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『THE FIRST SLAM DUNK』 井上雄彦

『THE FIRST SLAM DUNK』
2022年 井上雄彦

中学生で漫画に出会って何度読み返したか分からない。1年ぶりに復活上映行ったら見事に再燃、興奮のままに。バスケ詳しく分からないんだけれどね。

殴り合い、挑戦の海南、陵南との凌ぎ合い、己が下手さを知りて一歩目だった合宿、前置きは一切しない。井上氏のタッチがそのままスクリーンに彼らを描き出す。試合は歩き出す。

モノクロの筆致。リストバンドの赤。左耳のピアス。
交錯する過去といま。

宮城リョータ。
私たちが彼について知るのは、不良で、生意気で、器用で、不器用に一途で。トラブルを起こしつつも、マイペースにバスケを楽しむ姿。

だが映し出されるのは、苦労を重ねる少年時代。
大切な人を亡くし、1 on 1を挑んでは負け、暴力を振るわれ、素直になれず。何より堪えたのは、やはり追いつけない存在と比較されることだろうか。

私はここで原作のある場面が蘇った。インターハイ出場を懸けた陵南戦の後半、試合もいよいよ大詰め。ドリブルで駆け上がる湘北、パスをするかに思えたリョータはそのまま突っ込み自分で得点を決める。そして仙道に放った一言、
「俺ならいつでもブロックできると思ったかい?」

きっと幾度となく止められてきたんだろう。兄に、ドリブルを。兄を知る心ない人々に、気持ちを。それを経て自ら押し込みにいく7番の背中に、揺るぎない意志を感じた。

なんて語っていますが、山王戦最高の激アツは「そんなタマじゃねーよな」からの鮮やか3ポイント、何を隠そうみっちゃん推し。
それとやっぱり「ドリブルこそチビの生きる道なんだよ」、主題歌の使いどころが決まりすぎていて。
あとあと、無心の「左手は添えるだけ」からのシュートからのハイタッチ。
たぶん終わらないのでもうやめる。

スピンオフと噂の『ピアス』、未読なので読みたい。
あれからを少し覗ける黒板の上の彼らからも、ファンなら無限に妄想が広げられるので合わせて読んでほしい。どことは言えないけれど見られる場はあるので。

いつまでも彼らの幻影を見ていたい〜

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