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私的ライトノベル・オールタイム・ベスト100

ライトノベルクラスタの間でベストライトノベルまとめが流行っている様子です。

それなりの数を読んできたいち界隈民として、多分に個人的な嗜好が反映されたリストをまとめておくことにしました。自分は比較的作家買いをする方ではありますが、今回は1作家2作品以内にしています。一部コメント入り。

●ラノベ枠を超えてオールタイムベスト (3)

・"西の善き魔女" 荻原規子(C★NOVELSファンタジア, 1997)
ファンタジー×少女小説のおいしいところすべてが詰まった一作。
・"楽園の魔女たち" 樹川さとみ(コバルト文庫, 1995)
コメディとはかくあるべし的な名作。サラ・バーリンとかいうおもしれー女の影響で現業(化学屋)やってるところある。
・"神様のメモ帳" 杉井光 (電撃文庫, 2007)
名だたるものを追うのではなく、大義のために立つのでもなく、素朴で卑近な小さい何かを手掛かりに生きる人に、杉井光はやさしい。

●殿堂入り (8)

・"丘の家のミッキー" 久美沙織 (コバルト文庫, 1984)
少女小説と青春小説の普遍的な面白さ、鬱屈したところのない昭和のノスタルジーが詰まっている。
・"マリア様がみてる" 今野緒雪 (コバルト文庫, 1998)
説明不要の百合ブームの起点。
・"東京S黄尾探偵団" 響野夏菜 (コバルト文庫, 1999)
ライトミステリー×コメディ、一方で平成のうらぶれた若者たちが前を向いて歩いていくお話でもある。
・"カオスレギオン" 冲方丁(富士見ファンタジア文庫, 2003)
冲方節×ファンタジーはえぐみが効いていてとてもよい。
・"白い花の舞い散る時間" 友桐夏 (コバルト文庫, 2005)
この味はこの人しか出せない。
・"キーリ" 壁井ユカコ (電撃文庫, 2003)
めんどうくさい性格の男と女、下り坂進行の退廃的な惑星、夢も希望もないけどひとかけらの救いのある世界。
・"さよならトロイメライ" 壱乗寺かるた(富士見ミステリー文庫, 2004)
学園ミステリー×ラブコメの中でもアクがあってすき。
・"とある飛行士の追憶・夜想曲" 犬村小六 (ガガガ文庫, 2008)

●単巻・上下巻セレクション (25)

・"MONUMENT あるいは自分自身の怪物" 滝川廉治, (ダッシュエックス文庫, 2015)
・"紫色のクオリア" うえお久光 (電撃文庫, 2009)
・"All You Need Is Kill" 桜坂洋 (スーパーダッシュ文庫, 2004)
個人的三大ラノベSF。
・"天使のレシピ" 御伽枕 (電撃文庫, 2006)
軽妙痛快な文章リズムが魅力の知られざる名作。
・"わたしたちの田村くん" 竹宮ゆゆこ (電撃文庫, 2005)
・"ルカ 楽園の囚われ人たち" 七月宏隆 (電撃文庫, 2005)
・"12月のベロニカ" 貴子潤一郎 (富士見ファンタジア文庫, 2003) 
・"砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない" 桜庭一樹 (富士見ミステリー文庫, 2004)
・"ブラインド・エスケープ" 樹川さとみ (富士見ミステリー文庫, 2002)
・"さよなら、月の船" 片山奈保子(コバルト文庫, 2002)
・"僕らはどこにも開かない" 御影瑛路 (電撃文庫, 2005)
・"ほうかごのロケッティア School escape velocity" 大樹連司 (ガガガ文庫, 2009)
・"螺旋時空のラビリンス" 辻村七子 (集英社オレンジ文庫, 2015)
・"ナルキッソス"片岡とも (MF文庫J, 2008)
・"アイゼンフリューゲル" 虚淵玄 (ガガガ文庫, 2009)
・"ルガルギガム" 稲葉義明 (ファミ通文庫, 2014)
・"夏へのトンネル、さよならの出口" 八目迷 (ガガガ文庫, 2019)
・"ただ、それだけでよかったんです" 松村涼哉 (電撃文庫, 2016)
・"月光" 間宮夏生 (電撃文庫, 2010)
・"月の盾" 岩田洋季 (電撃文庫, 2006)
・"バニラ A sweet partner" アサウラ (スーパーダッシュ文庫, 2007)
・"こんな小説、書かなければよかった。" 悠木りん (ガガガ文庫, 2021)
・"毒吐き姫と星の石" 紅玉いづき (電撃文庫, 2010)
もう一作挙げるなら「雪蟷螂」。
・"スキュラ&カリュブディス: 死の口吻" 相沢沙呼 (新潮文庫NEX, 2014)
相沢沙呼が本能覚醒して書いたらしき百合ホラーの怪作。氏にはもっとリビドー全開の作品を書いてほしい。
・"六人の赤ずきんは今日食べられる" 氷桃甘雪 (ガガガ文庫, 2018)
童話モチーフサスペンスの埋もれた名作。

