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スクラムマスターのコーチングスキル獲得のためのテクニック

スクラムマスターにコーチングは必要?

スクラムマスターにコーチングスキルが必要だということは、#ScrumMasterWay https://scrummasterway.com/scrummasterway-ja.html でも、スクラムの研修をしている Odd-e Japan https://qiita.com/rilmayer/items/7b0dc522d1c19caa385e でも同様に言及されています。
スクラム関係で活躍しているコーチや、会社の方々が重要視していますし、スクラムマスターの育成をやってきた私も重要だと感じています。

コーチングとは何でしょうか?

日本で古くからコーチングの普及をされてきている2社から説明を引用します。
コーチ・エイでの定義は、”コーチングとは自発的行動を促進するコミュニケーション”とされています。CTIでの定義は、”コーチングとは話し手(以下、クライアント)自身に焦点を当てて関わるコミュニケーションであり、その目的はクライアントの気づきから生まれる意識と行動の変化を促すこと”とされています。
要するに、「相手に気づきを与えて行動の変化を促すこと」とわかります。コーチ側が指示したりするわけではなく、相手に自発的な行動してもらうときに使えます。

コーチングができないとどうなるのか?

スクラムマスターにコーチングのスキルがない場合、どんなことが起きるでしょうか? コーチングが、「相手に気づきを与えて行動の変化を促すこと」なわけですから、コーチングスキルがないと相手に自発的な行動を促すことが難しいです。
例えば、ふりかえりでスクラムマスターが「〇〇ができてないことで問題が起きているので、やっておいてもらえますか?」と誰かに作業をお願いしないとカイゼンが進まなくなってしまいます。スクラムマスターは作業を依頼する人ではなくてほしい存在です。

他にも、「スクラム実践者が知るべき97のこと」にてルイス コンサウヴェスがスクラムマスターが1on1を実施することも言及しています。こちらの1on1の時間でもコーチングのスキルが無いと、得られる情報にも、話し手であるメンバーに提供できる価値にも違いが出てきます。
例えば、「△△がないせいで問題が起きていると思います」と言われたときに、コーチング能力がないと「じゃあ△△について解決しましょう」と返してしまい、どうしてメンバーが△△が元凶だと思っているのか、△△にどんな印象を持っているのかなど、深い情報を確認することができなくなってしまいます。

コーチングを身に付けるための方法

では、どのようなことをすればコーチング能力が高くなるのでしょうか。
・コーチング研修に参加する
・コーチをつける
・コーチングの練習をする

コーチング研修に参加する

お金さえあれば、コーチング研修に参加するのが最も一般的な方法です。今や、コーチングの研修といってもすごい数の研修がありますが、国際コーチ連盟の資格が取れるところを選んでおけば問題がないでしょう。100万円を越える金額の研修も少なくないため、選定には力を入れたいところです。基礎コースだけ受けられるコーチング研修もあり、20万円前後で受けられるようです。また、一般的なコーチングの他に、マインドフルネスベースドコーチングや、ストレングスファインダーのコーチングなど、他の知識と組み合わせてコーチングする研修もあります。コーチングの会社ごとにかなり特色があり、コーチングスタイルに影響が大きいため、もし可能なら自分の受ける会社のコーチング研修を受けた人にコーチングをしてもらって考えるのもオススメです。

コーチをつける

コーチをつけることは、コーチングに熱心な方がよくやっている方法です。こちらもお金がかかる方法ですが、20万円〜100万円を超えるといった高額なコーチング研修とは異なり、1セッション1万円から2万円くらいがボリュームゾーンです。値段の付け方はコーチによって様々で、私も多くのコーチにお願いしてきましたが、クライアントの収入に応じて金額を決めるコーチもいらっしゃいました。毎週から月に1回のペースなど、人によって頻度も様々です。期間を決めてセッションする場合も多く3ヶ月隔週で1回1万円だと、6万円くらいの費用になります。

