20-21アルペンスキーW杯展望

10/3にFISから今季のワールドカップカレンダーの発表がありました。COVID19感染防止の観点から例年とは異なるスケジュールになっています。

まず、開幕戦のSöldenは例年通り男女同じレース会場ですが、無観客での開催が決定されています。また、Söldenでは、現地入り前72時間以内のPCR検査結果とIDが交換になります。それ以降はどのようになるのかまだ分かりません。いずれにせよ開催にあたりどのようなルール、検査方法で感染を防止していくのか注目ですね。
[追記] マスク着用ルールがFISから発表されました。リフトやチームホスピタリティ、スタートエリアなど様々なところでのマスク着用が義務付けられ、表彰式後のチームフォトの禁止などの対策も決められています。少し寂しいですが今季のワールドカップの運営が上手くいくように協力していきたいです。

オーストリアチームは毎週PCR検査を行っていて、我々のグループでは今まで陽性は確認されていません。引き続き気をつけていきたいです。

そして11月に新しい会場でパラレルイベントが行われます。Lech Zürsと書いてありますが僕の住んでいるSt.anton am Arlbergの山を超えた先にあります。スキー場はつながっていて12月後半からはスキーで行き来できます。

St.anton、Lech、Zürsは全てArlbergというエリアにありオーストリア最大のスキーリゾートです。観光客も非常に多いのでレースも盛り上がるかと期待していましたが難しそうですね。レースコースはまだ工事していて、ナイター照明も新たに建設していますので来季以降にも開催できるよう良いレースになって欲しいです。

さて12月に入りますといきなりVal d'IsereでGS2連戦です。今シーズンは会場数が少なく、連戦が多くなってます。特にGSはVal d'Isere、Adelboden、Banskoで二戦連続で開催されます。GSは7会場10レース、SLは10会場11レースです。

12月終盤にはGSのクラシックレースAlta Badiaがありますが、その翌日にくっつく形でスラロームの初戦があります。つまりスラロームのスペシャリストは開幕までだいぶ時間があるということになります。現状、多くのスラローマーは積極的にGSの練習を行っています。WCSLで30位以内の選手はFISポイントに関わらず他種目W杯の出場権があるのでGSに挑戦するスラローマーが増えるのではと勝手に推測しています。Söldenが終了してからまだ二ヶ月弱ありますから焦る必要はありませんしね。

さてスラロームチームの僕としては1月が大忙しです。4週間で7レースです。両種目やる技術系のレーサーは6日Zagrebにてナイターレースからの8-10日がAdelbodenですのでかなりタイトな日程です。

そして17Wengen、24Kitzbühel、26Schladming、30、31Chamonixと2週間で5つのスラロームが待ち構えています。移動も考慮した練習場所の工夫も必要になってきます。

こうして2月の世界選手権につながっていくわけですが、強豪国の選手選考も要チェックです。オーストリアをはじめとする強豪国はワールドカップに8人の選手を送り込んでいますが、世界選手権は各種目4人まで。前回大会チャンピオンは確定の個人枠があるのでもしヒルシャーがいきなり出るとなると5人出場することが可能になります。

要するにワールドカップランキング20位くらいでも出場できなかったりするわけです。こういった国の中での選考争いも注目しながら観戦するとおもしろいと思います。

オーレでの前回大会はスラロームでオーストリアから5人出場(ヒルシャーが前々回大会優勝)、そして全員第1シード、表彰台独占という素晴らしすぎる結果でした。昨季からは勢力図が大きく変わりオーストリアは厳しい時代に突入していますがビッグイベントでの強さには期待です。準備をしっかりしていきたいです。

そして忘れてはいけないのが前回世界選手権でGS24位を記録した石井智也。代表からは外れていますがなんとか出場にこぎつけて欲しいですね。あとは昨季ワールドカップ2本目に進んだ小山陽平、そして他の日本勢の活躍も期待したいです。

また、今季の北米でのワールドカップが全てキャンセルになりました。ShiffrinやLigety、Ford要するアメリカのファンからしたら寂しいですね。

こんな状況のなか北欧で新たにCOCを作りたいという勢力もいるようで、COVID19によって今後レースの在り方も大きく変わる可能性があります。

滑走面へのフッ素の使用禁止など今年もルールの変化がありましたが、そういったルール、レギュレーションの変更に対応することも重要になるスポーツです。情報は常に集めなければいけませんし、できることなら発信していきたいですね。

いずれにせよワールドカップが開催されてよかったです。大会運営など大変なシーズンになるのは間違いありませんが、例年通り毎試合エキサイティングなレースになるでしょう。

僕と同じアルペンスキーファンの方々にもっと面白さ、醍醐味を伝えていければなと思いますのでまたこちらのnoteご覧ください。

河野恭介

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