スピッツが好き ~「正夢」~

 ※↑イメージに近い画像をお借りしました。ありがとうございます。

 私は日本のいろんなロックバンドが好きです。その中で一番大好きなのが、スピッツとミッシェルガンエレファントです。一番が2組。もう、二大巨頭です。今回はスピッツの話をします。スピッツの特に好きな曲について語ります。曲を語るのはシリーズ化したいです。同じスピッツファンの方に届きますように。

    私がスピッツで一番好きな曲、それが「正夢」です。かつて、フジテレビの「めだか」というドラマの主題歌だったり、富士フイルムのCMにも使われていたようです。

 この曲は半端じゃない普通じゃない。この曲の美しさはどんな宝石にも代えがたいです。素晴らしすぎるので宇宙人にも布教したいし、宇宙人にもこの素晴らしさはすぐわかると思います。

 最初にサウンドやメロディーについて。あんまり専門用語とかはわからないので感覚的な説明になりますが。
 まず、イントロの「ジャーン」っていうはじめの一音からして虜になります。アコギ、エレキ、ベース、ドラム、ストリングスが一斉に「ジャーン」って入るわけですが、ここのハーモニーを聴くと、私はいつも「波」のイメージにとらわれます。
 波。空は朝焼けでピンク色のイメージです。私は海に膝くらいまで入っていて、このイントロが流れ出した瞬間、すっごく大きくて柔らかい波が、光の粒子を抱いて虹色に光りながら、私の全身を飲み込むんです。でも津波みたいに冷たいとか、怖いとか思わせる不快な波じゃなくて、ひたすら包み込んでくれる、清潔で、温かい波。そんなイメージがいつも押し寄せてきます。そして、波だから、私がこの曲を聴いてない時間も、心の中で寄せては返し寄せては返しを繰り返して私を待っているのです。

 また、イントロ終わりとサビ前に入る「ジャーンジャーンジャージャジャジャ、ジャー」の決めのフレーズですね、擬音で書くと伝わりませんが聴けばすぐわかります、これも素晴らしい。なんというか、こういうユニゾンのところを聴くと、やっぱりチームだなという感じがします。

 楽器だと、テツヤの弾くレスポールの「ピロピロピロピロ・・・」という感じの甘やかなフレーズが超好きですね。ずっと聴いていたい。もう心地よすぎて食べちゃいたいほどです。リーダー田村のベースラインもメロディアスで大好きです。私は一時期ベースをやっていたことがあるので、特にベースラインはやっぱり追ってしまうのですが、この曲に限らずリーダーは、マサムネの歌うメロディーに絡みついていくようななめらかで流麗なフレーズを弾くなあと思います。だから私はベースを地味な楽器だと思ったことが一度もありません。しっかり根を張った上で、どこまでも絡んでいくツタのような強さと柔軟さを持つポジションだと思ってるし、そうあるべきだとも思っています。ドラムに関してはほとんどやったことないのでわかりませんが、ドラマー崎ちゃんはハイレベルです。超難しいフレーズも、あの常に口角の上がったような柔和な表情のままで叩きこなすので凄まじい。「正夢」の流れる聖水のような優美さは、その下で支える堅固な土台があるからこそ心に響くのです。

 次に歌詞ですが、本当に素晴らしい。一体何人の人生を救っただろうと思わせる名フレーズの数々・・・。ただ、歌詞全体について書くと長くなるのでサビの歌詞についてだけ書きます。それと私はあまり歌詞全体の解釈をしつつ聴くということをしないタイプなので。
 サビの歌詞、全文が本当に素晴らしく、美しすぎるんです。

どうか正夢 君と会えたら 何から話そう 笑ってほしい
小さな幸せ つなぎあわせよう 浅いプールで じゃれるような
ずっと まともじゃないって わかってる

 まず最初の一行。「どうか正夢 君と会えたら 何から話そう 笑ってほしい」。もうなんかこの一行だけで泣けてきます。これほどまでにけなげで優しく、切ないのに幸福感を感じさせるフレーズはそうそうない気がします。
 次の一行。この「浅いプールでじゃれるような」という比喩が美しすぎる。これは何回も自分の中で想像しました。夕方の、市民プールかどこかの水深数十cmの幼児向けプールで、「君」と倒れ込んで全身びしょ濡れになりながら水しぶきを上げてじゃれ合う。なんて言うんでしょう、無垢でありながらほのかなエロティックさもあるような、でも触れ合う安心感が大きくて幸せ、みたいな。そうですね、聴く人間によって一行の歌詞にいろんな感情を滲ませられるんですよ、単純じゃない。これがマサムネの詞の凄さの一つですね。
 そして最後「ずっと まともじゃないって わかってる」。今までの幸福感がほんの少し陰りを見せて、まともじゃない自分という自覚が表れる。それは一見悲しいんだけど、でもそれでいいとも思えるというか。「君」のことがこれだけ大切で、支えられて生きているのだから、まともじゃなくても大丈夫なんだというか。そんなふうに思わせてくれるフレーズですね。
 あっ、曲の最後のサビではこのあとに

もう一度 キラキラの方へ登っていく

と続いてから曲が終わるのですが、「キラキラ」が何の象徴かは人によって違ってくるにせよ、その輝く何かの方へ登っていけるんだというイメージはすごく心強い希望になっているなと思います。

 はあ、なんて素晴らしい曲なのだろう。
 最後に私がこの曲にどれほど惚れ込んでいるか書きます。
 マサムネの声の特性ゆえ、曲の音程をソフトとかで変えて女の子っぽくして聴くファンもいます。「スピッツ ピッチ上げ」とかで調べると色々出てきて、私もよく聴いています。さて、私の部屋にあるラジカセ(今は壊れた)には再生速度を変えられる機能がついていて、一時期それでよく「正夢」の速度を変えて聴いていました。再生速度を変えると音程もそれに合わせて変わって、全く違った曲のような味わいでしたが、「正夢」の恐ろしいところは、どの速度で聴いても心地よすぎて仕方ないのです。遅くすれば明け方のひんやりした朝もや感、速くすれば草原で風船をたくさん飛ばすような(?)多幸感が味わえて、しかもどっちも心地よすぎるのです。
 さらにそれだけでは飽き足らず、スマホでは某アプリを使って逆再生して聴いてみたこともありましたが、逆再生でも心地よすぎる。もちろん歌詞はめちゃくちゃな宇宙語みたいになるし、ボヤーっとしたよくわからないメロディーになりますが、それでもなんだか甘く切ない感じは残っていました。ずっと聴いてられた。
 こんなふうに、好きすぎて色々いじくり回して聴いて、それでも心地よすぎて、一体なんなんだこれは。魔法としか言いようがなく、私の手には負えません。皆様もぜひ、好きな曲はいじくり回して聴いてみてください。

 また長くなってしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。スピッツファンの方もそうでない方も、音楽の力を借りて元気で今を乗り越えられればと願っています。

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