの
何がそんなにイヤやったんかなぁと
予想しながら
あまり色んなことを無理強いしたり
いきなり私の普段のご飯を無理やり食べさそうとしたりすると
拒否反応も出るかもしれないと
私も彼のお母さんも慎重でした
「無理せず週に2日からはじめようか」
「何曜日にする?」という問いかけに
黙って携帯電話に映る時間割とにらめっこした彼は
答えました
「じゃー、月・火・木。」
???
「え、週に3日行くの?2日から始めたら?」
とお母さん。
「いや、べつに、行ける」
と高校生。
目を合わせる私とお母さん。
えーっと。
ひょっとして意外と乗り気なんか?
さて、いよいよ、ホームステイが、始まります。
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