前回の記事でマスクからのPFASについてまとめましたが、その中で以下のように書きました。
で、空気中のPFAS関連の論文を探してみたので、今回の記事でざっくりとまとめておきます。
◆論文引用
三つの論文を対象に『簡単な解説、リンク、Abstract』を記します。引用部は重要箇所を太字にしていますので、とりあえずはそこだけ読んでいただければと思います。長いので。
◆PM2.5とPFAS(1)
中国6都市の小、中学校の空気サンプル(PM2.5)からPFASを検出しています。その量は軽微とはいえ長期的な影響に注意としています。
◆PM2.5とPFAS(2)
米国ノースカロライナ州の大気中のPFAS(PM2.5)を調査した研究。PFOSの生産が20年前から段階的に中止されたにも関わらず依然として大気中(PM2.5)からそれを検出していることを懸念しています。
◆ハウスダストとPFAS
スウェーデンでの屋内ハウスダストの研究。粉塵(ハウスダスト)と食品による摂取を考えた場合、欧州食品安全機関 (EFSA)の定める耐容週間摂取量 (TWI)を超えるとしています。
◆所感
論文それぞれの評価については高い専門性が要求されますので正直私には無理。とりあえず、ゼロイチで考えるなら空気中にPFASは含まれます(おそらく多くは微粒子に付着した形で)。
個人的には『マスクから吸うPFAS』と『マスクで防げるPFAS』の比較に興味がありますが、そのような研究は見つかりませんでした。
PM2.5を含む微粒子の影響が大きいようですので、PFASのみなら『マスクを着けるベネフィットが明らかに大きい』と私は推測しますが、それで減らせるリスクはその他の摂取経路に比べたら軽微という感じっぽい。
◆おわりに
PFASは世界中の大気を循環しており、微量ではあるものの空気中に含まれるということでしょう。南極の雪からも検出されてるみたいですし。
微粒子の凝集というメカニズムを考えるなら、PM2.5やマイクロプラスチックにPFASを含む有害物質が付着しているのは当然かもしれません。また、空気中の粒子分布(サイズと数濃度)を考えた場合、0.3μm程度の微粒子の影響が最も強い可能性はあり、今回挙げた論文ではリスクが過小評価されている可能性があると個人的に推測しています。
今後、精度の高い研究結果が出てくるのを期待したいですね。