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【シャニマス】三峰結華は、目を開く。【考察】

自分を理解してくれる人。
そしてその人が自分にとって大切な人であること。

そんな人が現れるのはきっと"奇跡"だ。

だから自分を理解してくれる人だけわかってくれればそれでいい。
きっとわかってくれない人と真剣に向き合っても意味はないのでしょう?


――――――それなら目をつぶりましょう。


PSSR【雨に祝福】をメインとした、三峰結華の全体像と限定PSSRを含む今までのコミュについて触れていく。そのため、ネタバレを考慮しない。また、個人的な解釈を含むため激しい解釈違いを含むかもしれない事や、読み切るのにかなりの時間を要する解説とも考察とも言えない怪文書である事に注意されたし。


0,はじめてはソツなく(仮)

では、そもそも三峰結華とはどういう人間であるか。

三峰との出会いは雨の日。
プロデューサーが雨宿りしている所に、たまたま三峰も雨宿りに訪れ、居合せるシーンから物語は始まる。

プロデューサーは、雨に濡れる自分よりもアイドルのグッズを心配する三峰を見て、アイドルが好きという気持ちがあること、そして何より彼女の笑顔を見てスカウトすることを決心し、『アイドル三峰結華』はスタートする。

アイドルとしてスタートした三峰の初仕事は、彼女が所属するユニット、アンティーカの宣伝をラジオにて行う、というものだった。

ラジオとしてトークを成立させるだけではなく、宣伝もしなければならないという、つい最近まで一般人だった素人には難しい内容だ。

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ところが、三峰はこの仕事をなんなくこなしてみせる。

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好感触のあまり、ラジドル路線もいいかもしれないとプロデューサーが思うレベルの仕事を三峰結華は初仕事でこなして見せたのである。

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ファッション、大食い、クイズ番組、バラエティ、スタイリスト、エトセトラエトセトラ。
あらゆる路線を三峰は想定して、なんでもできるアイドルを目指していた。

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実は三峰は、ラジオだけでなく大抵の事はなんでもソツなくこなしてしまうハイポテンシャルの万能タイプであった。

が、その才能を活かしてどんどん前にでて行くタイプではない。

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むしろ自分を抑えて他人のフォローに回ったり、ユニットの皆や他のアイドルを立てる事、物事がうまく運ぶように陰で潤滑剤として動く事が多い。

陰ながら皆のサポートをし、表立ってガツガツアピールするタイプではない三峰は、誰かに褒められたり感謝されたりすることはあまりないだろう。

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▲他のコミュで自分が前に出ていかないのは無自覚である事がわかる。きっと染み付いてきた考え方、ひいては、染みついてきた生き方なんだろう。

裏方に回る事が多い、とはそれだけ物事を俯瞰的に捉えていると言う事だが、これは三峰自身が登場人物であるという意識が三峰に無く、悪い言い方をすれば客観的で物事に冷めているといえる。
これは三峰自身も自覚しており、自分の事を『省エネ系』と揶揄している。

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登場人物として物語に没頭するのではなく、俯瞰的に、冷ややかに、一歩引いた所から。
トラブルや面倒事は、隠し持つポテンシャルで『ひらり、かわして』、一歩後ろという自分の立ち位置と体裁を保つ。

そういった【立ち回り】こそが三峰結華の処世術であり、生き方なのである。

三峰結華とは『大抵やればなんでもできてしまうハイスペックの持ち主』だが『その才能を最前線では発揮せず裏方に回り省エネを重視した生き方』をしてきた人間なのである。


1,閉じた瞼、広がる暗闇

では、なぜそのような生き方になったのだろうか。

三峰結華は、自分の事をあまり語らない。
自分の情報、言わば自分の手の内や弱点を明かす事を良しとしない。

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明らかなにか悩みがあるとプロデューサーにバレていても、三峰が他人に語ることは基本無い。
はぐらかして、とぼけて、冗談めかしてしまうのは、三峰が語りたくないからだとプロデューサーもわかっている。
だからプロデューサーもそれ以上は踏み込まない。

なんでもござれのハイブリッドアイドルを目指しているのも、出来ない事がない、つまり隙がく、弱点がないからだと考察できる。

三峰結華は自分と他人との間に、壁を、境界線を作っている。

その境界線より先は踏み込ませない。
そして、三峰も踏み込まない。

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自分の本当の気持ちなんて誰も知らなくていい。
その方がいろんな事が上手くいくのなら。
自分の本当の気持ちなんて飲み込んでしまえ。
上手く立ち回って自分の立ち位置を守った方が息苦しくない。

そう彼女は感じている。

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▲自分の買い物に誰かと一緒に行きたくない、と語る三峰。
彼女はこういう他人と関わる事で生まれる"摩擦"に敏感なのだ。普通の人なら気にしすぎなぐらいに。
だからきっと息苦しいんだと思う。

だから彼女自ら、この生き方を選んだ。

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▲この性格はどうやら三峰が選んだものらしい

だから、心の深いところでは誰とも通ってないし、本音でぶつかり合うこともしない。

他人とは、立ち回るために必要なうわべだけの付き合いだけすればいい。

自分を理解してくれる人は多分現れない。
ある意味当然とも言える、誰とも心で通っていないから。

そうやっていろんな事から目を瞑って。

本音でぶつかる事がないから、心が震わない。怒りも、悲しみも、喜びも、わき上がらない。

でも、それでいい。
それが彼女の選んだ『省エネ』なのだから。

1つ、三峰結華が立ち回りと配慮の鬼である事が描写されているコミュを紹介しておく。

sSSR【等身大のレイニーデイ】三峰結華 のコミュ『気づいてくれてありがと、なんて』では、ダンスステップを練習するアンティーカ達が語られる。

恋鐘はステップがなかなか上手く踏む事が出来ず、とにかく頑張るという力技でなんとかしようとしていた。
そのため、つい熱が入ってしまい、オーバーワークである事は明らかだった。

