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ひだまりの優しさ

ライターって孤独。

もう慣れたけど、ライターはひとりの時間がほとんど。インタビューもあるけど、基本は誰とも話さずに黙々と書く。締め切り前に必死で書いているときは孤独を感じやすい。あー私ひとりで何してるの、なんでこんなに書いてるのって。

うまい言い回しや納得した言葉が出てこないときは苦しい。手が止まる。でも、締め切りは刻一刻と迫っている。締め切りに追われる恐怖で心細くなる。

ひどいときは、本当に私ライター向いてるの? と思ってしまう。不安がどんどん広がると、将来に対しても不安を感じる。


一時、そんなメンタルがずーっと続いた。

今から3年前くらいのこと。
ライターならではのこの孤独に慣れきれてなくて、他職種の独立した先輩に不安を吐露して相談しようと思った。でも、全然相手にしてくれなかった。

人に言ってもわかってくれない。
相手にさえしてくれない。

多分このときに、人に弱音を言えない性格に拍車がかかったと思う。


あの頃よりは大分私も強くなった。
自分で決めた道だし、早く書けない自分が悪い。
とはいえ、やっぱりずっとひとりで書いていると寂しくなる。
完全に寂しさは拭えない。

彼にはこの寂しさを伝えていなかった。
先に彼が寝た後に書いていると、心細くなるんだよって。

彼は会社員だし、本とか全然読まないし。
物書きの苦悩とかわからないよな。

言ったところで……と思っていた。

けれどあるとき、すごく言いたくなって、ノリでさり気なく彼に言ってみた。

「先に寝ちゃうの寂しい」

冗談混じりで言ってみた。
言うだけで心が軽くなった。


いつものように夜中までやるつもりでリビングにいると、彼がソファから動こうとしない。

「もう眠いでしょ?先寝なよ」

「あと何時間くらいやるの? ここで寝てるよ。恭子ちゃん、俺が先に寝たら寂しいでしょ?」

彼は冗談混じりのあの告白を覚えていてくれた。

この人はよく飲むしゲームするし、ダラダラするし、のび太くん並みにすぐ寝てしまう。

ダラダラ全開のときは見ているだけでイラッとすることもある。

でも、本当に優しい。

その日は結局2時まで執筆した。彼はソファで寝てた。私が終わって一緒に寝室へ行った。

全然寂しくなかった。
安心感があった。


昨日は集中するために仕事部屋で執筆。
まだ日付が変わる前で、彼はリビングで晩酌中。

黙々と書く。
するとドアごしに鳴き声がした。

愛猫が来てくれた。
何をするわけでもないが、しばらく部屋をウロウロしていた。

愛猫も夜中まで私が書いていると会いに来てくれる。

彼と愛猫のおかげで孤独がだいぶ緩和された。

君たちは私にとってひだまりのよう。
大きなことをするわけではないけど、じわじわと癒してくれる。

側にいるだけで孤独って和らぐんだね。

今宵もおそらく夜中までやるが、きっとどちらかが顔を出してくれるはず。


だから私は今日も頑張れる。


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