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『サル痘(Mpox)』日本で流行の兆し。世界での流行が落ちついている中、外国人観光客増加の影響か?

サル痘は1年くらい前(2022年春頃)に注目されましたが、その後日本では流行しませんでした。

1年間で世界的な流行もすっかり落ち着いていた印象でしたが、なぜかここ最近、日本での症例数が増えているようです。

あらためて世界の状況を含めて確認しておきたいと思います。


◆サル痘(Mpox)とは?

あまり知らない人のために厚労省のリーフレットを引用しておきます。

サル痘とは
[2023.04.18 引用]
https://www.mhlw.go.jp/content/000957516.pdf

◆世界の状況

Our World in Data から直近1年の推移を確認してみます。
全体に続き、欧州と南米がわかるようにしたグラフを引用します。

なお、グラフはすべて以下リンクから[2023.04.18]時点のデータです。

全体(赤線は米国)
欧州
南米

◇◇◇

以下にCDCのデータから感染者の性別・年齢を示します。
主要な属性は当初と変わらないようですね。
全体の95%程度が男性(Men)です。

Mpox Cases by Age and Gender, Race/Ethnicity, and Symptoms | Mpox | Poxvirus | CDC
[2023.04.18 引用]
https://www.cdc.gov/poxvirus/mpox/response/2022/demographics.html

◆日本の状況

日本の最近の急増について毎日新聞から記事を引用します。

サル痘 広がり始めた今、対策強化が急務
谷口恭・太融寺町谷口医院院長
2023年4月17日

3月から感染者が急増

厚労省のデータによると、23年に入ってから感染者数が増加し続け、4月13日時点で、2022年7月25日からの累計で109例の報告があります。特筆すべきは感染者の「急増」で、3月に医療機関を受診した人だけで69人にも及びます。感染源は、昨年夏の時点では渡航歴のある報告が注目されましたが、現時点で総括すれば4月13日までの109人中、「渡航歴なし」は103人(約94%)と大半を占めます。ということは、これからますます国内での感染増加が予想されます。

サル痘 広がり始めた今、対策強化が急務 | 実践!感染症講義 -命を救う5分の知識- | 谷口恭 | 毎日新聞「医療プレミア」
[2023.04.18 引用]
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20230414/med/00m/100/001000c

◇◇◇

以下、厚労省のデータから最近の推移です。
たしかに増えてますね。

国内の発生状況
[2023.04.18 引用]
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.html

◆まとめと所感

世界での本格的な流行は約1年前に欧州から始まりました。
ピークは欧州、米国、南米の順で推移し、現在はおおむね収束している印象です。

細かく見ると米国では少ないながらもコンスタントに感染者が記録されているようですが、その他多くの国としては収束と考えて良いでしょう。

季節が関係するのなら直近での再燃に注意が必要ですが、不特定多数にエアロゾル感染するようなものでもなさそうなので、毎年流行るというものにはならなそうな気がします。

◇◇◇

日本では今年、特に3月以降に感染者数が増えている、とされています。
世界的な流行が終わったであろう今、なぜ日本で増えているのか。

やはり外国人観光客が増えた影響でしょうかね。
日本政府観光局の情報によると、2022年合計および今年の1,2月の訪日外客数は大体以下ということらしいです。

・2022年合計:383 万人
・2023年1,2月合計:297 万人

<参考(コロナ前)>
・2019年合計:3188 万人

2022年は個人的に脱コロナっぽい雰囲気を感じていましたが、外国人観光客はかなり抑えられていたんですね。今年は、コロナ前の水準とはいかないまでも、大幅に回復しています。


◆おわりに

サル痘(Mpox)は『飛沫感染もある』とされています。
そのことから『マスク着用条件緩和』と『3月からの急増』を結びつけるような人もいるかもしれませんが、影響があったとしても軽微だと考えます。

欧米は昨年のピーク時に脱マスクしていたでしょうから、もし容易に飛沫感染するようなものなら『感染者の95%程度が男性』というのはちょっと理解できません。(飛沫感染のリスクが高いなら、女性の感染者割合がもっと多くなっていると思います。)

変異の可能性もあるでしょうし、日本での感染の拡がりが欧米と同じパターンになるとは限りませんが、今後、冷静なリスク評価と周知を期待したいところですね。

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