コーチングを学ぶ際に、コーチをつけて自分もコーチングを受けることで数多くコーチの手法を実際に体感することができますよね。コーチングの効果を実感することは今後コーチングを学ぶ際にも非常に重要で、コーチングという技術を信頼できるようになってきます。さらに、自分がコーチングをするときに感じた課題感をコーチングを通して、コーチに相談し、コーチングを使って悩みを解消し新しい行動を起こすことができ、スキルアップに繋がります。

コーチングの練習をする

コーチングはスキルのため、上達するにはコーチングの練習が必須です。その中でも効果的な方法をお伝えします。コーチングはコミュニケーションのスキルなので、練習にも2人以上の参加者が必要です。2人でコーチングの練習をする場合は、イメージの通りお互いにコーチングをしてみるのが良いです。このとき、コーチングの中でも今日は〇〇のスキルを身につけたいから、そのつもりでお願いしますとするのも良いでしょう。

3人以上で練習をする場合は更に効果的な練習が可能です。5人までの場合1グループで練習する効果的な方法があります。それはシャドーコーチングと及ばれる方法です。コーチングの練習をする人はコーチ、そして相手をする人がシャドークライアント、コーチの後ろにシャドーコーチ、クライアントの後ろにシャドークライアント、そしてオブザーバといった5名で練習を行います。4人の場合はオブザーバーを外すとか、3人だったらシャドーコーチも外すなど、コーチとクライアント以外の人で人数調整をします。

シャドーコーチは、コーチの後ろからクライアントの表情や反応を観察し、どんな言葉を投げかけたときに、クライアントにどんな反応があったのか確認し、セッションの後にフィードバックします。シャドークライアントは、クライアントの後ろからコーチの表情や身振り手振りを観察し、どんな質問をしたときにどんな言い方をしているのか、話を聞いてくれるときの様子はどうだったのか観察し、セッションの後にフィードバックします。オブザーバーは、ひたすら会話内容をメモし、後から復習できるようにします。

そして、通常のコーチングよりもずっと短いショートセッションを5〜10分程度で行い、フィードバックを各役割の人から行います。もちろんコーチもやってみてどうだったか、クライアントもやってもらってどうだったかのフィードバックを返します。そこから、今後、どのようなセッションをするのがクライアントのためになるのか、何がうまくいったのか、などをふりかえります。他の人からのフィードバックとセッションを含めると20分程度になると思います。これを役割を入れ替えながら何回か行います。

よくある失敗談

コーチングを練習中は、よく相手とのコミュニケーションが不自然になりがちです。コーチング経験者からすると、傾聴を意識しているんだな、などと暖かく見守ってくれるのですが、それ以外の人の場合「変なコミュニケーションをしている」とか、NextActionを意識するあまり「無理やり行動させようとしてくる」といった印象を持たれて例え1on1の時間であったとしても不快な思いをさせてしまうことが多いです。

そのため、コーチングの技術を意図的に使ってコミュニケーションする場合は、1on1の時間だとしても、「最近はコーチングというコミュニケーション技法を勉強しているから、いつも違う不自然な感じになるかもしれない。〇〇さんを不快にさせるつもりはなく、より充実した1on1にするために勉強しているので嫌だったら言ってね」など、目的や勉強途中で不快に感じてしまうことがあるかもといったことを伝えておくだけでネガティブに思われづらくなります。あとは、普段の接し方も影響するため、1on1の時間だけ優しくしてもうまくいかない場合がありますので、お気をつけください。

まとめ

スクラムマスターのコーチングスキルが低いと、自発的な行動促せなかったり、1on1での会話が表面上のものだけになり深い課題感について話せなくなってしまいます。

そのため、コーチングのコーチをつけてコーチングしてもらったり、シャドーコーチングを使って複数人でコーチング居の練習をすることをおすすめします。

コーチングができるようになれば、依頼をして動いて貰う必要がなくなりチームの自律度が一気に高まること間違いなしです。ここまで読んでくださった方なら、ここから練習を積み重ね、素敵なスクラムマスターになれると信じています。一緒に頑張りましょう。

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