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咲耶も休憩を促すが、恋鐘はまだやる!となかなか休憩しようとしない。

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三峰は、ヒートアップした恋鐘を休憩させる為に自ら道化を演じ、あの手この手を使い時間を稼いでいく。

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床に直接横になる、は、恋鐘に起きて!とすぐ催促されてしまった。
ならば次はすかさず代わりに踊っといて〜と冗談を言う。しかしそれも冷静にツッコまれてしまう。

そこで三峰は恋鐘に、「咲耶のモノマネをしながら三峰の事を応援して!恋鐘なら出来るよ」と言う。

期待されたらその気になってしまう恋鐘の性格を上手く利用し、恋鐘に気付かれる事なく(恋鐘の気分を害する事なく、さらに言えば恋鐘だけでなくその場の空気を悪くする事なく)トークによって着々と恋鐘の休憩時間を稼いでいく。

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そうして恋鐘の休憩時間を上手く稼いだらミッションコンプリート、というわけだ。

恋鐘の性格をよく理解し、なおかつそれを上手く利用、恋鐘の気分やその場の空気を悪くする事なく恋鐘に休息を取らせる。

なるほど、まさしく【立ち回りと配慮の鬼】である。

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こういった一連の立ち回りは、一見自然体に見える。
そのため三峰の心遣いや配慮は誰にも気付かれず、感謝もされない。

だから、気付いてくれる人、そして感謝の気持ちを言葉にしてくれる事に対して『気づいてくれてありがとう、なんて』気持ちになるのだ。

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▲コミュタイトル『気づいてくれてありがと、なんて』。
こんな経験はないだろうか。
例えば、友達や知り合い、何人かとランチを食べに行く事になったとする。
行くことになったお店は、自分のまったく気分ではない食べたくないものに決まってしまう。
しかし、その場を乱す事はせず、その気持ちを飲み込んで、表面上は楽しそうに、食べたくもないそのランチを食べるのだ。
三峰結華はこの"しがらみ"とも言える【摩擦】に敏感なのだ。
三峰結華は、誰も気付かなくてもおかしくない、食べたくもないランチを食べている『誰か』に、気を配ってしまう。
そんな人間なのだ。そのまま生きていくにはあまりにも息苦しい。
だから彼女が『省エネ』を選んだ理由もなんとなくわかる気がするのだ。



1.5,偶像の輝き

他人と深く関わらない。
上手く立ち回り、自分の体裁を保ち、当たり障りない自分を演出する。

そんな彼女が憧れ、魅入られる物があった。

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そう、彼女にとって【アイドル】とは特別な存在なのだ。

アイドルとは、夢と希望を与えられる存在だ。
私達観客は、アイドルたちがどんな苦労をして、どんなつらい思いをしたか、なんて知る由もない。

むしろ、夢と希望を与える象徴である【偶像】の陰の部分は出来れば見たくないし、きっとアイドルたちも自分達のマイナスな部分はきっとファンに見て貰いたくないだろう。

それって三峰結華の【立ち回り】の究極系ではなかろうか。

陰りは見せず、輝きだけを与え、何事も無かったかのように笑ってみせる。
陰りなど悟らせないほど、屈託のない笑顔で。

俯瞰的に物事を見れるが故に。
陰りを一切見せず、輝きだけを、夢だけを、希望だけを与えるその姿に憧れ、特別な何かを感じたのではないか。

三峰からアイドルを好きな理由が語られることはおそらく、ない。

ない、が。
その理由を一考する余地はあるかもしれない。



2,運命の鍵

三峰結華は出会う。
いや、出会っていた。

アンティーカとプロデューサーに。

三峰結華にとって人生を大きく変える出会い。
この出会いは三峰結華の考え方をも大きく変えていく。

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無茶な練習をし、プロデューサーに「無理するな」と言われたその晩に、隠れて自主練習をする三峰。
それを見つけるプロデューサー。

プロデューサーは無理するなと言ったのに、と三峰を問い詰める。

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が、三峰はヘラヘラ笑って誤魔化してみせる。

今までも、そしてこれからも、何か三峰が笑って冗談を言う時は、言いたくない何かを誤魔化している時だと思った方がいい。

だが、プロデューサーは本気で三峰を心配している。
だから無理するなと言ったにも関わらず隠れて無茶な練習を続けた事、そして夜遅くに女の子一人で出歩いた事に、怒っている。

それは、本気で、心の底から、三峰を心配しているから。

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だから三峰が笑って誤魔化しているうちはプロデューサーは引き下がらない。
冷静で周りが良く見える三峰が無茶な練習をする理由、三峰が抱える悩み、それも含めてプロデューサーは心配している。

だから譲らない。
プロデューサーは心を、そして魂を使って三峰と対話している。

だから。

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三峰も一歩踏み込む事が出来た。

三峰は自分の事を語ることを良しとしない。
それは自分の手の内を明かす事になるから。

でも、本気でぶつからない三峰に、本気でぶつかってくれる人。
本気で怒って、本気で心配してくれる人がいる。

それなら、それに応えなければならない。
一歩だけ踏み込んでみてもいいかもしれない。

そうして三峰結華は語り始める。

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「みんなが頑張ってるのを見ると、ひとりだけこんな感じでいいのかなって思ったりもするわけ。」