●鉄板枠 (20)

・"アルスラーン戦記"田中芳樹 (カッパ・ノベルス, 1986)
・"デルフィニア戦記" 茅田砂胡 (C★NOVELSファンタジア, 1993)
・"なんて素敵にジャパネスク" 氷室冴子 (コバルト文庫,1984)
・"十二国記" 小野不由美 (講談社X文庫ホワイトハート, 1992)
・"ブギーホップは笑わない" 上遠野浩平 (電撃文庫, 1998)
・"フルメタルパニック" 賀東招二 (富士見ファンタジア文庫, 1998)
・"空の境界" 奈須きのこ (講談社ノベルス, 2004)
・"バッカーノ!" 成田良悟 (電撃文庫, 2003)
・"AHEADシリーズ 終わりのクロニクル" 川上稔 (電撃文庫, 2003)
・"灼眼のシャナ" 高橋弥七郎 (電撃文庫, 2002)
10巻だけ別枠で殿堂入りにしようか悩んだ。
・"とある魔術の禁書目録" 鎌池和馬 (電撃文庫, 2004)
・"バカとテストと召喚獣" 井上堅二 (ファミ通文庫, 2007)
・"冴えない彼女の育てかた" 丸戸史明 (富士見ファンタジア文庫, 2012)
・"されど罪人は竜と踊る" 浅井ラボ (角川スニーカー文庫, 2003)
・"ノーゲームノーライフ" 榎宮祐 (MF文庫J, 2012)
・"文学少女シリーズ" 野村美月 (ファミ通文庫, 2006)
・"聖剣の刀鍛冶" 三浦勇雄 (MF文庫J, 2007)
アニメで変な方向で有名になっているけど原作は熱血根性系ファンタジーとして走り切っている。
・"86" 安里アサト (電撃文庫, 2017)
・"七つの魔剣が支配する" 宇野朴人 (電撃文庫, 2018)
・"探偵はもう、死んでいる" 二語十 (MF文庫J, 2019)
このあたり、後はきっちり最高のラストを決めてほしい。

●準鉄板枠 (20)

・"フォーチュン・クエスト" 深沢美潮 (角川スニーカー文庫, 1989)
・"今夜は眠れない"宮部みゆき (C★NOVELS, 1996)
・"フェンネル大陸偽王伝" 高里椎奈 (講談社ノベルス, 2004)
・"空ノ鐘の響く惑星で" 渡瀬草一郎 (電撃文庫, 2003)
・"学校の階段" 櫂末高彰 (ファミ通文庫, 2006)
・"ベン・トー" アサウラ (スーパーダッシュ文庫, 2008)
・"ムシウタ" 岩井恭平 (角川スニーカー文庫, 2003)
・"戦闘城塞マスラヲ" 林トモアキ (角川スニーカー文庫, 2006)
・"嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん" 入間人間 (電撃文庫, 2007)
・"マテリアルゴースト" 葵せきな (富士見ファンタジア文庫, 2006)
・"黄昏色の詩使い" 細音啓 (富士見ファンタジア文庫, 2006)
・"火の国、風の国物語" 師走トオル (富士見ファンタジア文庫, 2007)
・"ロウきゅーぶ!" 蒼山サグ (電撃文庫, 2009)
・"インフィニットストラトス" 弓弦イズル (MF文庫J, 2009)
・"ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン" 宇野朴人 (電撃文庫, 2012)
・"レジンキャストミルク" 藤原祐 (電撃文庫, 2005)
・"レイン" 吉野匠 (アルファライト文庫, 2005)
・"断章のグリム" 甲田学人 (電撃文庫, 2006)
・"青春ブタ野郎"鴨志田一 (電撃文庫, 2014)
・"ウィザーズブレイン" 三枝零一 (電撃文庫, 2001)
まさか十数年越しに完結するとは。

