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舌ブラシでは不十分! 口臭の原因となる舌苔を減らす、歯科医師が推奨する『正しい舌のケア』とは。(中編 舌苔がたまり始めたら)

舌苔が付着した場合のケアの後半です。
こちらでは、より具体的に日々できる正しい舌のケアについてみていきましょう。
『舌の表面はどんな形?』、『舌苔って何?』、『舌苔は何故たまるの?』について知りたい方は、前編も読んでみてください。



舌苔がたまる理由については前編-3でお話しし、単純にお口の汚れが多いからではないと、分かりました。では、口の機能の低下に対してはどのようにアプローチすればいいのでしょうか。
前編-3では、舌苔付着の原因として『お口の乾き』、『唾の減少』、『舌の力の衰え』、『舌の動きの巧妙さの低下』、『お口の中が汚れている』を挙げました。

舌苔がたまってきたら何に取り組めば良いの?『舌の力の衰え』『舌の巧妙さの低下』(中編-1)

ここからは具体的なアプローチについてお話していきましょう。紹介するトレーニングは全部行う必要はありません。なぜなら続けることが大切だからです。日常生活に取り入れられそうなものから取り組んでみましょう。

この中で、まずは『舌の力の衰え』についてお話ししましょう。
舌は筋肉は30~40代から衰え始めます。進行する中で、脂肪組織が入り込んでくることによって、力が衰え、動きも鈍くなります。そして、全身に筋肉の衰えに対する対応と同じく、舌の衰えに対してもレジスタンストレーニング(負荷をかけた運動)が重要です。
ご家庭でのトレーニングの場合、ティースプーンを準備してください。

舌の中央部のトレーニング
スプーンで舌の中央部を軽く押さえます。押さえる力に負けないように、スプーンを、舌を口の天井(上顎)に向かって押し上げましょう。
5秒間×5回を1セットとして、1回3セット、1日3回実施してみましょう。

舌の中央部のトレーニング

舌先のトレーニング
舌先も同様にティースプンを押し返すように舌を上にあげます。
前からと左右からの3方向から実施してみましょう。
5秒間×5回を1セットとして、1回3セット、1日に3回実施してみましょう。

舌先のトレーニング
多方向からの実施


続いて『舌の動きの巧妙さの低下』に抗っていきましょう。
内側から舌で押すトレーニング
外からの抵抗はかけなくていいので、舌を左右の頬、上唇の裏、下唇の裏を押してみましょう。
5秒間×左右上下を1セットとして、3セット、1日3回実施してみましょう。

舌で内側からおすトレーニング

舌先タッチ
舌の図は上あごを舌から撮影した写真です。写真の青丸の部分を、できるだけ早く舌先を使ってタッチしましょう。
前歯の裏から始めて、右回り、左回りと行いましょう。
(右回り+左回り)×2回を1セットとし、3セット、1日3回実施してみましょう。

舌先タッチ

早口言葉
早口言葉や、外郎売の朗読なども舌のトレーニングとして有効です。ぜひ実施してみましょう。

北区健康体操 Happy☆キタエちゃん体操~口腔編~

これは、私と京都市北歯科医師会、京都市北区、北区健康づくりサポーターの皆さんとで制作した健口体操です。様々な要素を盛り込んで5分ほどで実施可能ですので、ぜひ毎日、実施してみましょう。


舌苔がたまってきたら何に取り組めば良いの?『お口の乾き』『唾の減少』(中編-2)

前編で見たように、唾が減少する原因には様々なものがあります。
よく聞く『唾液腺マッサージ』ですが、これは即時効果が得られるお口を潤わす方法です。口の乾燥が気になる方が、食事前やお喋りの前に行っていただくことで、唾液腺から唾が絞り出され、お口が潤います。
しかし、舌苔がたまらないようにするには、常の(安静時の)唾液量やお口の潤いを維持する必要があります。
そう考えると、水分をしっかりとり全身の水分量を維持する(唾液は1日1.5Lでています。)、唾液腺周囲の表情筋や深層の筋肉を刺激すると、いった活動が有効です。顔周りの筋肉を日常的に鍛えるには、しっかり表情をつくったコミュニケーションや、カラオケ等が有効です。嚥下機能(ごっくん)のトレーニングと合わせるのなら、ハイトーンカラオケがお勧めです。

口呼吸は、様々な弊害をもたらします。そんな口呼吸によって口が乾いている方は、『あいうべ体操』がお勧めです。下記の動画(体操考案者の今井一彰先生の動画)の1分30秒位から体操の内容がでてきます。
『あいうべ体操』では舌のボリュームも上がるため、下がってしまった(低位舌)状態の改善にも有効です。

他にも、口テープやマスクなどの活用も有効です。ガム咀嚼や飴を舐めることで、唾液は増えますがこれも一時的な刺激時唾液(刺激に反応してでる唾液)ですので乾燥への対応としては一過性のものになります。

『舌ブラシはどう使うの?(後編)』でも紹介しますが、口の乾きがきつい場合には、保湿剤の使用が有効です。性状の違いで、スプレータイプ、リンシングタイプ、ジェルタイプといった使い分けができます。かかりつけの歯医者さんに相談されてください。

『舌苔がたまってきたら何に取り組めば良いの?』というテーマで、舌の清掃以外の様々な方法を見てきました。
皆さんも生活の中で取り組めそうな対策を実施してみてください。
では、最後は舌ブラシの使い方を見ていきましょう(後編)

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