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#27 「JR東日本(高崎車掌区)事件」前橋地裁高崎支部(再掲)

2004年2月25日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第27号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【JR東日本(以下、J社)事件・前橋地裁高崎支部判決】(1999年3月11日)

▽ <主な争点>
年次有給休暇の時季変更権行使、戒告処分の効力など

1.事件の概要は?

本件は、車掌として勤務するXが2日間の年次有給休暇(以下「年休」)を請求していたところ、J社は時季変更権を行使した。これに対し、Xは同社に他日の指定をせよと求めたが、J社はこれを指定せず出勤命令を発し、Xが2日間出勤しなかったことを理由に戒告処分を行ったことから、Xが当該戒告処分の無効確認を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<Xについて>

★ Xは、J社の高崎車掌区において車掌として勤務していた者である。

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<Xの年休の申込みと不承認(時季変更権の行使)、戒告処分等について>

▼ Xは、平成3年6月、同年7月23日から26日までの4日間について、J社所定の年休申込簿に氏名と休暇の目的を海水浴と記載して、年休の申込み(時季指定権の行使)をした。

▼ 7月下旬は夏期の繁忙期で臨時電車等も多いため、申請者に対する年休付与は著しく困難な状況にあったが、J社は様々な調整を行った結果、23日については申請者31名に対し10名に、24日については申請者25名に対し6名にそれぞれ年休を付与する案を作成した。Xは両日の年休付与者の中に含まれていた。

▼ 上記案では、両日の年休付与者の中にYは入っていなかったが、両日は東日本旅客鉄道労働組合(以下、東労組)主催のサマーキャンプが行われることになっており、Yがその実行副委員長であったため、J社はYに年休を付与するのが妥当だと考え、上記案で年休付与者とされていた者のうち1名についても時季変更権を行使することを検討した。

▼ その結果、Xは(1)年休申請理由が他の者と比べ代替性があること、(2)最近の年休付与状況を見ると、同年6月に4日、7月にもすでに3日の年休を消化していたことから、J社はXよりもYを優先すべきであると考え、7月18日、Xに対し、23日および24日の両日について年休不承認の意思表示をした。

▼ XはJ社に対し、両日に年休を付与するよう再度申し入れるとともに、両日に年休が付与できないのであれば、他日を指定するよう求めたが、了承を得られなかったため、同じ内容の内容証明郵便を同社高崎車掌区長宛に郵送した。

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