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名CM考

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日本に「こんな名作CMがあったよね」って事を作品的に考察するエッセイ。
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名CM考

日本の名CMについて考えていきたいと思う。

特にTVCMというのはCMの出来で本作品の影響に与えるほど重要である。当たり前のことを言うがTVというのはスポンサー料金で成り立つビジネスだから。

だから粗悪なCMが多いほど番組は粗悪になるし、名CMが多いほど番組も名番組になる。

だから公序良俗に反する企業はTVCMを打てない。それを規制緩和したした時点でTVというのは終わってしまうし、広告文化と

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名CM考 第一回 1989年 三共 「リゲイン」

で、名誉ある第一回はこのCMです。

CMというのは単なる宣伝じゃなくて名CMともなるとあの時代の象徴ともなる作品になります。

作品、ですからね。

で……このCMは日本の勝利の雄たけびなんです。間違ってもブラック企業礼賛じゃないし「24時間戦えますか?」というのは『地球上の日本のビジネスマンよ、永遠なれ』って意味です。地球は眠らないので。

こんなのが朝からバンバン流れてきたんですよ。考えられ

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名CM考 第二回 日本航空 「1990年 JAL 沖縄キャンペーン 『夏離宮』」

まず、こちらの画像をご覧ください

いかがですか?ちなみにこちらのCMも朝からバンバン流れてきました。そして 「JAL 沖縄キャンペーン」と打ってるのですがCM曲の浪漫飛行はむしろ海外旅行、それも海外リゾート地に行くときの代名詞になりましたよね。

制作側や広告主から伝わってくるのは「何が何でもCMを見せるぞ」(=トイレタイムになんてさせない、CMこそ本番組だ!)という部分と「CMはそれ自体が作品

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名CM考 第三回 1988年 レナウン 「I.N.EXPRESS」

こちらをご覧ください。

まず、このCMを社名伏せて今の子に見せたら2021年のCM?って言うでしょう。そのくらいの完成度なんですよ。

アニメCMってのは単に画像がキレイであればいいってもんじゃないんですね。センスが無ければ、そして音楽が芸術レベルでなければだめなんですね。つまり今のCM曲はブルーハーツに勝てる曲なのかという事です。なのでアニメCMは2021年現在でこのCMに勝てるCMをいまだに

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名CM考 第四回 1987~1992年 JR東海 「シンデレラ・エクスプレス」

まずはこちらをご覧ください。残念なことに1987年版「シンデレラ・エクプレス」が無いんです。残念だなあ、ということで最終版、1992年版の「シンデレラ・エクスプレス」をご紹介します(なお、1987年版があったらここに追加します)

JR系のCMは1987年に国鉄がつぶれてJRが発足したからというのが主要因なんですけどとにかく力の入れようが違うんですよ、今とは。

「いやさ、らんたさ、JR東海と言っ

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名CM考 余談 バブル期は名CMの宝庫

「名CM考」エッセイをご覧の皆様改めましてこんにちわ、らんたと申します。

お前バブル期のCMばっかり上げてるんじゃねえよって声が聞こえてきそうですがやっぱりバブル期って名CMが多いんですよ。なにせ予算のかけ方が違うのとやっぱセンスが違うんです。そして社会に及ぼした影響力のあるCMが多いんですよ。

これがバブル前のCMになるとぐっと名CMの頻度が減ります。またアイドル頼みという貧乏くさいCMが多

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名CM考 第五回 1996年 大塚製薬 「ポカリスエット」

まずはこちらをご覧ください。

「心を開いて」(ZARD)という曲自体が1996年の代表曲の1つでもあるんですがおそらく女性同士の友情を描いたCMとしては日本・最高傑作でしょうね。なお1分CMを持ってきました。これを超える「女性の友情」を描くCMってもう出ないでしょうね。たぶん。

最近のCMと何が違うのか。まず、変なダンスを踊ってませんよね。それだけでも訴求力が違います。それだけじゃないですよね

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名CM考 第六回 1993~1996年 東芝企業CM

みなさんは企業CMってちゃんとご覧になったことがありますか?最近は1社提供CMって激減してますよね。1社提供の最強のメリットは企業イメージを損なわないNHK並みの良質な番組が作れるという部分にあります。そう、このCMは「東芝日曜劇場」で流れたCMなのです。

1993年版

1996年版

椅子が1つぽつんとあってそれが2つになりますよね。椅子がだんだん増えますよね。

そう、家族を意味します。荒

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名CM考 第七回 1987~1988年 日本コカ・コーラ 「I feel Coke」

こちらをご覧ください。これが1987年版です。

ここまで輝いてる「大人」をあなたは現実で、そしてCMで最近見ましたか?もちろんCMは夢を見させる場で現実じゃありません。でも人間は夢すら見れなくなったら終わりです。

もう一つあります。これが1988年版です。

実は1994年版とどっちがいいか真剣に迷いました。

1994年版はこちら

TRFすげえよな。ちなみにこのCMはPVと全く同一です。小

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名CM考 第八回 1991~1994年 JR東日本 「JR ski ski 」

これがスキーCMの代表格の1つですよよね。もう1つはアルペンのCM(1993年)ですが。

で、「日本衰退国史 平成編」でも出しましたが今のCMでこれが出来るかと言ったら出来ません。スキー人口約-75%(1998年比)です。スキー・スノボ人口のピークは1998年なんです。人はそれだけ貧乏になったのです。

「これは関東ローカルCMじゃないか!」って怒る方もいると思います。でもガーラ湯沢のインパクト

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名CM考 第九回 1999年 NTTドコモ 「i-mode」

これ何気ないCMですけど、画期的だったんですよ。革命的とも言ってよいです。だって、1999年で携帯電話から銀行振り込みまで出来たんですよ。

日本が世界を驚かせた商品のCMってたぶんせいぜい2000年ごろまでですよ。本当は1999年というのは世界初のカメラ付きケータイ「ジェイフォン」のCMも紹介したかったのですが1999年版が無かったんです。なのでi-modeのみで説明します。

そして、この技術

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名CM考 余談 CMで見せてはいけないものとは何か

じゃ逆にCMで見せてはいけないものとは何かです。

・派遣

・消費者金融

・ギャンブル(公営ギャンブル除く)

・宗教(ただし初詣のCMは除く)

・葬式(特に「死」を連想させるもの)/霊園

・課金ゲーム

・エロ(特に性風俗)

・健康食品

・医療保険

・老人ホーム

ものの見事に今は「見せてはいけないCM」ばかりでそりゃそれがスポンサーだったら番組は「終わる」よねって。

「公序良俗

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名CM考 第十回 1987年 NTT 「フリーダイヤル」

鉄棒するネコがあまりにも強烈すぎて実は「犬」も後から登場するという事実を視聴者が忘れてしまった伝説のCMです。NTT系も名CMの宝庫ですので紹介しますね。

これもう必死に考えたんでしょうね。「0120=フリーダイヤル」って視聴者に覚えてもらうにはどうすればよいか。もう強烈なシーンでもぶち込めみたいな。

名CM考 第十一回 1991年 第一生命 「PERFORMANCE 1991」

まずびっくりする事実を伝えます。商品を一切宣伝してないんです。

そしてこのCM自体が宴の終わりの象徴でもありバブルの終わりの象徴ともなったCMです。

こっちのCMの方が重要なんですが。そう「人は1人で生きていくことはできない」という説教じゃなくて「人は1人で生きるなんてつまらない」と言ってるのです。それが大人の本当の在り方ですよね。

1991年版はなんと3つCMあるんです

いやあ、こっちが

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