あなたによく似た心







重度障害者の施設で短時間働いています。
最初は赤ちゃんに接するような気持ちでいたけど、赤ちゃんではない。


初日に○○さんの食事介助をして下さい。
と言われ、私はすぐにその席へ向かって行って、おもむろにスプーンを持った。
○○さんは、口を開ける前に私に何か言っている。
よく聞いてみると、「誰?」と言っていた。
そりゃそうだ。お前誰だよ!?ってまずなる。

関わったことがなかったから重度障害者は何も分からないみたいに見えるけど、そうじゃないんだ。

喋れなくても、訴える方法が少ないだけで私によく似た心がある。失礼なことをした。



だんだん分かってきた。いつも笑顔を向けてくれるあの人は、「元気?がんばってね」って言ってくれてる。何度も聞き直して良かった。
部屋を掃除する時、何度も聞き直して分かった「ありがとう」。
そんな事言わなくていいよ。じゃないんだ。みんな一生懸命伝えてくれる。諦めないで伝えてくれる。

ある人が自由が効く数少ない身体でファンレターを書いていた。息を吹いてマウスを動かす。「笑顔が大好きです。いつも応援しています」画面に映ったメッセージからは何も障害を感じない。私と一緒だ。
目に映る情報で大切な事に気付きにくくなる。
真実の姿を映す鏡はここなんじゃないだろうか。

時々思う。不自由な身体に閉じ込められた魂は、私より強い。








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