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退屈って幸せのことか


今日は、いつも仕事に行くよりも早く家を出て、美術館の近くにある古民家でのアシュタンガヨガの見学に行った。

家から歩いていくと40分以上かかるところということもあって、家を出ると同時に軽くジョギングのように走り出した。

ランニングに興味がありつつ、なかなか踏み出せていなかったけれど、半分以上を思いがけず走ってみて、走れたことがうれしかった。

そして、じぶんのテンポで、リズミカルに流れていく、朝を迎えた街の花たちを眺めるのが楽しかった。

走る楽しさを、予期せず見つけて、やっぱり走ってみたいなと思った。

“ずっと走り続けていれば、歩くよりは早い”という言葉を思い出して、足を止めなかった。

かなり早く着くことができそうで、後半はゆっくりと花たちを眺めながら歩いた。

わたしが通っていた高校までの道のりを歩きながら、14年後のじぶんが、こんなふうに同じ道を歩いているなんて、想像もしなかったな。

今のわたしなら、そのころのわたしに、なんて声をかけるだろうかとふと思った。

なにも浮かばなかった。

でも、高校のすぐ裏手にでーんと山の緑がそびえていて、それは今のわたしにとっては特別なことのように思えるんだけれど、“そこに山がある”なんて氣づかず生きてたなって思った。



ゴールデンウィーク中ということもあって、来ているひとは少ないみたいだったけれど、ひとりで黙々とじぶんのプラクティスに集中している姿が、かっこよくて好きだった。

オンラインでつながっている方もいて、みんながプラクティスをしている傍ら、先生とずっとしゃべっていたのだけれど、ずっとしゃべっていても苦しくない、疲れない、楽しい方だった。

静かなんだけれど、楽しい。

そんな方だった。

今は、朝の7時15分からはじまるけれど、今後はもっと早くから開けることも考えているという。

わたしは朝が早い仕事なので、クラスが6時くらいからあれば5時くらいに家を出て、走ってきて、また走って職場に行くなんてライフスタイルもできるのかな、とちょっと考えた。

自転車でもいいな。

ずっとひとりでプラクティスをしてきて、はじめてここに通いたいと思う教室に出会った。

練習に来ていた生徒の方とも、終わったあと少し話をした。

そして、ここに来ているひとたちとつながれることもうれしいと思えたのも、はじめてだった。

練習が終わったあと、お粥が食べたくて、お店を探した。

わたしの住んでいる街には、朝ごはんを食べられるところがないよね、という話になった。

生絞りジュースとか、グラノーラとかが食べられるお店のイメージがはっきりと浮かんだ。


教室を出て、近くの美術館の芝生に腰を下ろした。

お粥が食べられるよさそうなお店を調べて見つけた。

お茶の初心者講座に電話で申し込む。

「まだ募集していますか?」と聞くと、「まだまだ募集しています」とうれしそうな声だった。

目を閉じて、風を感じ、お日さまを浴びるのがここちよい。

春分の日に聴いた、“レイの祈り”。

今日も、泣きそうになって、涙が流れた。

姉のことを想う。

きっかけをくれたひと。

一番の応援団。

まんまるの太陽から、いびつでデコボコな地球に来たわたしたち。

怒って怒りを味わって、悲しんで悲しみを味わって。

だいじょうぶ、今日もわたしたちは、だれかを嫌って、地球を楽しんでいる。

いいことばっかり、あると思うなよ。

天国みたいなところがあるとしたら、そこは地獄だ。

朝起きたら、完璧になにもかもがそろっていて、幸せなことしか起きない。

それって“幸せ”なの?

悪いことしかないとも思うなよ。

“幸せであるために、孤独が必要だった”。

両極端になるな。

この世界は、その中間だ。

わたしは、“愛の中心で生きたい”と思った。

そして、“自然のなかで、自由にのびのび生きたい”と思った。

瞑想をしていたら、近くをこどもの笑い声がはじけて通っていった。



図書館にも寄った。

“こどものへや”にある、丸底ガラスがはめこまれた窓に、向こうの木々が小さな世界になっていくつも見えた。

色とりどりのステンドグラスが美しくて、しばらくそこに座って眺めていた。

それから、絵本をいくつか読んだ。

今もシリアで暮らす、石を使ったアーティストの絵本。

セラピードッグを目指す犬と女の子にこころを開くおじいさんの絵本。

ツリーハウスを夢見るこどもたちの絵本。

“ツリーハウスを創りたいなら、まず木を見上げるところから…”

こどもたちだけによる、こどもたちだけのための場所を創りたいと思った。



それからまた、長い道のりを歩いて帰って来た。

でも、その道のりには、たくさんのおいしい寄り道があった。

高校生のころ、通っていたカフェで、想い出のパンを買い、その通りにある母が好きなパティスリーで、季節のケーキを買った。

今日はバッグを持ってきていなかったけれど、もらったビニールの袋は落ちているごみを拾うことに使うことができた。

歩くと、短く切った前髪が風に乗ってフッと跳ねるのが好きだ。


帰って来て、庭のテラスで買って来たパンを食べた。

それから、イスに座ってウトウトして、ベッドに上がって眠った。

朝が来たかと思うほどよく寝た。

そろそろまたちゃんと食に向き合おう。

そして今、今日のふりかえりを書いている。

ああ、ただただ幸せなおやすみだなあ。


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