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ドキュメンタリー&ドキュメンタリー

ドキュメンタリーを観るのは好きです。
近年は配信でも数多くのドキュメンタリーを観ることができるので好みの作品を選んで観ています。

ここ数か月でも、配信で何本か鑑賞しました。
その中で特に印象深かったドキュメンタリーは次のような作品です。
どれも珠玉の作品でした。(Amazon primeで鑑賞)

『花と兵隊』(監督・松林要樹)
『オキナワサントス』(監督・松林要樹)
『台湾アイデンティティー』(監督・酒井充子)
『クナシリ』(監督・ウラジミール・コズロフ)
『A』(監督・森達也)
『精神』(監督・想田和弘)
『精神0』(監督・想田和弘)

ドキュメンタリーを観て味わう感動は、映画鑑賞で味わう感動とは少し違うような気がしています。
映画は最初から虚構の世界だとわかっているので、緻密に創られた映像美の世界や異次元の物語を愉しみたい、驚きたいという気持ちがあります。
それに対して、ドキュメンタリーは虚構ではなく事実を記録したものです。たとえ自分とは直接つながりのない世界を取材していても、「どこかで自分の生きている現実と地続きとなっている」そんなリアルな切実さと親密さを感じることができます。

ドキュメンタリー作品にもいろいろなジャンルがありますが、私が好きな作品は市井の人々の生き様に焦点を当てた内容です。

今回挙げた作品中、最初の4作は戦争の動乱の中で国家の政策に翻弄されながらも苦難を乗り越え生き続けた人々の軌跡を取材したもの。
『A』は地下鉄サリン事件後のオウム真理教教団内部と教団広報部の荒木浩副部長を取材した内容。
『精神』は岡山県の精神科医山本昌知医師のもとに通う心に病を抱えた患者さんたちの姿。『精神0』はその後10年の時を経て82歳で引退を決意した山本医師と彼を支え続けた妻芳子さんの姿に密着した内容。

森達也監督作品『A』は有名ですが初めて鑑賞しました。
数々の凶悪犯罪によって世を震撼させたオウム真理教教団内部に入り、信者の人々の姿や当時のメディア対応、公安警察の様子などに迫った内容です。すでに30年を過ぎようとしている事件ですが、非常に見応えがありました。自分が持っていたイメージと違う様々な面を目の当たりにして、自分が如何に表層的な部分で事件を捉えていたかを知り、いろいろな意味でショックを受けた作品です。
次は『A2』(完全版)を観てみたいと思います。

最後の2作『精神』『精神0』は、「人薬」(人との関係こそが人の心を治す薬になるという考え方)の力強さ、人が「老い」と向き合うとはどのようなことなのか、夫婦とは何かを考えさせられ深く心を打たれました。

想田和弘監督による2作は「観察映画」という手法によるものだそうです。
ナレーションやテロップ、特別な演出が入らないまま、人々の日常そのままの姿や会話を撮影する手法です。
ですから、視聴を開始するとすぐにその場の中に入り込み自分もその場に居合わせているかのような臨場感を味わうことができます。
このような作品を観ると、画面に現れる山本医師だけでなく彼のもとに集う人々が自分と同じ世界のどこかに生きていてまるで自分が知っている人であるかのような温もりや親しみを感じることができます。
そのリアルさはその人達自身の経験や人生哲学から滲み出る「素の姿」なので、真に迫り、何気なく発した言葉の数々が深く心に刺さります。

ドキュメンタリー制作は、おそらく非常に地味で根気のいる作業なのだと思います。また時には政治的、社会的にも葛藤を強いられ精神的にも厳しい状況になるのでは、と想像します。
そのような困難を乗り越えても、このような人々が生きていることに目を止めてそれを記録して残そうとしているドキュメンタリー制作の監督たちの信念や苦労には尊敬の念が湧いてきます。

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