note30目:むらさきのスカートの女の祝日
さあ、ゴールデンウィークもいよいよ終盤。
日本のどこかで30度の真夏日をたたき出したらしい本日は、最高のお出掛け日和! 紫外線と熱中症対策には気をつけましょう!
とどこかのテレビがいいそうな文句で日記をスタートします。
みなさんいかがお過ごしでしょうか。
私は今日用事があって渋谷に行ったのですが、駅のホームから改札出るのに10分くらいかかったぞ。
渋谷のホームは改築されているとはいえまだ狭く、階段口、改札前もずっとすり足でしか勧めなかった。どこに向かうにも、横断歩道渡るにも人だらけで、ムスカ(天空の城ラピュタ)のセリフを思い出す。
人がゴミのようだっっっ!
全然見下ろしていないし、同じ目線でいるけれど、あまりにも人が多すぎてムスカの気分になってしまった。
いけないいけない、こんなところでバルスしてはいけない。
シータの清い心如く「人は土から離れては生きられないのよ」と頭の中で繰り返し、心を静める。
そういえば上司が連休前にあしかがフラワーパークに行くと言っていた。
藤の花で有名なあれ、鬼滅効果でさらに注目されたあれだ。
ゴールデンウィーク前から連日大盛況で、朝の7時オープンを5分前倒しにして開園していると聞いたけど、そこにサイクリングに行くと言っていた。
今頃どのへんを歩いているのだろうか。
藤の花に辿りつくことができただろうかと、安否が気になるところだ。
こちら渋谷は、あしかがフラワーパーク並に大盛況(推定)で、なかなかスクランブル交差点を渡れなかった。
こんな日差しが痛い中、真夏日の気温で、みんな元気ね……。
なんだかだいぶ年老いた気分になり、歩く人びとを眺めながら慈愛に満ちた視線を送る。もうパーリナイなウェイウェイテンションで渋谷とか歩けないなと昔を懐かしく思い、過ぎ去った日々の長さを実感する。
こうして人は大人になるのかもしれない。
私がこんな回想にふけりながら現実逃避しようと、スクランブル交差点超えてようやくセンター街にきても人混みからは逃れられない。
ああ、とにかく目に入る人、人、人、そしてぶつかる肩、かばん、子ども。
いくら過去に意識を飛ばしても、無意識では歩けないほどの障害物を現実は突きつけてくる。
そして滴る汗、にじむTシャツ、イライラボルテージが急速に上がっていった。
あーもうっ、ゴールデンウィークぐらいみんな引きこもれよっ!!
こっちは日頃引きこもって外に出てるんだ、逆の行動とれよっ!!!
勝手極まりないたれごとを脳内で繰り広げ、怒りの散弾銃をまき散らす。
だけど実際は颯爽と『むらさきスカートの女』(今村夏子の小説)ごとくスルスルと人並みをくぐり、センター街を無言で駆け抜ける。
駅よりも道幅がある分、私のこの能力は発揮される。
残念なのは黄色いカーディガンの女(むらさきのスカートの女に出てくる人)がいないので明確にお伝えできないことだ。
そんなこんなで予定は1時間程度で終わり、特に寄り道することもなくすぐに帰宅した。
やっぱり家が一番いいと再認識した日だった。
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