始祖鳥は飛べなかった

 始祖鳥は飛べなかった
 
 鳥類の祖先といわれる始祖鳥は羽ばたいて飛べなかったらしい。始祖鳥の推定体重と、化石に残された羽根の軸の太さなどから、始祖鳥の翼では体重を支えきれず、木の枝から地面へ滑空するしかできなかったというのが結論である。
 始祖鳥や始祖鳥の次に原始的な鳥の孔子鳥と現在の鳥類と比較すると、羽根の長さは変わらない。しかし、始祖鳥や孔子鳥は、長さに対する羽根の軸が非常に細かったという。
現在の鳥類は体重の6-13倍に耐え、羽ばたく激しい動きに対応できる強度があったが、始祖鳥(推定体重276グラム)は体重の0.55倍、孔子鳥(同500グラム)は0.39倍しか支えられないことが分かった。
 つまり、原始的な鳥は現在の鳥類に比べて、設計不良だったのである。もっとも、進化の過程ではそれも仕方がないことだろう。
 より遠くより高く飛ぶには、体重の何倍もの重量を支えるだけの強度がなければならない。およそ人間が作るものは、それが制度であるにせよ、あるいは機械であるにせよ基本の設計が綿密に計算し尽くしていなければはならない。
 例えば、我々一般人が家を建てようと思っているのであれば、当然建築士がいる建設会社なり、不動産会社に相談する。いきなり自分で家の設計ができる人などはいないからだ。
 しかし、人生の設計は自分以外の人はしてくれないから、自分で設計するしかない。
 現役時代とは違って、もう遠くまで飛んだり、高く舞い上がったりする必要はないのだ。そのことを頭に入れながら、これからの人生の設計をする必要がある。その際は、自分の着地点はどこなのか、また、その時の周囲の状況はどうなのかなど様々な要素を考慮する必要がある。
 老後の設計はなかなか難しいものである。つい、まだ先があるという思いに囚われたりして、なかなか着手しない。そうこうしているうちに、病に倒れたりすることが多々あるようだ。
だから、早くからいろいろと考えて老後の設計をして準備しておくのは必要なことなのである。
 
 
 

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