こんな感じ、とは自分の『省エネ』な性格の事を指している。

アンティーカの皆が、真剣に頑張っていたり、本気でぶつかったり、真面目に練習する姿を見て、『自分だけ冷めた省エネじゃいられない』と三峰は感じた。

今までの『三峰』から新しい『三峰』に【変わりたい】と三峰結華が自分で思ったこと。

変わりたいと、そう思う事自体が既に三峰結華の変化の第一歩なのだ。

そう、アンティーカとの出会いが、三峰結華を変えはじめている。

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【メロウビート・スローダウン】三峰結華 のコミュ、『イタズラ心も流されて』では、プールに遊びに来たアンティーカたちが語られる。
そこでは、溺れたフリをするという摩美々のイタズラを、三峰が"本気で"心配する描写が見受けられる。

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プロデューサーが本気で三峰を心配していたように、三峰も摩美々を"本気で"心配していた。

つまりこの時は三峰も、心で摩美々と対話していた。

それだけではない。

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遊び疲れた三峰はアンティーカの面々の前で眠る。
寝ている時というのは、生きてる上で一番と言っても過言ではないほどに無防備だ。

心では誰とも通っていなかった、つまり心の底では誰も信用せず警戒して生きて来た三峰にとって、アンティーカの皆がそれほど心許せる存在になっていた事が読み取れる。

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ジュースに添えてえる花を、眠っている三峰に飾り、寝顔ごと写真に残す、という摩美々のイタズラ。

摩美々は「こういう写真、いつもは撮る前に気付かれるのに(今日は気付かれなかった)」と言った。

これは三峰がアンティーカと出会った最初の頃は、同じように他人であったため、アンティーカたちですら警戒の対象であったが、今ではアンティーカの前では三峰は気を張らずに眠る事が出来る関係にあると読み取れる。

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きっとアンティーカの皆も、三峰がどこか壁を作っていた事はなんとなく気付いていた。
だけど、その三峰が自分たちに気を緩めてくれているとわかり、嬉しい気持ちになったから、お互いにもう一歩踏み込める関係になった、という話。

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▲『緩めてくれたとわかったから』

他人に隙を見せず、自分の立ち位置を守り、飄々と生きて来た三峰結華に、心許せる存在が出来たのだ。

三峰が、心を許せる、踏み込んでみてもいいかもしれないと思える存在はアンティーカだけではない。

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三峰がプロデューサーを『兄さん』と呼び間違えるシーン。

プロデューサーはこれを「嬉しい間違いだな」と笑った。
三峰は「人の間違いが嬉しいってどういうこと!?」と問い詰めるが、そうじゃないよ、とプロデューサーは三峰に優しく言葉をかける。

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三峰にとって、事務所が心落ち着ける所になっているのなら嬉しいよ、とプロデューサーは言う。

プロデューサーは無自覚ではあるが、これは三峰にとって事務所だけではなく、その事務所に一緒にいる相手、つまりプロデューサーも『心許せる相手』という事になってしまう。

実際、隙を見せない生き方をしてきたはずの三峰が、『兄さん』なんて呼び間違えをしてしまうぐらいにはリラックスして、気が緩んでしまっている。
さらに言ってしまえば、プロデューサーを『兄さん』と呼び間違えるというのは、プロデューサーにはもう家族同然のレベルまで気が緩んでしまっているともとれる。

三峰にとって初めて出来た、心の拠り所と言える存在。
気の置けない友人とは、しばしば誤用される言い回しだが、本来の意味は『気をつかわなくてもいい、自然体でいられる間柄』を指す。

三峰にとって、アンティーカとプロデューサーは三峰がより三峰らしくいられる、そんな場所なのだ。


誰にも彼にも本気でぶつかれる訳じゃ、きっとない。

誰かに対して本気で怒ったり、本気で心配したりするのは、自分にとって相手がそれだけ大切だからではないか。

だから、お互いに嫌な気持ちになっても、気まずくなったとしても本気でぶつかって、本音で語りあって。

そうやって魂を削りながら人と関わっていくのだ。

その先にきっと本物があるから。


3,だから守って、踏み込んで

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pSSR【お試し/みつゴコロ】三峰結華 のコミュ『予防線なら十分』での一幕。

取材のアンケートで『憧れのシチュエーション』について問われたが、そういった経験がないのでプロデューサーで試してみた、という三峰。

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普段からこういった冗談めいた事は三峰といれば日常茶飯事なのでビックリはするが、三峰のからかいだと理解しているプロデューサー。

だがプロデューサーはクソが着くほどの真面目なので、アンケートの為に試したと聞けば、ただ無意味なイタズラというわけじゃない、と捉えてしまう。
三峰にも「(ただのイタズラじゃないとわかってるけど)ただのイタズラだと勘違いされるからこういう事やっちゃダメだぞ」と注意する。

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その反対を見て三峰は問う。
立ち回りの鬼的にはやはり相手の反応は気になるところ。

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プロデューサーは「嫌とかそういう問題ではなくて、勘違いされてしまうから相手には気をつけること」と三峰を心配する形で答える。

仮に女性経験が少ないウブな男性にこんなことしたら……。まあ確実にそういう"勘違い"をしてしまいそうではある。

イタズラしたにも関わらず心配されてしまっては、三峰も、「…はーい」と返事せざるを得ない。

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だが三峰は自分で引いた境界線を超えて踏み込んでいく。

相手は誰でも良かったわけじゃない、と。
プロデューサーが相手だから、と。

これは遠回しに、プロデューサーになら"勘違い"されても構わないと言っているも同然なのだが。

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しかし、プロデューサーはこの三峰の勇気の一歩を、冗談とイタズラの延長線だと思い、「反省してないだろ…!?」とツッコミを入れる。

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三峰は少し間を置いて、また冗談を言った。
冗談ではなかった物を、自ら無下にして冗談にした。