●私的な嗜好・経験が出てる (19)

・"この雪に願えるならば" 響野夏菜 (コバルト文庫, 1996)
・"樹上のゆりかご" 荻原規子 (C★NOVELSファンタジア, 2006)
・"ヴィクトリアン・ローズテーラー" 青木祐子 (コバルト文庫, 2005)
・"リバーズ・エンド" 橋本紡 (電撃文庫, 2001)
「半分の月がのぼる空」は一般小説のくくりのイメージ。
・"レべリオン" 三雲岳斗 (電撃文庫, 2000)
・"悪魔のミカタ" うえお久光 (電撃文庫, 2002)
SF異能学園ものの原点的なところある。
・"扉の外"土橋真二郎 (電撃文庫, 2007)
「ツァラトゥストラへの階段」続き待っています
・"シリアスレイジ" 白川敏行 (電撃文庫, 2005)
・"僕と彼女に降る夜" 八街歩 (富士見ファンタジア文庫, 2007)
ひとつの「道」を極めた感があってすき。
・"そして花嫁は恋を知る" 小田菜摘 (コバルト文庫, 2008)
・"レヴィローズの指輪" 高遠沙砂夜 (コバルト文庫, 2001)
つれないヒーロー、ツンデレ悪役令嬢、無表情優等生な頼れる友、おいしいポジションの原型はここから学んだ気がする。
・"光炎のウィザード" 喜多みどり (角川ビーンズ文庫, 2006)
主人公リティーヤがこのジャンルいちかわいい。
・"カクリヨの短い歌" 大桑八代 (ガガガ文庫, 2013)
スタイリッシュ平安短歌バトル。
・"君が僕を" 中里十 (ガガガ文庫, 2009)
耽美に過ぎる埋もれた百合小説。
・"魔法少女育成計画" 遠藤浅蜊 (このライトノベルがすごい!文庫, 2012)
・"楽園ノイズ" 杉井光 (電撃文庫, 2020)
・"マグナ・キヴィタス 人形博士と機械少年" 辻村七子 (集英社オレンジ文庫, 2018)
辻村七子にはたくさんSFを書いてほしい。
・"この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる" 土日月 (カドカワBOOKS)
きちんと書かれたコメディは個人的に評価高い。
・"エリスの聖杯" 常磐くじら (GAノベル, 2019)
今は亡きコバルト文庫産コメディの香りがする。

●存在そのものが面白い枠 (5)

・"ストロベリー・パニック" 公野櫻子 (電撃文庫, 2006)
これだけ自由奔放オープン百合をかの時代にやっていたオーパーツ。たぶん対抗できるのは森奈津子くらい。
・"ROOM NO.1301" 新井輝 (富士見ミステリー文庫, 2003)
これだけ自由奔放ドロドロラブコメをかの時代にやっていたオーパーツ。今の世に復刻希望。
・"左巻キ式ラストリゾート" 海猫沢めろん (星海社文庫, 2014)
かの時代のえろげのエッセンスのエスプレッソ。
・"僕と彼女のゲーム戦争" 師走トオル (電撃文庫, 2011)
実際の格ゲーやFPSが登場し、試合運びを実況したりゲームプレイを詳細に体験していくというというすごい試み。e-sports全盛の今、このジャンル見直されてほしい。
・"緑陽のクエスタ・リリカ" 相沢沙呼 (MJ文庫J, 2015)
徹底的なライトノベルの研究の末に「ザ・器用貧乏」を体現してしまった意味で、実験的ともいえる。書き手が参考にするべき類の本。

うち漏らしもある気がしますがひとまず100作品。ラインナップを見て感じるところのある同類の方がいましたら、ぜひXなどでお声掛けください。

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