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買い物ついでに本を一冊。

昨夜、ジュンパ・ラヒリ「べつの言葉で」を読了。良かった。とても良かった。素晴らしい気分で眠りにつけた。読み終わって、ふぅー、と息を吐いて、言葉と余韻に満たされていく。言語学習者というか、言語や言葉、語学や文学に深く惹かれている者としては、その説明できない思いがちゃんと丁寧な言葉できっちりと並んでいて、感動が止まらなかった。外国語を学んでいる人、言葉に魅了されている人、書くことで心のバランスを保っている人にはきっと魂に響くところがあると思う。

わたしは一人ぼっちだと感じるために書く。小さな子供のころから、書くことは世間から離れ、自分自身を取り戻すための方法だった。わたしには静寂と孤独が必要なのだ。

ジュンパ・ラヒリ「べつの言葉で」p118

新潮社クレストブックスって質感からセレクション、何から何まで完璧よね。

テイラースウィフトのニューアルバムが先週金曜日にリリースされたので、週末は1曲ずつ聴いて味わって歌詞を読んで意味を調べて飲み込んで…を繰り返してた。31曲。頑張った私。やり切った。彼女の音楽と海外ドラマで私の英語は成り立っているようなもの。今のところは「Down Bad」「The Black Dog」「Chloe or Sam or Sophia or Marcus」「I Hate It Here」「The Manuscipt」が好き。またすぐ変わると思うけど。

I'm lonely, but I'm good
I'm bitter, but I swear I'm fine
I'll save all my romanticism for my inner life and I'll get lost on purpose

Taylor Swift "I Hate It Here"



土曜日。いつもより長めのお散歩がしたくなる。ちょっとした買い物もあるしということで、足を延ばして何駅か先のモールまで行くことにする。強い日差し。サングラス忘れた。にじむ汗。静かな路地を抜ける。カラスが頭上を飛んでいく。モールには人、人、人。週末だものね。人混みを縫うように進んで、さっさと用事を済ませる。滞在時間は短すぎるけど、もう帰ろうと思いながら、モールに入っている本屋さんの前を通る。立ち止まる。

う、いや、本屋さんには寄っていこう。ちょっとだけ。ちょっとだけ。さらっと見るだけ。

雑誌コーナーと料理本コーナーを通り過ぎて、平積みになった文庫本に目を走らせる。把握する。流行りを知る。東野圭吾、多分、私まだ読んだことない。この前、美容師さんに勧められたな、と思い出す。友人も読んでるって言っていたような。

原田ひ香「古本食堂」を見つける。読もう読もうとここ一ヶ月ほど気になっている。小6の私には原田ひ香の作品ばかり読み漁っていた時期があった。なぜだろう。あれから読んでいないので、また戻りたいね。

ちくま文庫の棚に向かう。私の中で最近、ちくま文庫がブームなの。岸本佐知子「ねにもつタイプ」「ひみつのしつもん」とじっと見つめ合う。一度足を踏み入れたら、もう二度と出てこれなさそう。私にその覚悟はあるのかね。野矢茂樹「はじめて考えるときのように『わかる』ための哲学的道案内」の表紙に惹かれる。イラストも素敵。植田真という画家の名前を知る。

次は新潮文庫の棚を見に行こう、と思った時。心がビリビリした。寺山修司の「さみしいときは青青青青青青青ーー少年少女のための作品集」が小声で、でもはっきりと私を呼んでいる。(家が本で溢れそうなのに、気になる本に出会った時の言い訳の一例ね、これは。どうせ言い訳するなら、美しくもったいぶった言い訳を。)手に取る。寺山修司、そして「青」という色。私に寺山修司を教えてくれた人は青がよく似合う人だった。運命なのか、何かのメッセージなのか。多分、私の勝手な思い込み。過去を少しの間だけ振り返り、しんみりする。一瞬、泣きそうになる。あぶない、あぶない。

私はもう少女じゃないような気がするのだけど、読んでみることにする。まだ過去に片足突っ込んで生きてます。

でも、こういう予想外の出会いが結構好きだったり。大切にしたい。

帰り道、信号待ちの間にちらりと中を読む。うん、いい感じ。

青春というのは、幻滅の甘やかさを知るために準備された一つの暗い橋なのだ。

寺山修司「さみしいときは青青青青青青青」p23

本ってやっぱり良い、って本屋さんを訪れるたびに思う。なにがいいのか?って聞かれても上手く言い表せないけど。ただ良いっっ。小さい「つ」を2個もつけたくなっちゃうくらい。私の細胞の隅から隅まで、本があって良かったなぁ、言葉が読めて良かったなぁ、と喜んでいる。本の存在そのものが尊い。



先日、映画「シックス・センス」を家で観た。想像以上にホラーっぽくて(グロいといいますか)、ヒーヒー言いながらの鑑賞になったけれど、ラストはそのヒーヒーの価値があった。余韻がまだ残ってる。ブルース・ウィリスがじわじわと切なくて、好き。






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