自分から勇気を出して(前述の表現を使うなら魂を削って)踏み込んでみたものの、その思いは届かず、自分の尻拭いを自分でするような虚しい、そして悲しいような気持ちだ。

「あはっ、だ〜いせ〜いか〜い♪」というセリフもどこか表情が曇っているような声色だ。

コミュタイトルにもなっている『予防線』とはこのことで、踏み込んでも元の関係のままでいられるように予防線、保険をかけている。

ここでも三峰結華の、皆傷つかないという立ち回りが光る。

だが他人を気遣うあまり、その皆の中に自分がいるかどうかは、しばしば考慮されない。

今回だって「それは冗談ではなくて本当の事だよ」と伝える事もできたはずだ。
それをしないのは、プロデューサーとの関係を優先し、自分の『気持ち』をないがしろにする行為他ならない。(とはいえプロデューサーとの関係を守るのは三峰自身の為でもあるので、しないのではなく出来ないとも言える。)

つまり冗談として茶化し自分の平穏を保つ事も、本気だよ、と伝え真剣に向き合う事も、出来ない"詰み"状態と言える。
そういった苦しみみたいな物が、魂を削って人と関わっている証拠であり、誰とも心を通わせず一人で生きてきた三峰では知りえなかったはずの悩みであるはずだ。

三峰のこういった際どい立ち回りは、PSSR【それなら目をつぶりましょう】コミュ、『勘違いじゃつまらないでしょう?』でも垣間見る事が出来る。

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二人で買い物に出かける三峰とプロデューサー。
ショップの店員に『彼女』と『彼氏』と間違えられ、誤解を解こうとプロデューサーは口を開ける。

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しかしそのプロデューサーの言葉を遮るように三峰は即興劇を軽やかに始めて見せる。

プロデューサーは驚かざるを得ないといった様子。

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三峰は「その場を早く離れる為に咄嗟についた冗談だよ」と説明し、実際に『プロデューサーとアイドルです』と説明するより、早く事は済んだ様に見える。

それらしい理由はあるが、やはりプロデューサーは驚いた様子で、『そんな意外だった?』と三峰は問う。
プロデューサーは、アドリブで話を振られたらどうしようと思ってた、と安堵の様子で答える。

三峰は「そっちの心配か」と苦笑いする。

これに関してはプロデューサーが無頓着すぎるのかプロデューサーとして真面目すぎるのだが、普通の一般男性なら"そういう勘違い"をしてもおかしくないシチュエーションだし、実際三峰がそっちかい、と言っている事から、本来すべき心配事はそちら側のはず。

むしろ"そういう勘違い"が起こってもおかしくない場面へ行くように、三峰が立ち回っているにも関わらず、プロデューサーはノータッチ。
どころか、プロデューサーは『嫌じゃなかったか?』と三峰の心配すらしている。

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だが、ここで三峰はもう一度追い打ちをかける。

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しかし、これも『頭の回転が速いのは結華の強みだな』と鮮やかにスルーしていく。

そして最後に、なんでもないよ、とまた冗談めかして、三峰は笑った。

本来こういった立ち回りは、三峰が自分で作った境界線を自分から踏み込んでいく行為に等しい。

ただ、踏み込んで行くのには危険が付きまとい、どこまで踏み込んでいいのかは探り探りで、また踏み込みすぎたかもしれない時にはしっかり予防線を用意しているし、自分の踏み込んで欲しくないラインもちゃんと用意してある。

だから踏み込むけれど、心の底から100%、全てをオープンにした訳ではない。

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▲だからプロデューサーには自分の事を少しずつ話たりもするが、踏み込んで欲しくない危険ラインはちゃんと用意されている。

心で通いたいのに、自分をわかって貰いたいのに、自分の踏み込んで欲しくないラインもある。

これは知って欲しいという気持ちと、知られたくないという気持ちが矛盾している。

矛盾しているが、こんな事誰にでもある些細な矛盾なのだ。
自己承認欲求なんて単語も存在するくらいだし、人に知られたくない秘密があるのも、誰にでもある、本当に些細な矛盾なのだ。

だが三峰はこのギャップに苦しんでいる。

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心を通わせるために踏み込むが予防線を張る、この行為を『ごっこ遊び』と彼女は言う。

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彼女にとって、人生が『即興劇』の連続である事も。
それが所詮『ごっこ遊び』でしかない事も。
そして『言っちゃダメ』な言葉がある事も。

それら全ては、彼女にとっての「いつも通り」なのだ。

彼女がこの自分の性格を悲観的に捉えているのか、ある程度察する事が出来る。

自分を知って貰いたいなんて思っておきながら、自分の知られたくない部分はちゃっかり隠している。
こんな自分の事を三峰は『ずるいよね』と卑下して言う。

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だが、先述の通り、人に知られたくないことがあるのなんて誰にでもにある些細な事なのだ。

むしろ三峰自身から、自分の事を話してくれたり、踏み込んできてくれる姿勢はお互いに歩み寄ろうとしている、三峰が変わろうとしている目に見える努力の証なのだ。

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だから、勇気を振り絞って踏み込もうとしてくれて、お互いにもっと分かりあう為に三峰から歩み寄ろうとしてくれる姿勢がずるいだなんて思わない。

そうストレートに本人に伝えられるプロデューサーは間違いなく"ずるい"男なのだが。

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プロデューサーは、踏み込んできてくれた三峰に応えようと『他に苦手な物ないのか?』とたずねる。

三峰は少し考えてから、ないよ、と答える。

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プロデューサーは三峰に今もっと踏み込んでいいか?と問う。

