折々の絵はがき(59)
◆絵はがき〈東海道五十三次・庄野〉歌川広重◆
江戸時代 東京国立博物館蔵
急な坂道。突如降り出した雨はぐんぐん激しさを増し、風も強く吹いています。青い脚絆をつけた旅人と思しき人は向かい風にあおられ、番傘を半開きにしかさせません。鍬を担いだところを見ると、となりを走るのは農夫でしょうか。彼は飛ばされそうな頭の笠をぐっと押さえて前傾姿勢。「まいったなあ」とばかり、夕立から逃げるように駆けています。お客さんを乗せた駕籠には準備万端、合羽がかけられ、二人のかけ合う「急げ急げ」の心