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けテぶれで体育をしていく中で感じた子どもの変化

「自分たちで自分たちの目標に向かって楽しく取り組める体育授業がしたい」

と思い、私は日々の体育授業に取り組んでいます。

同じ思いの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

私はこれを達成するために「けテぶれ」を導入して授業を行っています。

けテぶれを体育授業に導入したことで、導入前と比較して様々な変化が見られました。

今回は、その変化について私が気づいたことを書いていきたいと思います。


自分の動きを自覚できるようになる

「自分はこう動いている」というふうに「自分の動きを自覚する」ということは運動を行う上で非常に重要です。

これは、比較的運動が得意な人は当たり前にしていることですが
子どもや運動が苦手な人はそれができていないことが多くあります。

実際に、授業中子どもに「手はどこについていたかわかる?」「どっちの足で踏み切ったの?」と聞いても答えられないなんてことは多くあります。

これだと、自分の現在地が把握できていないため、そこから先に進むことが難しくなってしまいます

しかしけテぶれを導入したことで、ここに大きな変化がありました。

「膝をお腹に近づけるとうまくいった」
「足が上がっていなかった」
「助走は、初めはゆっくりで後からスピードアップするとうまくいった」

というように、自分の動きを自覚し、さらに自己評価までできるようになってきたのです

つまり「思考」しながら運動に取り組めるようになったのです。

その要因としては、「テスト」の次に必ず「分析」を行うことが関係していると考えています。

分析では
「+」(どうやってやるとうまくいった?)
「−」(どうやってやるとうまくいかなかった?)
「→」(次はどうしたい?)
を書かせるようにしています。

自分の動きを分析するためには、自分の動きに目を向けなければなりません。

そのため子どもたちは、自分の動きを自覚しようと考えながら活動するようになりました。

自分の動きがわかれば改善策を考えることができます。

すると、技能もどんどん高まっていきます。

ここに子どもたちは楽しさを感じているようでした。

そしてこれこそが、体育が目指している「豊かなスポーツライフ」につながると考えています。

「できた!」を積み重ねていくことで「運動って楽しい!」という感覚を得ていきます。

これを学校で行われる体育の中で経験させていくことで、運動に対するポジティブなイメージをもたせることができます。

けテぶれを導入したことで、ここにつながる力をつけさせることができ、非常にうれしく思っています。


活動時間が増えた

けテぶれでは一人一人が自分の「計画」をたてます。

すると、子どもたちはその計画を達成しようと何度も試行するようになります。

そしてその試行回数は、けテぶれを導入する前と比較して多くなりました。

どれくらい多いかというと、子どもたちが「休みなしで動きすぎて疲れた!ちょっと休憩!」と言うくらいです。

具体的な試行の回数や時間は計測していませんが、けテぶれ導入前と後では活動時間が圧倒的に増えたと感じています

これは、自分でたてた計画だからこそ達成したくなり、何度も試行するようになったのだと思います

もちろんここでは、何度も試行できる場や環境づくりも大切になります。

けテぶれを導入したからといって必ずこうなるとはいえません。

しかし、けテぶれを導入したことでこうなったことも事実です。

適切な場や環境づくりを行い、けテぶれを回していくことで、子どもの活動時間をさらに増やすことができるようになると思います。


指示なしで動けることが増えた

これも「計画」をたてることが関係していると思います

計画で自分が何をするのかを考え、それを達成するために行動するので
教師がひとつひとつ指示することが大幅に減りました。

もちろん、子どもたちだけで全て正しい選択ができるわけではないので、目標から外れたり危険と思われたりするものについては、教師からの適切な指示が必要になります。


他人と比べることが減った

これは、体育にけテぶれを導入することの大きなメリットの一つだと感じています。

当然ですが、クラスの子どもたちの技能差は大なり小なりあります。

技能が高い子はいいですが、低い子は、自分より上手な子と比較して劣等感を抱き、運動に意欲的になれないケースは多いのではないでしょうか

しかしけテぶれを導入することで、これをかなり減らすことができました。

けテぶれでは、「分析」で自分のついての分析をします。

このように、けテぶれでは「過去の自分」と「今の自分」を比較することを求めるので、自然と他人ではなく自分に目が向きます

子どもたちの記述を見ると
「90cm跳べた」
「着地がうまくいかなかった
「補助なしでできた」
というように、自分に目を向けていることがわかります。

すると、子どもたちは自分の小さな成長にも気づき、喜ぶことができます

その結果、運動が苦手な子が楽しそうに何度も跳び箱運動に挑戦し続けるなど、楽しく活動する姿が多くなりました。

そして、他人と比較して劣等感を抱くなんてことはかなり減らすことができました。

自分に目を向けることで、自分の成長のために試行と思考を繰り返し、その結果技能が高まり運動が楽しくなる。

けテぶれを回していくことでこのサイクルが回るようになり、運動を楽しめるようになったと感じました。

実際の子どもの声からもこのことは確認できています。

もちろん、競争をする種目であれば他者と比較せざるを得ませんが、比較しなくてもいいことは多くあります。

けテぶれを回していくことで、他人とではなく自分と比較することができるようになるというのは非常にポジティブな変化だと感じています。


仲間との対話が増えた

これは、子どもたちが
自分の力にあった目標(計画)を立てていることと
自分の動きを「分析」していること
が関係していると考えています。

自分でたてた計画だからこそ達成したくなる。

だからこそ分析したくなり、そのために自然と仲間と対話しながら自分なりの答えを見つけていく。

そんな感じなのかなあと思っています。

ちなみに、ここでさらに対話が生まれるようなシステムを取り入れたところ効果覿面だったので、そのことについて今後どこかで書いてみたいと思います。


最後に

この記事を書いていて気づきましたが、自分で計画を立てる、つまり自己決定することが、かなり子どもたちにとっても教師にとってもプラスに働いているように感じました

子どもたちが主体的に学ぶためにまずは「計画」から始めてみるのもいいかもしれません

また、けテぶれを導入したからといってすぐに全てがうまくいくわけではありません。

ですが、うまくいかなかったことは改善策を考えそれを実行していくというように
教師自身がけテぶれを回していくことで良い実践につながっていくと思います。

ぜひ、子どもたちと一緒に教師もけテぶれを回していき、実践を磨いていきましょう。

この記事が少しでも誰かの役に立てればうれしいです。

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