これは『三峰の事をもっと知りたいと思うけど、三峰が話したくないのなら無理に踏み込んだりしないし、三峰から話す気になるその時まで待つよ』と暗に言っている。(三峰の話をちゃんと聞く姿勢を見せつつ、三峰にも拒否権を与えるような質問の形を取っているため)

どこまでも優しさの塊で出来た人間である。

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でも、だからこそプロデューサーの前ではカッコつけていたい。

なんでもござれのハイブリッドアイドル、三峰結華でいたいのだ。

それにプロデューサーという人間は、人が本気で嫌がる事はしない、という信頼もあった。

このお互いに歩み寄ろうとする気持ちがとても良い形で、二人の距離を縮めていく。

だからだろう。

きっと距離感がわからなくなってしまって。

なにもかもわからなくなってしまうのは。


4,動点Pとの距離を求めよ

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きっかけは何気ない一言だったはずだ。

ドラマ撮影のリハーサルとしてスカイツリーとおぼしき建物に登る2人。

髪をおろしていて眼鏡も着けてなくて、いつもの三峰と雰囲気が違うな、程度の気持ちでプロデューサーはそう言った。

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しかしこの一言が三峰結華を酷く迷わせる事になる。

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「私が、私に見えないのなら、あなたの隣にいる私は今、どんなふうに見えてるんだろう……?」

一見三峰が何にこんな悩んでいるのか、わかりづらい。

先に結論を言う。

三峰はプロデューサーとの関係である『アイドルとそのプロデューサー』という距離感がわからなくなっている。

プロデューサーの隣にいるアイドル、三峰結華。
逆説的に、三峰結華がプロデューサーの隣にいるのは彼女がアイドルだからだ。

当然プロデューサーから見た三峰は『担当のアイドル』だ。
だが、三峰から見たプロデューサーは『担当してくれているプロデューサー』と、言えるほどシンプルな心情ではない。
また、ここでプロデューサーが「いつもの三峰と違って見える」と発言した事にも起因する。

前例のごっこ遊びによって、彼女の即興劇中ではあるが彼氏と彼女の関係になったり、憧れのシチュエーションにプロデューサーを選んだりもした。

三峰結華は、プロデューサーとの関係を、プロデューサーとの距離感を間違え、いや、『勘違い』して、思考がバグを引き起こしたのだ。

そういった"勘違い"はプロデューサーにして貰うつもりだったはずだ。
【お試しみつごころ】の思い出アピールでは、
「『♡を奪え』ごっこ遊びにご用心」と言っている。
三峰は♡を奪う側だったはずだ。

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この明らかに何かを悩んでいるのに、なんでもないよとはぐらかすシーンは実は2回目だ。

最初はプロデューサーも「これ以上は聞いても話してくれないか……」と引き下がっていたが、お互いにお互いの事を知って理解と信頼を築いた今となってはもう通用しない。

もう通用しないことも三峰結華はわかっている。

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これは私の問題だから、私が決着をつけると言い、プロデューサーには悩みを打ち明けない方針で行く事にした三峰。

自分で決着を着けるから待ってて欲しい、と。

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そのために、名前で呼ばないで欲しいと、彼女はプロデューサーに言った。

彼女がプロデューサーに名前で呼ばれたくない理由はいくつか考察の余地はあるが、これも先に結論を言ってしまう。

『♡を奪われたのは、彼女の方』だったのだ。

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繰り返しにはなるが、もう一度確認する。

プロデューサーの隣にいる、アイドル、三峰結華。
プロデューサーの隣にいるのは、三峰結華がアイドルであるからだ。

三峰はそういう『はずだった』と言った。
だがどうやら今は違うらしい。

ずっと、アイドルとプロデューサーの関係には見えない事をしてしまっていた。(実際ショッピングに行った際にも店員に勘違いされている)

これは後ほど根拠を持って解説するが、断言する。
これは恋愛感情だ。

三峰結華の心情では、プロデューサーとアイドルという枠から外れ、別の枠、つまり『彼氏と彼女』という新しい枠の中でプロデューサーの隣にいれたらいいな、と思い始めていた。

プロデューサーが、魂を削って真剣に向き合ってくれるのはなぜなのか?
プロデューサーが、ここまで優しく接してくれるのはなぜなのか?
プロデューサーが、三峰の悩みを自分の悩みのように考えてくれるのはなぜなのか?

その理由を三峰結華は"勘違い"したくないと言った。

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▲「なんか、結華じゃないみたいだな」という台詞が三峰の心臓を刺したのには、この台詞に「いつもの三峰と違って見えるよ」というニュアンスが含まれているからだ。
プロデューサーから見た三峰は『担当のアイドル』でしかないはずが、違って見えるよ、とプロデューサー本人の口から出た事で、三峰が望む『新しい枠組』として私を見てくれているのでは?という可能性を見出し、そんなはずはない、勘違いはしたくない、と思考がバグを引き起こしている。

彼女は迷いに迷い、雨の中、思考が渦を巻いてループして。
事務所から、プロデューサーから、逃げ出して遠い所にいた。

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だが、プロデューサーはどんな雨の中でも三峰を見つけ出してみせる。

三峰が何か思い悩んでいるのもきっと自分がきっかけで、三峰が自分で決着を着けると言った手前放って置いて欲しいと思ってるかもしれない。

そうプロデューサーは理解しているが、どんな雨の中でもきっと三峰を探し出し、きっと見つけるだろう。

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三峰はついに聞いてしまう。

こんなに私に真剣に向き合ってくれるのはどうして、と。

プロデューサーは迷う事なく答える。

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「そんなの決まってる、プロデューサーだからだ」

プロデューサーが、三峰のプロデューサーだから。

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担当アイドルが悩んでいたら話を聞いて、前に進めるように手を伸ばす。

