名CM考 第四回 1987~1992年 JR東海 「シンデレラ・エクスプレス」

まずはこちらをご覧ください。残念なことに1987年版「シンデレラ・エクプレス」が無いんです。残念だなあ、ということで最終版、1992年版の「シンデレラ・エクスプレス」をご紹介します(なお、1987年版があったらここに追加します)


JR系のCMは1987年に国鉄がつぶれてJRが発足したからというのが主要因なんですけどとにかく力の入れようが違うんですよ、今とは。

「いやさ、らんたさ、JR東海と言ったら『クリスマス・エクスプレス』でしょ!?」とか言います?

あわてないでください。それも紹介します。またほかにもあります。「ハックルベリー・エクスプレス」という時代に埋もれた名CMもございます。お盆に帰るとき少年は冒険するもんですよね。

ただし、名CMと言っても「そうだ、京都に行こう」だけはこのエッセイから除外します。私はクリエイターの佐々木氏には断固抗議します。

それにしてもこの1分CMで物語が全部分かるように出来てるってすごいですよね。今なら下手するとZoomで出会って終わりですよ。

※コロナ禍での出会いは今は辞めてください。コロナ禍が終わった後の話ですよ。念のため。

いやコロナ禍が無くても今なら「シンデレラ・エクスプレス」や「クリスマス・エクスプレス」流すと「リア充〇〇しろ」とか嫉妬爆発で炎上するんですかね。そのくらいもう今の世はまともなCMが作れないんですよ。

そう、人間が恋愛するという当たり前のシーンが今のCMは作れないんです。あっても埋もれやすい。

ちなみに1992年版は21時18分になってますが1987年は21時00分なんです。使ってる車体が100系新幹線から300系新幹線になったおかげでカップルは18分も滞在時間が伸びたのです。営業最高時速も220km/hから270km/hにまで上がりました。つまりこのCMはギリギリ「のぞみ」登場に間に合ったのです。なんせ1987年版はナレーションの通り「新大阪行最終21時、若者の間ではこの列車を『シンデレラ・エクプレス』と呼んでます」という通り実にロマンあふれる時代でした。

つまり、名ナレーションCMでもあるんです。

なぜ1992年が最終版なのか。まあ私はうっすらとですが分かります。ずばりバブル崩壊でしょう。世相的に浮かれてる場合じゃないからです。本当は「のぞみ」の登場でさらに早く、さらに滞在時間が延びたからシンデレラにとっても有利なはずなのに。

ちなみに今はなんと21:23が新大阪行最終のぞみです。N700Sすげえ。

ではリニアが名古屋まで開通するとこの手のCMは復活するか。たぶん復活はないでしょうね。日本人はなんと25歳の時点で男性の25%が一度も性交渉をしたことが無いんですって(「25問題」と言います)。そのくらいもうコミュ障というのもあるし世の女性が男をATMと思ってるやつが多くて人間としてクズ化が進行しておりまともに恋愛を行える奴の方が少数派となりました。だから新大阪行最終が「22:00(名古屋乗り換え)」になったとしても令和の時代に「シンデレラ・エクプレス」CMは復活しないでしょう。

まともな時代はまともなCMが打てる まともじゃない時代はまともなCMが打てない

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