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#135 「クアトロ事件」東京地裁(再掲)

2006年5月10日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第135号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 参考条文

★ 労働基準法 第34条(休憩)
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
2.(略)
3.使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

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■ 【クアトロ(以下、Q社)事件・東京地裁判決】(2005年11月11日)

▽ <主な争点>
3交替制勤務における休憩時間の性質と割増賃金の請求

1.事件の概要は?

本件は、Q社が経営する24時間営業のガソリンスタンドにおいて、3交替制の勤務についていたAら4名(パート労働者)が、その勤務実態から各勤務時間帯に設定された休憩は実際には取ることができず、休憩時間は手待ち時間に当たるとして、当該時間分の割増賃金および慰謝料の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<Q社およびAら4名について>

★ Q社は販売代行業務を主な目的とする会社であり、K社から業務委託を受けて、24時間営業のサービスステーション(以下「本件SS」という)を運営している。

★ A、BおよびCは平成14年12月、Q社に入社し、Dは15年12月、同社に入社して、いずれも本件SSにて、Q社の指揮・監督の下、監視業務に従事してきた者である(ただし、Q社は監視断続労働による除外許可は得ていない)。

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<本件SSの勤務形態等について>

★ Q社は本件SSの監視業務につき、以下のとおり勤務時間、休憩時間および賃金を定めている。また、各日の各勤務形態の勤務者は始業時と終業時の各1時間の重なりを除いて原則として一人である。

(1) Aシフト 勤務時間 午前7時から午後4時まで  (休憩時間60分)
        日額賃金 7000円
(2) Bシフト 勤務時間 午後3時から午後11時まで  (休憩時間60分)
        日額賃金 6500円
(3) Cシフト 勤務時間 午後10時から翌朝午前8時まで(休憩時間90分)
        日額賃金 1万円

★ Q社の「休憩時間についてのお知らせ」によると、上記の3シフトとも1時間ごとに各10分間の休憩を取るよう指示されている。また、いずれのシフトについても「ただし、申し訳ありませんが、その間も営業に支障をきたさないように業務を優先して行ってください。休憩時間内に業務を行った場合にはその分を振り替えて他の時間に取っていただけるようお願いします」とある。

★ 「入社のしおり」には勤務時注意事項として「勤務中は給油所敷地内から出られませんので、食事・飲み物・常用のお薬などは各自で用意持参してください」とされ、スタンド内敷地から休憩時間であっても出ることのないように指示されている。

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