そのために必要な事ならなんでもやる。
それが『プロデューサーとして普通』だ、と。

プロデューサーは、三峰のプロデューサーだ、と迷わず言った。
魂を削って真剣に向き合うのは、プロデューサーだからだ。
優しく接して三峰を気遣うのは、プロデューサーだからだ。

三峰の事が恋愛的に好きだからでも、彼女だと思っているからでもない。
大切には思っているが。

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それを聞いた三峰は「そっか」と呟いた。

何を勘違いしてたんだろう、と。
プロデューサーなら当たり前の事だ、と。

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プロデューサーはどんな時でも、三峰のプロデューサーだ。

それが、新しい枠組みになることも、ましてや彼氏と彼女になる事も決してない。

三峰とプロデューサー=アイドルとプロデューサー という公式は揺らぐものではなかったのだ。

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三峰とプロデューサーの関係は、それ以外全て【ノットイコール】である。

それに気付いた三峰結華は、もう悩む事を止め、通常営業に戻ります!と笑った。


これは言ってしまえば、三峰結華の前向きな失恋であると私は考えている。
心を通わせたいと思ったはじめての相手との関係は、ずっとアイドルとプロデューサーのままで、もう決して縮まることはなく、だが大切に思ってくれている、という複雑な気持ち。
いろんな事に目をつぶってきた三峰にとって、最初の、そして最後の失恋だったと思う。
三峰が吹っ切れても、止むことのない雨がそれを物語っていると私は考えた。

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▲コミュタイトル『答え:アイドル三峰結華』

プロデューサーとの関係は、プロデューサーとアイドルでしかなく、それ以上でもそれ以下でもない。

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それが正解って、そう思えるようになったから。

このコミュでは、アンティーカと三峰のファンだと言う女の子と出会う話が語られる。

女の子は結化ちゃんとお話できて良かった、と笑顔で言った。

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そして女の子は三峰に問いかけた。

この質問や誤解はショッピングの時を含め2回目だ。

だが、もう三峰結華は勘違いもしないし、答えを間違えない。

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女の子が去っていった後、プロデューサーは良いファン対応だったよ、と彼女に伝えた。

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三峰結華は、答えを勘違いすることも、間違える事もなく、アイドルとプロデューサーという関係のまま、アイドルとしてあなたのために頑張りたいと思える、と言った。

『アイドル三峰結華』はここからリスタートする。

三峰が恋愛感情を持っている根拠を後ほど紹介する、と言ったが、それはこの女の子がわざわざ『彼氏と彼女』というワードを使ってくれたからだ。
恋愛感情でなければ、ここでわざわざ彼氏彼女を引き合いに出す意味がほぼない。

恋愛感情を抱かせ紆余曲折を経て、その感情を抱いた本人にそれは間違いだったと認めさせるシナリオライターは何を食べたらこのシナリオを思いつくのだろうと、思った。



5,アイドル三峰結華

さて、実はここまで語って来たのは全て前置きになる。
ここまでの本文で、三峰の人間性と、心情の変化、彼女の決意をある程度理解した上で、今回の記事の本題である【雨に祝福】に入っていく。

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物語は三峰にドラマのオーディションの話が舞い込んでくる所から始まる。

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三峰が今回受ける役は、いつもの三峰を見ていたらイメージがわかない人物像であることがわかる。

いつもの三峰とは違うように見える、という一言からあそこまで悩みに悩んだ三峰にこの役を持ってくるのは、なかなかのプレッシャーだろう。

だからこそ、乗り越えるためには、より確実にするためには、いつもの三峰とはかけ離れた役をやる意味がある。

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三峰がなんでもソツなくこなす才能の持ち主であることはわかっている。

だが、三峰が、いつもと違う三峰をオープンにするはじめての機会であるため、プロデューサーもいつもより緊張しているように見える。

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三峰も全力で取りくめた、悔いはないよ、と言った。

三峰が前に進むために、今まで取り繕って来た『三峰結華』とは違ういつもと違う三峰結華を演出しなければならない。

そのための始めての舞台なのだ、三峰の心情的にもプレッシャーがあると思うし、様々な葛藤もあっただろう。

その中で全力を出し切ったと言えるのならば、もうこれ以上ないくらいの成果と言えるだろう。

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だが、三峰はこのオーディションに落ちてしまう。

ヒロイン役と三峰のイメージがマッチしないと監督は言う。
いつもの三峰を見てたらイメージがわかない役だと、自分でも言っていた。

だからこそ今回この役に挑戦したのだが。

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監督はある提案をした。
ヒロイン役ではなくて、幼馴染をやってみないか、と。

可愛くて、気立てがよくて、茶目っ気があって、主人公を見守りつつも気持ちを揺さぶる、小悪魔的存在。

それは三峰が演出してきた三峰そのものに等しい。
それは私達が広く知っている三峰だ。

つまり彼女が自分をこう見せたいと思い、私達に見せている部分の三峰結華のイメージだ。

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三峰はまた思い悩むことになる。

前に進むために新しい挑戦をしたのに、結局創られ、演出された『ズルい自分』を見せることになる。

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だが、三峰は『アイドル』として頑張ると決めていた。

たとえ本意に沿わない形だとしても『アイドル三峰結華』を、監督自ら推薦してくれたとなれば、その仕事を受ける事ができる。

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三峰のその決意、葛藤を感じ取るプロデューサー。
そもそもこの仕事を取ってきたのはプロデューサーであり、いつもの三峰とは違う役を選んだのもプロデューサーだ。

