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【note】香港 戦争の記憶と伝承に挑む⑦「多民族・多文化・多角的な視点を伝えたい」呉力波さん 海濱文化導賞会元会長
「波叔(波おじさん)」の愛称で親しまれている香港人の呉力波(ポール・ン)さん(72)。香港生まれだが、中国建国の父、毛沢東が展開した文化大革命(1966〜76年)の初期に中国・広州の中学に通い、「紅衛兵」となった経験を持つ。「武力闘争(武闘)」に参加し、農村部での「下放」も味わった。
現在は香港の歴史や文化の魅力を街歩きで伝える民間団体「海濱文化導賞会」の創設メンバーとして会の活動を後方支援する
戦争と香港~旧日本軍の足跡をたどる~摩星嶺要塞跡編
香港島最西部の高地、摩星嶺(マウントデイビス)。ビクトリア港の西の玄関口に位置し、香港がまだ「維多利亜城(ビクトリアシティー」と呼ばれていた英国統治時代の初期に、港湾防衛のために英国が設けた要塞跡が残る。1941年12月の太平洋戦争(大東亜戦争)勃発を機に、日本軍による猛攻撃の標的にもなった。
要塞跡へは、島西岸を走る域多利道(ビクトリアロード)沿いからアスファルト道を1時間ほどかけてゆっくり登
香港 戦争の記憶の伝承に挑む⑤「言語学習を通じた相互理解が平和のカギ」侯清儀さん 海浜文化導賞会主席・香港歴史文化研究会理事
香港で30年にわたり日本語教育に携わってきた侯清儀さんは、香港と日本の交流史の研究や市民への積極的な伝承活動で知られる。流暢な日本語だけでなく、柔和な笑顔と穏やかな語り口が印象的だ。活動の原動力となっているのは何なのか、話を聞いた。
ーー生い立ちについて教えてください。
わたしはフィリピン華僑を背景に持つ閩南(中国福建省南部の呼称)の僑眷(きょうけん、同国内に居住する華僑の家族)です。閩南人は1
香港 戦争の記憶と伝承に挑む④「香港の歴史の『分水嶺」』を共有したい」 Watershed Hong Kong 葉坤杰さん
第2次世界大戦中の旧日本軍による香港の戦い、英国軍からすれば香港防衛戦を巡り、数年前から香港メディアで関連の活動を紹介されるようになったのが、民間歴史研究・活動グループ「Watershed Hong Kong(ウォーターシェッド・ホンコン)」だ。
設立メンバーは当時全員が20代で、これまでの著名な歴史学者や研究者と比べるとはるかに下の世代となる。調査研究だけでなく、軍服の着用など「再現」を伴う戦