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PM2.5とか身の周りの微粒子のハナシ

前回の記事で空気中のPFASについて取り上げましたが、その中で微粒子の『凝集』について触れました。

微粒子の凝集というメカニズムを考えるなら、PM2.5やマイクロプラスチックにPFASを含む有害物質が付着しているのは当然かもしれません。また、空気中の粒子分布(サイズと数濃度)を考えた場合、0.3μm程度の微粒子の影響が最も強い可能性はあり、今回挙げた論文ではリスクが過小評価されている可能性があると個人的に推測しています。

空気中のPFASはヤバイのか?

何だか知った風なことを書いてしまいましたが、私はガチプロではないので今回の記事で微粒子(および凝集)について簡単にまとめておこうと思います。


◆資料について

環境省の資料(微小粒子状物質健康影響評価検討会・報告書)を引用しながら、個人的に気になるポイントをまとめます。なお、すべての引用部は以下リンクから 2024.04.30 時点のものです。

https://www.env.go.jp/air/report/h20-01/mat02_1.pdf


◆微粒子のサイズ分布

身近な微粒子としてPM2.5はよく知られていますが、定義上は『大気中に浮遊している2.5μm以下の小さな粒子』らしいです。私は今回調べて知りました。今まで『概ね2.5μmくらいのもの』だと思ってたんですけどね。

それはともかく、環境中にどれくらいのサイズの微粒子が存在するのかというと、参考になりそうなのが以下の図。上から粒子数、表面積、体積の順でグラフ化されています。横軸が粒径。(粒径:0.3μm(赤)、2.5μm(青)付近に目安のラインを入れました。)

これを見ると粒子数は粒径0.013μmが最も多い(左上の山)。その数に比べると0.3μm以上は無いに等しいが体積(下段)で考えると逆。しかし、表面積(中段)の場合は0.19μmの影響が最も強い。面白い。

私は前の記事で『0.3μm程度の微粒子の影響が最も強い可能性はあり』と書きましたが若干外れ。うろ覚えでした。


◆微粒子の生成

さて、環境中に存在する微粒子がどのように生成されるかというと、1μm未満では多くが<核形成、凝縮、凝集>というメカニズムによるようです。図と解説を引用します。

・核形成
固定発生源、移動発生源等より発生するガス状物質(分子)は、蒸気中において熱運 動による衝突付着により、数個の分子が合体した集合体をつくる。この集合体はクラス ター(cluster)あるいはエンブリオ(embryo)と呼ばれ、通常は、一旦生成されても すぐに元の単分子に戻るが、分子の衝突頻度が高い場合は、クラスターの一部がさらに 他の分子やクラスターと衝突を繰り返し、次第にその大きさを増すものが現れ、遂には 微小粒子へと変換する。 通常、核形成は、図 2.1.2 に示す 0.015~0.04μm にピークを持つ核形成モードにおい て観測される。

・凝縮
核形成による粒子量の増加とともに、次第に新しい粒子の生成は減少し、形成された 核はさらに分子を取り込んで粒子に成長する。この機構を凝縮というが、ガス状物質の 粒子への移行過程(凝縮)は、粒子表面におけるガス状物質の拡散輸送、熱運動に伴う 拡散付着、化学反応等が考えられる。通常、凝縮は凝集とともに核形成モード及び蓄積 モードにおいて観測される。

・凝集
粒子が何らかの相互作用を受けて、衝突・合体し、粒子が成長する機構を凝集という。 凝集の機構としては、微小粒子間の顕著なブラウン運動におけるもの、異符号に荷電し た粒子間で生じる静電気によるもの等が考えられる。その他、気象条件の相違によって 生ずる凝集として、1μm 以上の大きな粒子における顕著な乱流場におけるもの、流体 の速度勾配に起因するもの等が考えられる。


◆マスクで匂いが減る理由

ということで、大きめの分子は時間経過により衝突・合体して微粒子に成長するようです。

以前『マスクで匂いが減る理由』として微粒子の凝集を挙げましたが、以上のメカニズムを前提とすればあり得るでしょう。PFE99%のマスクであれば0.1μmの微粒子を99%濾過しますので。(ただし実験環境)

ちなみに、以前私は別の記事で空間除菌(スプレーとか)について『空間を漂う程度の微粒子同士がそんな簡単にぶつかってたまるかよ。』と書きましたが、実際にそれは起こってそうですね。ブラウン運動、分子間力、静電気の影響が相当強いということでしょうか。


◆おわりに

以上、普段はまったく目に見えない『微粒子』について軽くまとめてみました。ナノ・ミクロンサイズとかの物理挙動では、素人には容易に想像出来ないメカニズムが働いているようです。

とはいえ、今回引用した資料に使用されていたグラフは1978年のもの。古い!

微粒子分布は環境により異なるでしょうし測定機器も進歩してると思うので、現代日本の主要な環境のデータが見たかったんですけどね。見つかりませんでした。

ということで、今回の記事(特に具体的な数値等)は参考程度でお願いしまーす。良い資料知ってる人がいたら教えてくださーい。

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