だからプロデューサーにもいろんな思いがあっただろうし、この仕事を通して三峰にプラスになればいいと思ってこの仕事を取ってきたのも違いない。

しかしプロデューサーも、三峰の気持ちを汲み取ってこの幼馴染の役を受けることに賛同する。

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監督は言った。

「大丈夫ですよ、あの役は三峰さんにピッタリなんですから」と。

普段の三峰結華の立ち回りが上手すぎて、自分の演出や見せ方が上手すぎて、自分のイメージをそのまま捉えられている。

本来三峰の望む所ではあるのだが、今回だけは裏目に出る形となった。
(それだけ三峰の立ち回りが上手いという事でもある)

最後には主人公に選ばれるメインヒロインと、選ばれる事のない運命にあるサブヒロインの幼馴染。
想い人であったプロデューサーと結ばれる事は決してなく、三峰がヒロインになる事はない。


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役を貰う事は出来たが、素直に喜べる心情ではない。

お互いにもやもやした気持ちの二人に雨が降りかかる。

三峰は「雨酷くなる前に先に帰るね」とその場を立ち去るように離れようとする。

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プロデューサーは三峰を呼び止める。

プロデューサーは三峰が小悪魔的な面だけでは無いことを知っている。

それでこそ、たった一言で悶々としてしまうほど繊細で、自分の気持ちに臆病で、自分を蔑ろにしてでも他人を気遣うような優しい女の子で、アンティーカのみんなを本当に大切に思っている仲間想いの、女の子だ。

今回のオーディションの結果を受けて、そんな三峰になにか思うところがあるのではないかと心配してプロデューサーは彼女を呼び止めた。

しかし彼女は笑顔で言った。

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心配ご無用、と。

新しい挑戦として、新しい三峰を受け入れて貰うチャンスを与えて貰ったのに報われず、別の役を貰うという形で新しい三峰は否定されてしまった。

新しい三峰は役に合わない、つまり演者である三峰らしくない、と遠回しに言われているようなものだ。

この複雑な気持ちには自分で決着をつけるから、と彼女は言った。

なんて強い精神力だろう。
自分の知られたくない秘匿を守るために、生き方レベルで自分を演出してきた彼女が、演出されてない自分をオープンにし、それをあなたらしくない、と否定され。

とてもじゃないが笑顔ではいられない。

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彼女の"強さ"を目の当たりにしたプロデューサーは、ただ一言「わかった」と頷くしかなかった。

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後日、プロデューサーは三峰にすまなかった!と頭を下げた。

三峰の弱い所を知っているプロデューサーは、三峰の気持ちを勝手にわかった気になって(三峰の気持ちを勝手に代弁した)彼女を心配した。

彼女の弱さに目が行き、彼女の強さを信じられなかった。

そのことをプロデューサーは謝っていた。

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それを受けた三峰は「気にし過ぎたよ」と笑った。

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三峰には、知って欲しい部分と、知られたくない部分の両方がある。

だから、三峰は100%、心を全開にした訳ではない。
プロデューサーだって三峰の知らない部分はまだたくさんあるはずなのだ。

なのに、彼女をわかった気になって、勝手に彼女の気持ちを代弁して、彼女の強さを見くびるような事をした。

だから三峰は、「今の、嫌だよ」とプロデューサーに伝えたのだ。

自分の事を心配してくれるプロデューサーに対して、「私はそこまで弱くない」と。

その「今の嫌だよ」と言う言葉は、三峰の本心の吐露、つまり三峰の本来秘匿したい部分からの発言である。
つまり、心を通わせたいと思った相手にしか、この言葉を伝える事が出来ない。

プロデューサーにしか伝える事が出来ない。

それを伝える事が出来る、その行為が出来る事自体が。
それを伝えられる相手がいる事が。
それ自体が三峰にとって、きっと始めての経験であるはずで、彼女にとって嬉しいと思える瞬間で。

しかも伝えた本心を、汲み取って理解してくれる人がいるとなれば、それほど恵まれていることはない。

嫌な事を嫌と伝えられる事、その気持ちを汲み取って大事にしてくれる相手がいる事。

その他の人には当たり前のような、意志のすり合わせが自分にも出来たんだと言う事。
それが実感出来て嬉しいくらい、と三峰は言った。

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今はまだ全部じゃなくても、少しずつ。

『全部』に向かって1つ1つ。

話あうことで、こうやって、たまにすれ違って、ぶつかって。
でもそれは魂を使った人との関わりである証で。

それはちゃんと分かりあうためで。

「言えること、全部。
今は言えない事も、もし言えるようになったら、全部。」

三峰がこの言葉を言うまで、なんだか自惚れていた事を自覚した。
私はこうやって考察や解説みたいな物を書いているし、コミュについても何度も深く読みこんでいる自負があった。
三峰結華に関してもある程度理解した気になっていた。

私達が見ている三峰結華なんてほんの一部分でしかないはずで、その部分をプロデューサーを通して覗き見してるだけの分際で、彼女をわかった気になるなんておこがましい。

少なくとも、私はそう思ったのだ。


6,暗闇は、目を開く前のときめき


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ドラマの撮影は順調そうで、三峰の幼馴染役もハマっているみたいだ。
ドラマのスタッフからの評価もとてもいい。

だが担当アイドルが褒められているというのに、プロデューサーは何か浮かない顔をしていた。

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これは前述したが、弱い部分の三峰結華を知ってるプロデューサーならではの悩みだ。

たった一言で悶々としてしまうほど繊細で、自分の気持ちに臆病で、自分を蔑ろにしてでも他人を気遣うような優しい女の子で、アンティーカのみんなを本当に大切に思っている仲間想いの、女の子。

その一面を知っているのはプロデューサーだけだ。

ドラマのスタッフはもちろん、監督だって知らない、三峰の部分。

三峰の魅力は、いつも見せている三峰だけじゃない。

それを魅力的に伝えること、三峰結華を推すこと、それがプロデューサーの仕事であり、三峰の本当の魅力を上手く伝えられてないと感じているプロデューサーは自分を悔しく思っている。

