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【食エッセイ】子どもの頃ワクワクした鍋焼うどん

今ではなんとも思わないコンビニ。しかし、中学生の頃は特別な場に感じられた。

店内は色とりどりに商品が並んでいて、CanCamやViviなど女子が憧れる雑誌がある。狭すぎず広すぎない店内の棚にはバランスよく商品が陳列され、洗練されているように感じた。スーパーのセレクトショップ版という感じ。スーパーにあるお菓子でさえ、やたらおしゃれに見えるのがコンビニマジック。行く度になんとなく胸が高鳴った。

よく通っていたのはセブンイレブン。中学校の帰り道、買い食い禁止なのに部活がない日は必ず立ち寄って「ブリトー」を食べていた。部活帰りも食べたかったけど、後輩や先輩がいるからさすがに我慢した。その代わり、地元の駅に着いたらKIOSKでお菓子を買って一気に頬張っていた。ソプラノパートで一日中歌っていたからお腹が空いてしょうがなかった。

私はアラビアータ系が好き。

当時珍しかったブリトーの皮・トルティーヤに覆われたチーズと挽肉やウインナー、トマトソースが口の中で混ざり合うと、幸せとしか言いようのない美味しさが広がる。よく考えればピザマルゲリータと具は変わらないが、ピザほど重くなくすぐに食べられるのが良くて、私の大好物になった。

ブリトーにとことんハマったわけだが、それ以外にハマったコンビニ飯はない。好き、大好物というわけではないけど、会社員の頃はダイエットのためによく「割り蕎麦」を食べていた。コンビニの蕎麦って絶品ではないけど、なんか食べやすくて好き。今でも、働きすぎて思考回路がショート寸前で空腹の時はこれを手にすることが多い。

しかし、ここ数年無性に食べたくなり、好き!と思えるものが見つかった。それが「鍋焼うどん」だ。

私の母も祖母も麺類が好き。祖母には「サッポロ一番塩らーめん」の美味しさを教えられ、私の好物になった。母が作る「卵とじうどん」は、汁とふわっとした卵の相性が抜群で、よくリクエストしていた。実家の冷凍庫には「カトキチ」の冷凍うどんが必ずあった。ちなみに、カトキチの冷凍うどんはコシがあり、喉越しもよく丁度良い太さで美味しい。

ある時、母が冷凍の鍋焼きうどんを買ってきた。確か小学校4年生くらいだった気がする。母は食いしん坊で、スーパーで目新しいものを見つけるのが早く、試しに買うものも間違いなく美味しい。食いしん坊ならではの嗅覚とアンテナによって旨い食を選ぶ。

初めて食べた鍋焼うどんに面食らった。まず見た目から衝撃的だった。アルミ容器を直に火にかけると、カチカチに凍ってたうどんがジワァと溶け、ぐつぐつ煮込む様子を見るとワクワクした。

出来上がったうどんのアルミ容器はやや焦げ、香ばしいにおいがするのも良い。熱々のうどんをフーフーしながら少しずつ食べる。煮込んで味しみしみのうどんはトップオブうどんに思えた。

そんな鍋焼うどんがセブンイレブンに売っていた。懐かしいし、うれしくなった。見つけたのはコロナ禍。久しぶりに買って食べたら、あぁやっぱり旨い! 以降、定期的に食べたい時がやってくる。しかしここ数ヶ月食べていなくて、先日久しぶりに食べた。

セブンの鍋焼うどん

ラーメンもそうだが、私は必ず卵を入れる。普段卵とじにするのだが、この時は頭が回ってなくて割ったまま入れてしまった。それはそれで美味しいから問題はないけど。

うどんと言ったら七味だ。七味をたっぷりかけてちびちび食べる。セブンイレブンの鍋焼うどんは餅とがんもが入っている。おまけみたいで嬉しくなる。餅は食べ始めたらしばらく食べずに取っておく。その間に柔らかくなって美味しんだなぁ。この日も大変満足した。

関西風だしなのであっさりしつつ深い旨味。誰もが美味しいと思う味だ。食べたことがない人はぜひ食べてほしい。具がいろいろ入っていてプチ贅沢な気持ちになれる。ぜひお試しあれ。

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