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その69)助かる人と負担が増える人

※これは、作者が想定するベーシックインカム社会になった場合を想定した予測です。

私は、ベーシックインカムは多くの雇用がAIやロボットに代替され、CBDC(中央銀行デジタル通貨)が発行されており、マイナンバーを元に個人の生体認証が確立している中で実施されるのではと予測しています。雇用は極端に減っていますが、経営者はAIやロボットを駆使して物資を生産しサービスを提供しています。しかしこれらはお金がないと利用できないので、消費者を作る必要があり、ベーシックインカムが導入されるという予想です。

このベーシックインカムの財源は、国債や税制(主に所得税・消費税)などで賄う感じです。年金や生活保護なども制度に統合されます。医療保険は高額医療は保証されますがその他は4割以上の負担になります。延命医療は減り、看取りや緩和ケアが推進されます。国民は1億人程度で今なお減り続けている方向です。世界人口は増えていますので、輸出でも日本は利益が出ており、その還元も配分に影響していますが、資源循環と消費のバランスを図る政策なので、支給額はギリギリ一人暮らしができるくらいの金額になっているイメージです。金額が多すぎると生活習慣病が増える傾向にあることも係数に入っています。今のところそれに近い状態になるのは2050年頃ではないかと思いますが、本当にそうなるかどうかはわかりません。

また、ベーシックインカムは「最低所得保障制度」という性格の強いものです。いきなり月10万円とかでスタートすると多くの混乱が予想されるので、消費税のように少額からスタートする可能性が高いと思っています。

この制度で助かる人は「生活保護を受けていない貧困家庭や無職の単身者」が筆頭になると思います。現在でも社会保障制度によって助かっている人はいるからです。次がヤングケアラーです。介護を抱えた子供は現在社会問題ですが、ベーシックインカム社会では体が開く人が増えるので、雇用がなくてもなんとか助け合っていくということが可能になります。クリエイターなど、生活できれば創作や表現に時間を使いたいという人もおおいに活動できるようになるでしょう。

サラリーマンはあまり変化を実感できないかもしれません。おそらく所得税とバーターになっていくからです。ベーシックインカムをもらえても所得税が高くなって、結局入ってくるお金は同じみたいになるかもしれません。その代わり、いつ自分の仕事がなくなってもベーシックインカムがあるので飢え死にすることはありません。ただ、住宅や車のローンまで払う余力はないかもしれません。奨学金の返済問題はこの時代までに解決していると学生は勉強の機会を奪われずに済むのですが、どうでしょうか。

経営者は激しい淘汰の世界になると思います。人口が減り続けていますから、競争力のないところから潰れていきます。事業継承の問題も深刻です。中小企業は高額なロボットを導入する余力がありません。大手に買収されて行くか潰れていくかの二択を迫られるケースが増えるかもしれません。法人税は上げると潰れるスピードが加速するのでかなり調整が入るのではないでしょうか。

高額所得者は所得税率が増えると予想されます。ここからの税収はベーシックインカムに大きく恩恵をもたらしますが、投資家からは反発が強まるでしょう。

ベーシックインカムの循環社会を支えるインフラやサービス、生産事業などに関わる会社の経営者は潤うと思われます。ただ、かなり熾烈な効率化の競争になることが予想されます。生産性を上げるたびに人間が関わる場所がなくなっていくからです。

こうしてみるとベーシックインカムの実施は、所得が多い方の負担が増えるのは確実だと思います。これが最も大きな問題になっているとも考えられます。かといって貧困者や社会的な弱者を放っておくとどんどん世界は乱れていきます。体も社会も常に病気は弱いところから吹き出すからです。

これはとりも直さず、資本主義経済における社会的弱者に最低限の暮らしを保証することは今後、より必要になることを示しています。ベーシックインカムはそれを実現するシンプルな手段の一つと考えられます。





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