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自分を理解してくれる人。
そしてその人が自分にとって大切な人であること。

そんな人が現れるのはきっと"奇跡"だ。

だから自分を理解してくれる人だけわかってくれればそれでいい。

でもそれじゃダメだった。

それで良かったはずだったんだ、プロデューサーに出会うまでは。

自分のこの考え方が招いた今回の結果、そのせいで大切な人が悔しい思いをしている。

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ならばこのままじゃいられない。
大切な人に悔しい思いをさせちゃいけない。

自分の事を沢山の人に知ってもらう、その事で自分が前に進めるだけでなく、プロデューサーに悔しい思いをさせずに済むのなら。

そのための努力は惜しまないと思えるようになったと、彼女はいう。

彼女はきっと今まで色んな事に目をつぶってきた。
閉じた瞼、広がるのはきっと深い暗闇。

その暗闇で生きてきて、その暗闇を選んだのは自分だと言って、『省エネ』だとひねくれて、でもその暗闇でしか生きられなくて。

その暗闇を切り裂いた光。

閉じた瞼を開かせたのは。

プロデューサー。

瞼を開いた、その目の前に広がる光に触れてみたいと思ったから。

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ずっと目をつぶって生きて来た三峰にとってガラじゃないことばっか言ってるよ、と彼女は笑った。

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変わりたい、閉じた瞼を開いてみたい。
そう思えた三峰の気持ち、その気持ちはもう三峰の物で。

そう思える事自体が三峰の、目を開く第一歩なのだ。

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三峰は、沢山自分の事を話してくれるようになった。

いつかきっと全部わかりあえるように。

だが、それは今ではない。
まだ私達が知らない三峰結華が沢山いるはずなのだ。

だから彼女の全てをわかった気になるのは自惚れという物だ。

三峰結華がプロデューサーと、
プロデューサーが三峰結華の隣を。

まだまだこれから歩み寄っていく。

これはそういうお話。

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▲『暗闇は、目を開ける前のときめき』
コミュタイトルの考察。
・(空が)泣くなら
雨に濡れるなら涙に濡れてもバレない、という意味だと思う。
泣きたいような気持ちでも雨が代わりに泣いてくれるなら私は泣かないでいられる。

・私が歌い踊る限り
歌い踊る、つまりアイドルでいる限り。
私がアイドルでいる限り、あなたは私のプロデューサーである。
私がアイドルでいる限り、分かりあうために歩み寄りたい、という意味だと思う。

・暗闇は、目を開ける前のときめき
前述。暗闇で生きてきた三峰にとって心ときめくような光に触れてみたいと思うあなたに出会えた事。

7,さいごに

これは運営とシナリオライターからの忠告だと受け取った。

お前らが知っている三峰結華はまだほんの一部だぞ、と。
三峰がお前らに話してない事はまだ沢山あるぞ、と。
勘違いするなよ、と。

だが、確実に三峰は変わり始めている。

変わり始めたきっかけは、誰かのために頑張りたいと思える"あなた"に出会ったこと。

瞼を閉じた暗闇では知り得なかった事。
あなたと出会わなければ、知り得なかった事。


ここまで、解説とも考察ともポエムとも言えない怪文書をお読み頂きありがとうございましたごめんなさい。
彼女の事をより深く知りたいと思っている方や、新しくシャニマスに興味を持ち始めた方のの助けに、少しでもなれれば幸いです。

最後に、オタク特有の『なんでも推しのキャラソンに聞こえる病』を発症しているので、三峰結華のキャラソンを紹介して今回の記事を締めくくりたいと思います。

SUPER BEAVER / ひとりで生きていたならば


ひとりで生きていたならば
こんな気持ちにならなかった
予想を遥か超えていく
嬉しさを知っているのさ

生きることは 難しくて
何となくじゃ 居られないよ
こだわること やめてしまえば
過去が嘘に変わる
悔しくて 哀しくて 虚しくて 苛立つ夜は

それでも 愚痴では 明けやしない 理不尽でも
悔しくて 哀しくて 虚しくて 苛立つだけで
終わらせることが 何より 悔しいよな

たった
ひとりで生きていたならば こんな気持ちにならなかった
ひとりで生きていたならば 理不尽も許せたかもな
ひとりで生きていたならば ひとりで生きていないから
悔しさ込み上げるほどの 「大切」に出会えたんじゃないか

こだわって生きると 今一度言い切るよ

原動力はずっとひとりで生きていないこと

生きることは面白くて
予想外の連続で
これだからさやめられないな
唯一無二の話

嬉しくて 嬉しくて 嬉しくて 嬉しい朝を
望むなら 愚痴は 飲み込んで 真っ直ぐに居よう

自分自身を 諦めそうなときに
思い浮かぶ 人と 想いと記憶と
ともに 心の底から笑い合うんだ
それだけ 譲らずに こだわっていくよ

僕ひとりの話ならば こんな気持ちにならなかった
僕ひとりの話ならば いくつ誤魔化しても良かった
ひとりで生きていたならば ひとりで生きていないから
予想を遥か超えていく 嬉しさを知っているのさ


ひとりで生きていたならば こんな気持ちになれなかった
ひとりで生きていたならば 理不尽も許せたかもな
ひとりで生きていたならば ひとりで生きていないから
愛しさ込み上げるほどの 「大切」に出会えたんじゃないか

こだわって生きると 今一度 言い切るよ

原動力はずっと ひとりで生きていないこと

ありがとうございました。
それではまたどこかでお会いしましょう、ご機嫌よう。






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