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最近知ったチリ特有の言い回し

先月から地元の大学のUniversidad de Chileで外国人向けのスペイン語講座を受け始めました。受講にあたり筆記試験と面接を受け、その結果をもとにレベル別に振り分けられるシステムになっており、INTERMEDIO(中級クラス)になりました。語学学習では最も習熟度のレンジが幅広く時間がかかるレベルと言われており、私のように学び始めて1年未満という人からスペイン語圏在住4年目の人まで含まれ、自分よりも全然流暢に話せるクラスメートから日々刺激を受けながら学んでいます。

最近通っている大学のキャンパス

スペイン語を勉強し始めて面白いなと思うのが、国ごとに同じ概念に対して全く異なる言葉が使われることです。有名な例でいうと、飲み物にさすストローを辞書で調べるとスペイン基準で"pajita"と出てきますが、メキシコでは"popote"、ペルーでは"cañita"、チリでは"bombilla"が使われており、さらにいうとbombillaは他国では電球という意味で使われています。またウェイターもスペインでは"camarero"(男性形)/"camarera"(女性形)、南米の多くの国では"mesero/a"、チリでは"garzón"または"mozo/a"が使われていますが、"moza"はベネズエラでは愛人という意味なので、チリ国外で使う場合は要注意…。他にもスペインで"chulo"は"lindo", "bonito"と似たポジティブな形容詞として使われますが、ラテンアメリカの多くの国ではポン引き(英語でいう"pimp")という意味で使われるので注意が必要です。英語圏でも国によって多少言葉の違いはありますがこれほどのギャップはない印象で、すべての国をカバーしようと思うとキリがないほどの多様性があるところにスペイン語特有の豊かさを感じます。

このような言語の特徴を背景に、最近知ったチリでしか使われていない表現を5つ紹介したいと思います。こういうのがさっと言えるようになりたい…。

1. Dos cucharadas y a la papa

直訳すると「スプーン2杯とジャガイモ」という意味ですが、よりユニバーサルなスペイン語だと"Vamos al grano"と同義で、「(回りくどい言い方をせず)はっきり言う/要点を言う」といった意味になります。スペイン語の先生によると、チリではcazuelaのようにジャガイモなどの具を細かく切らずにそのまま煮るような料理が多く、「水2杯をジャガイモに加えればスープは作れるでしょ」といったニュアンスで、早く要点を言ってよという意味合いで使われるのだそうです。

2. Chicotear los caracoles

直訳すると「カタツムリに鞭を打つ」という意味で、遅い人を急かすという意味で使われています。 そもそも"chicotear"(叩く、鞭を打つ)という動詞自体チリやアルゼンチンをはじめとするラテンアメリカ諸国でしか使われていないそうです。チリ人だと全員知っている代表的な言い回しだそうで、チリ人の芸能人がクイズ番組でその意味を答えられなかった際にその動画がバズったようです。

3. Ahí pica la jaiba

直訳すると「その場所ではカニに嚙まれる」という意味で、犯罪者だらけの危険な場所という意味で使われています。"jaiba"(カニ)もまた一部のラテンアメリカ諸国でしか使われていない言葉で、他地域では"cangrejo"が主流だそうです。サンチャゴ市内は比較的治安が良いものの、暗い時間帯は避けた方が良い場所もあり、夕方セントロの方に出かけるんだと話したらスペイン語の先生に"Ten cuidado, en ese lugar pica la jaiba."(気を付けてね、そこは危険な場所だから)と言われました。

4. Sacar la vuelta

直訳すると「振り向く、違う方向を向く」で、本来すべきことをやならい/サボるという意味だそうです。最近大学のスペイン語の授業で”Somos Chilenos”というチリ人のステレオタイプに関する動画を見ましたが、仕事をサボりがちであるというのがチリ人のイメージとして存在するのだそうです。

5. ¡Ándate a la punta del cerro!

急に過激な表現ですが、英語だと “Get lost!”や“Go to hell!”に似ており、端的に言うと「くたばれ」みたいな意味だそうです。こういう類の表現はスペイン語ではバラエティに富んでおり、他にも似た言い回しで"¡Ándate a la mierda!"、ベネズエラでは”¡Vete al carajo!”、最近読んだメキシコ/エルサルバドルが舞台の小説では”¡Vete al cipote!”が使われていました。チリバージョンを直訳すると「丘のてっぺんへ行け!」という意味で、丘や山脈に囲まれた地形からくるのだと思われます。実生活で使うようなシチュエーションはあまり想像できませんが、スペイン語には日本語でいう放送禁止用語のような言葉(チリでは"garabato"という)を含む強めの表現がたくさんあり且つカジュアルな場では日常的に使われているので、ある程度覚えておくと良いのかもしれません。

最近はブドウの収穫に合わせて各所でVendimiaが開催されており、
色んな銘柄のワインが試飲できる


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