中小企業に人事制度は必要か? - 4
今日も脇坂(2014)に基づいて、考えてみます。
WLB(ワークライフバランス)施策として、育児休業制度をとりあげ、データにもとづき、大企業と中小企業において、①人事制度の有無、②育児休業の取得から考察されています
特に中小企業は、制度がなくても柔軟に対応して育児休業をとっている可能性が考えられます。とはいえ、やはり制度が整っているほど、育休取得者の増加につながっているのではないか?この疑問に答えようとしています。
①人事制度の有無
想像できるように、大企業ほど制度があり、中小企業ほど制度がない。H24雇用均等調査では、大企業では99.9%、5-29人の事業所では67.3%しか制度をもっていない。
②育児休業の取得
制度が整っている大企業よりも、中小企業の方が実際に取得率が高いという研究があった。中小企業白書(中小企業省)によるものが代表的で、制度を設けず柔軟に対応しているとされている。
この議論に決着をつけたのが、池田の労働政策研究・研修機構による調査を用いたもの。
これから考えた(想像ですが)ことは、
中小企業は柔軟な運用で頑張ってきた。一方、大企業は制度がないと上手く対応できず、1900年代は中小企業の方が結婚・出産で会社を辞めなかった時代
大企業は時代の流れもあり、2000年代から制度の改定や、運用の推進を行ったことで大企業での継続就業割合が大幅に増加
中小企業は、柔軟な運用で対応し続けているが、制度がない運用では限界もある
文献では、そのそも中小企業では事例がなく、経営者や総務担当者も知らない事が多いので、利用者(本人)と会社がwin-winになるように、助成金のメリットなども含め、①まず知る(調べる)こと、②育休をとった際のカバー・バックアップ方法について握っておくこと、③復職後の時短対応やそれを可能にする業務手順の変更、仕事の分担・共有なども、セットで考えて対応されてうまくいった会社の事例が紹介されていました。
中小企業へのご支援としては、制度の設計、そしてその制度に魂を込めて運用出来るようなサポートが大事かなと思います。
育児休業やWLB制度が経営にとって重要かを全員が理解する
育休を取得しても困らない業務体制の構築
その結果、離職者の低下(新規採用コストの低下)、会社の評判の上昇による優秀者の採用、あるいはダイバーシティー向上で新規アイデアがでたり、新規事業につなげるなど、経営に直接、よい影響がある施策ということをご理解いただき、結果がでるまで伴走できるような、支援者になれればと思います。
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