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マスメディアの時代から、マスがメディアの時代へ。

SNSとスマートフォンというふたつのイノベーションにより、メディア環境は一変しました。いまや国民総メディア時代。総務省の調査によると、SNSの利用率は13歳〜69歳の全世代含めて7割以上だそうです。10~30代に限って言えば9割を超え、ほぼ全員がSNSに触れていると言えるでしょう。

消費時間からみても、SNSの勢いは止まりません。すべての年代についてテレビの視聴時間が年々減っていっているのに対して、SNSの利用時間は増加傾向にあります。この傾向は向こう10年以上にわたってすべての世代でつづくでしょう。

このSNSの台頭は、新聞からラジオへ、ラジオからテレビへと変わってきたこれまでのメディアの決定的に違います。SNSの登場が意味するのは、人のメディア化だからです。一部のひとは

✕ 新聞→雑誌→ラジオ→テレビ→WEB→SNS

という系譜でメディア変遷を捉えますが、それだと見誤ります。そのメディアの延長線上にSNSが存在するわけではなく、イメージとしては

・新聞→雑誌→テレビ→WEB

・人の対話→SNS

という感じです。人の対話の代替がSNSである、という本質的な捉え方をすべきです。これまでは入れ物のメディアデバイスの変化でしたが、人自体がインターネット上でSNSというソフトウェアを与えられメディア化したこの変化は決定的に異なります。

そのとき、”広告”、つまり、広く告げることを生業にする広告会社は、この流れにどう対応すべきか。

広告は”広く告げる仕事”から”広く告げてもらう仕事”へ

これまで広告といえば、TVCMを流したり、バナー広告を撒いたり、ひとが注目しているメディアに出稿するような仕事が大半でした。PUSH型といわれるようなミッドロール広告です。

しかしSNS時代、そんなの邪魔だし、そんなことをやっている時点で「ダサい」と思われる対象となってしまう可能性すらあります。

じゃあ、どうするか。商品について、生活者自身に語ってもらえばいいのではないでしょうか。

広く告げてもらうためのコミュニケーション

生活者自身をメディアとして活性化して、商品のことを前向きにつぶやいてもらう。

いわゆるファンマーケもその手段のうちのひとつですが、別の手段として”バズ施策”もあります。バズ施策というのはSNSの間で企業の商品内容を訴求しつつ流通するコンテンツを撒く施策です。

そのとき、どうすれば人をメディアとして活性化できるコンテンツをつくれるのか。バズマシーンこと栗林さんがそのためにコンテンツが刺激すべき4つの欲求をまとめてくれていました。

1.共振欲:この気持ちを共有したい

2.表現欲:自分なりの意見や表現を打ち出したい

3.称賛欲:自分が認めるものを称えることで価値基準を伝えたい

4.啓蒙欲:有益な情報を周囲にも広めたい

この4つのツボを刺激するような企画を打ち出せば、きっと人はメディアとして活性化します。

次の記事では、これらの欲求に基づいた具体的な事例を紹介していきます。