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#485 「シンワ運輸東京事件」東京地裁(再々掲)

2019年4月24日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第485号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【シンワ運輸東京(以下、S社)事件・東京地裁判決】(2017年11月29日)

▽ <主な争点>
運行時間外手当は時間外労働等の対価の趣旨を有するかなど

1.事件の概要は?

本件は、S社に雇用され、大型貨物自動車を運転して小麦粉を配送する業務に従事していたAらが、乗務員が車両を運行することにより同社が受託先から得る運賃収入に一定の率を乗じて算出した金額の運行時間外手当を時間外手当相当額として支給する旨の賃金規程上の定めについて、運行時間外手当は実質的には歩合給であり、労働基準法37条に定める割増賃金の支払に当たらないなどと主張して、(1)運行時間外手当を基礎賃金に含めて算出した割増賃金等、(2)割増賃金に係る労働基準法114条の付加金等の各支払を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<S社およびAら3名について>

★ S社は、一般貨物自動車運送事業等を目的とする会社である。

★ Aは平成21年11月、Bは同年1月、Cは同年12月にそれぞれS社との間で期限の定めのない雇用契約を締結し、いずれも大型貨物自動車を運転して小麦粉を配送する業務に従事している者である。

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<S社の賃金規程の定め等について>

★ Aらに対しては、乗務員が車両を運行することによりS社が受託先から得る運賃収入に一定の率を乗じて算出した金額の運行時間外手当が支給されており、賃金規程上、この手当は時間外手当相当額として支給する旨定められていた。

★ すなわち、S社の賃金規程14条は運行時間外手当について「乗務員が車両を運行することによりS社が受託先から得る運賃収入に一定の率(70%)を乗じた額に対し、別表に定める率(運送物および車種によって異なる率が定められており、小麦粉の運送等については25%と定められている)により算出した金額の全額を時間外手当相当額として乗務員に支給する」旨を規定していた。

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