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通訳について思うこと(2)台本のある通訳

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通訳について思うこと(0)
通訳について思うこと(1)初めて通訳でお金をもらう

台本のある通訳

  初めて中文や韓国語で家族の意思疎通を手伝えた「(広義の)通訳」から始まり、有償ボランティアで初めて「通訳」で報酬をいただき、その過酷さに「通訳は二度としない」なんて思っていた私は、ひょんなことから中文でのMCを担当することになっていました。

  大学休学中に参加した地球一周の船旅は、クルーズ船で各国を巡るだけでなく、船内で実施されるイベントも数多くありました。乗船者の多くは日本人ですが、中国語圏、英語圏の方も少なからずいらっしゃいます。そのため規模が大きなイベントでは必ず、日本語・英語・中文で案内がされるのです。特にMCは日本語担当・英語担当・中文担当と必要で3人で実施されていることが多かったです。
  基本的には通訳の方がスタッフとして担当するのですが、”発表会“というイベントでは無理を言って一般の乗船者だけで司会をさせてもらいました。

発表会のMC

  約70日間を船の上で過ごすため船内のイベントは毎日盛りだくさん。ウクレレ教室やヨガ教室など技術を学べるものも多く、それらの成果を発表する場として発表会が開催されることとなりました。
  基本的には最初と最後の挨拶、次の発表チームの紹介と終わった後に感想を一言。という形式で一見すると型にはめれば難しくなさそうではありました。しかし、

  • チーム名に固有名詞が使われていると訳しにくい

  • 今まで使ってきた中文(日常会話)とジャンルが全然違う(公的な場でのスピーチ)

  • 準備から発表までの期間が短い(発表会開催が決まってから約1週間😇)

  • 原稿を準備するのに時間がかかる(もらった日本語を中文に訳す)

  • 船の上でWi-Fiもなく満足に辞書を使えない

  • 船酔いすると訳す作業を進められない

と、語彙力や船上ならではの困難も盛りだくさん…!

  船内で出会った鏡写しの存在Y(※日本人の母と台湾人の父の間に生まれ台湾で育った、母語は中文で日本語ペラペラの親友)やその同僚(日中通訳として乗船していたスタッフ)にもたくさん手伝ってもらって、
  日本語でもらった原稿を中文に訳し、「素敵な演奏でしたね!」や「楽しい発表でしたね!」など当日言うであろう感想を捻り出し、団体紹介の間の繋ぎの文を考え、訳した中文にはたくさん赤が入り、何度も音読しては声調や発音を直され……

勉強にはなりましたが、当時は本当に本当に辛かったです。まあ今となっては、時間が無い中で船酔いとも闘いながら本当によくやったと思います笑

  そして迎えた本番。正直本番のことはよく覚えていません。
  震える手でマイクと原稿を持ちながら、震えないように声を出し、同じく乗船者の日本語司会と英語司会の2人に見守られながらどうにかこうにか最後まで実施することができました。原稿があったって、正しい発音で正しく観客に伝えられるか、発表会はうまく進行するか、船酔いしないか(笑)などんど緊張しっぱなしでした。
  ただ、鏡写しの存在Yが本番前に「楽しんで」と言ってくれたおかげで、とにかく楽しかったことは今でも記憶に残っています。

 中文でのMCはとてもとても良い経験になりました。
 中文ネイティブでもなければ通訳スキル・経験さえろくにない私をMCの1人にしてくれたこと自体、本当に本当にありがたいことだなと思います。
挑戦させてくれた皆様にはこの場を借りて改めてお礼を言いたいです。本当にありがとうございました。

通訳ってしんどい!!もうやりたくない!!と思いながらも、中文でのMCに挑戦しそのやりがいを感じた私は、あるアルバイトを通して「中文が話せる」ことが価値になるのだと知ります。

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